初心忘るるべからず

高校時代に読んだ本で、記憶に残っているものを一冊挙げるとすれば、私にとってそれは「金持ち父さん貧乏父さん」が当てはまる。

基本的には「会社」という仕組みを使って「資産運用」しましょう、という内容の本だ、と記憶していた。

今年の1月、自分の抱えていた大きな仕事を手放すこととなった。他の仕事は継続しつつも、今後の身の振り方をどうするか考える中、妻にも相談をした。彼女の勧めで、自分の考えてきたことなどを振り返って話してみたところ、自分が「会社」という仕組みに興味を持ったきっかけがこの本だ、ということを思い出した。

妻から「もう一度読んでみるのもいいんじゃない?」と提案され、購入して今読み始めているのだが、これが記憶していた印象と全く異なるから驚いている。

大きな仕事を手放す、辞めるということが、今回の場合は収入を大きく下げることと直結した。その為、「先ず新たな仕事をいただかなければ」と焦燥感を膨らませたのが、仕事を辞めた直後の正直な気持ちだった。自分には妻も子供も2匹の猫と1頭の犬もおり、彼らとの生活をどのように継続していくか、不安を禁じ得なかった。

しかし、この焦燥感をドライバーとして仕事を頂戴しにいくとして、それは自分のやりたいこと、在りたい方向性とのギャップを生み出しかねないと思い始めた。一度ゆっくり考えよう、と思い立った矢先、この本を読み始めたのだが、するとまさに、お金を持たなければならないという恐怖について記されていたのである。これが高校時代の記憶からは全くもって抜け落ちていたのだ。

「初心忘るるべからず」とはよく聞くものだが、まさに長きにわたり「初心」を忘れていたことに気づかされた次第だった。とても良い気付きを頂戴できたと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?