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「未修はダメ、絶対既修」は本当か?ローの選び方あれこれ

 方々からご縁があり、某ローの未修者コースに進学することになりました。一般的に未修者コースについてはいろいろなことが言われていて、「未修なんて」という風潮も一部にはあります。また、未修・既修に限らず「上位ローに行かなきゃダメだ」なんてことを言う方もたくさんおられます。ただ、実際に入ってみて、「どうもそうとは限らないではないか」(筆者の進学先はいわゆる“上位ロー”ではありません)と思い始めたので、期末試験の準備から現実逃避するべくnoteを残しておくことにしました。現在ロー進学を検討されている方のご参考になりましたら幸いです。


最後は相性、そして先輩の口コミがすべて

 ロー選びに見るべきポイントについては、司法試験の合格率、ネームバリュー、奨学金の有無などさまざまなものがあります。そのうち、上位ロー(とくに既修)に進学するメリットといえば、司法試験の合格率とブランド力ということになるでしょう。上位ローには自ずと学力のある学生(誤解を恐れずにいえば、すでに仕上がりかけた受験生)が集まってきますので、自然と切磋琢磨しあう環境が生まれ、またロー側が学生を放牧していても勝手に司法試験に受かっていくということだと思います。

 ただ、ロー選びは合格率やネームバリューだけで決めるべきものでもないと思います。

 特に個人的に重要だと考えているのは、「途中で脱落するリスク」です。せっかくローに合格しても、留年を繰り返して退学になる、あるいは心身の不調や学資の問題で中退することになっては意味がありません。

 無事に卒業し、司法試験の受験資格を得てこそのローです。通いやすさ(立地、オンライン対応の有無)や留年率といった「脱落につながりかねないリスク」は意外に侮れないと思うのです。

 また、心身を健やかに保つためには居心地の良さ、具体的には授業の雰囲気や先生方のノリ、校風も結構大事だと思います。最後は相性とフィーリングです。

 こういった校風や実際の脱落率(たまに他のローに進学したり、予備抜けしたりする層もいるため)といった「目に見えにくい」ファクターは数字やガイドブック、説明会だけでは分かりません。D志社ローに進学されたガッツ氏も指摘されているとおり(https://note.com/kind_eagle331/n/n2802d3822528)、表に出てこない情報というのは確実にあり、それはOBや在学生に個別に訊くしかありません。「中の人」が進学を薦めてくれるなら、それは間違いなく良いローといえるでしょう。

学校選びを間違えなければ未修者コースは悪くない

 ロー選びについては既修・未修、どちらのコースを選ぶかという問題もあります。時短という意味では既修が望ましいですが、個人的には無理に既修にこだわることもないというのが感想です。いい学校とご縁があれば、未修でもいいのでスパッと入ってしまった方がよいのではないでしょうか。

 というのも、今未修に入るのと来年既修者入試を狙うのとではロー卒業のタイミングに変わりはないからです。特に小論文が得意な人の場合、得意科目で勝負をかけるのは受験戦略としては悪くないように思います。

 かくいう筆者も「未修はダメだ、既修に行け」というツイッターロースクールの言説に煽られ、入学するまでは不安でいっぱいでした。しかし、実際に入学してみて、その予想はいい意味で裏切られることになります。というのも、授業が非常に良かったからです。

 既修組の先輩からヘイローは「もともと講師陣に定評がある」と聞いてはいましたが、既修の授業がよくても未修はダメダメ……という現象は(当然のことですが)なかったわけです。基礎的なところでの躓きや勘違いに気づいたり、予備校の授業で教わった内容を修正したりと学ぶことがたくさんあり、予備校組の同期とも「うちの授業、いいよね」と話しています。じっくり学ぶにはヘイローの未修は良い環境で、少なくとも筆者は進学して悔いはありません。

 もっとも、他のローの事情はよくわからないですし、「なんかあかんらしい」という噂のある未修者コースもあるようですから、「未修でもいいから、とりあえずローに行ったほうがいい」とは言い切れません。行って後悔しないかどうかはロー次第という部分も大きいように思います。

 というわけで、未修者コースに入る際に1番重要なのは学校選びです。

 東京一早慶のいわゆる上位ローは「無難な選択」かもしれませんが(合格率も悪くないですし)、それ以外にも良ローはあります。「要件事実をみっちりやる」という噂のH政、オンライン対応が充実しているT波、実務家教員率が高いNローなどなど。最後は相性ですので、ぜひ先入観にとらわれない学校選びをしてほしいと思います。繰り返しになりますが、OB・現役の学生が進学を薦めてくれるローに進学しましょう。これは既修者コースの場合も同様です。

未修者コースに進学する場合の注意点

 未修も悪くないよ、という話をしてきましたが、一点注意点もあります。それは、未修者コースではもともとの制度設計の都合上ハードなカリキュラムが組まれているということです。通常は学部で1年かけて教わるような内容がわずか半年で完結したり、1科目あたりの授業時間が某有名予備校を下回るなんてこともしばしばあります。これは先生方がどんなに素晴らしくてもカバー仕切れる問題ではないため、個々の学生が工夫する(というより自学自習でカバーする)しかないと思います。

 授業は初日からフツーに始まります(さすがに1回目は手加減してくれますが)。予備校経験者でも負荷感がありますので、法律学習経験ゼロの方、いわゆる「純粋未修」の方だと入学後かなり苦労することになるのではないのかと思います。

 純粋未修の場合は遅くともローの入試が終わった後、予備校に入るなり、個別指導の先生のカウンセリングを受けるなりして、進学に備えた方がいいのでは……というのが私見です(もちろん独学もアリですが、法律は難しいので初学者がガイドなしに独りで勉強しようとすると心が折れやすいです)。最後はトータルの学習時間で殴りに行く試験になりますので、学習期間は長い方が有利です。

 ちなみに、予備校の講座でいえばLECのS式やスタディングは価格も比較的手頃であり、スマホで授業が完結します。仕事で忙しい社会人でも通勤時間などをうまく活用すればなんとか完走できるのではないでしょうか。この手の動画講義は倍速再生もできますので、頑張れば入学までに何周か回せると思います。

おわりに

 いくつか厳しいことも書きましたが、ローは学習環境も整っており、とことん学べる素敵な場所です。皆様がよい学校とご縁を結べますよう、心からお祈りしております。




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