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米川さんproofreading(校正中)

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八ヶ岳山小屋黒百合ヒュッテ山番時代を米川正利さんが描いた絵を形にできればいいねマガジン。黒百合ヒュッテhttp://www.kuroyurihyutte.com/   問い合わせ…
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2021年10月の記事一覧

21.忘れえぬ人(米川さんの絵本)

はじめに21回目は米川正利さんにとって大切な山仲間だった方のお話です。 20回目の遭難、そして21回目の忘れえぬ人、登山では起きてはならない事故についての米川さんのお話をあえて絵本に収める予定です。 加えて、米川さんとの20・21回からのお話から、だからこそ山を知り、山を楽しんでほしいという山好きな方々への米川さんからのメッセージも掲載します。 ぜひご一読していただき、そして皆様が笑顔で楽しむ事のできる登山となるガイド記事のひとつともなれば幸いです。 忘れえぬ人天気の

20.遭難(米川さんの絵本)

悲しい出来事がはじまった。 急がなければ。 知り合いの男性が雪崩に巻き込まれた。 解説昨夜泊まった知人が天狗岳に向かったが雪庇(せっぴ)を踏み外して雪崩(なだれ)に巻き込まれた。 雪庇とは、風下側に形成される吹き溜まり。稜線上の風下側に雪が大きく張り出す事。 雪崩とは、斜面に積もった雪が重力の作用により斜面を早い速度で移動する現象。 冬のその日は、夜になると風雪は強くなるばかりだった。 一時間立つか立たないうちに入口の戸を激しく叩かれ、雪の塊のように真っ白になった人が飛

19.古い小屋の古いランプ(米川さんの絵本)

ランプに火を灯すと 温かい光が部屋を明るくする。 淡いオレンジ色の光。 心をほっとさせる。 解説小屋を建てた頃は古いランプしかありませんでした。 この光で食事をし、読書し、お客さんと話をし、夜更けまで山の歌を歌ったり。 小屋を建てた頃は、灯りはローソクかランプだけでした。そのうちランプの宿として有名になって。 かなりランプを使っていました。 ランプはランプで風情あったのですが、手間がかかりました。 灯油そそいで、ススが付くから毎日全部のランプのお掃除。そのうち宿泊客がだん