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俳人はなぜ、どのように俳句を作るのか

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俳句は、世界で最も短い文学であり、無限の宇宙でもある。一目で捉えられるほど小さいのに、全貌を掴むことは難しい。そんな不思議な世界を、そこに住む方々(俳人)の視点で旅してみる。俳人…
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#インタビュー

俳句は生きる姿勢 ~俳人 仲栄司さんに聴く(3)いまここで共有している時間

俳句とビジネスの2つの世界に身を置くからこその視点で、俳句からイノベーションを考えるという、前回のお話。それも一つのイノベーションかもしれないと感じました。さてここから、栄司さんの生きる姿勢を伺っていきます。 結果とプロセスーー 「墓碑はるかなり」出版後、また新たな執筆活動をされているのですね。 俳句は私自身の表現の一つですが、そこで言えることは限られます。それから、読み手に委ねる部分も大きい。だから、自分が伝えたい、主張したい、ということは文章で書きます。 いまは、「

俳句は生きる姿勢 ~俳人 仲栄司さんに聴く(2)俳句とイノベーション

ここまで、「俳句は生きる姿勢である」という、俳句を真正面に見据えた俳句観についてお話を伺ってきました。ここから、「物事は多面体である」という栄司さんの言葉に習い、別の角度から俳句を捉えていきたいと思います。 俳句とイノベーションーー 俳人としての活動以外に、どんなことをされていますか? 昨年、大手企業を定年退職して、今は、準公務員という立場で、新しい仕事をしています。加えて、「熱帯と創作」という、東南アジアにおける日本の文人を中心とした作品鑑賞の連載も執筆しています。あと

俳句は生きる姿勢 ~俳人 仲栄司さんに聴く(1)俳句は「着眼」

「俳句は生きる姿勢」 福永耕二という俳人がいる。彼は、42年の短い生涯を、俳句ととともに駆け抜けた。冒頭の言葉は、彼の人生を描いた書「墓碑はるかなり」の中に、彼の俳句観を象徴するものとして繰り返し登場する。 俳句には、作者の生きる姿勢がそのまま映し出される。人の心を動かす俳句は、人を心を動かす生き方からしか生まれない。すなわち、俳句は人生と等価である。その覚悟で努力を重ねてきた人によって、俳句の歴史は作られてきたのだと。 この本を読み、その俳句観、そして、それを貫いた福

俳句は短いからこそ、人の心を動かすことができる ~俳人 山本ふぢなさんに聴く

俳句は、世界で最も短い文学であり、無限の宇宙でもある。一目で捉えられるほど小さいのに、全貌を掴むことは難しい。そんな不思議な世界を、そこに住む方々(俳人)の視点で旅してみる。俳人はどのように俳句を捉え、向き合っているのか。なぜ、どのように俳句を作るのか。第1回目は、俳人 山本ふぢなさんにお話を聞きました。 本名:山本公美子 経歴:作句歴19年 ・第12回角川全国俳句大賞 角川文化振興財団賞(題詠部門)受賞 「地祭の竹あをあをと五月かな」 ・平成27年「若葉」艸魚賞受賞(新人