180日後に去る私 34

事の顛末を聞いた工場長が降りてきて
「Oくん、報告はきちんとしてもらわないと困るわ。Hさんが気づいてくれたから良かった様なものの…大きな事故に繋がったらどうするんや」
出ましたね、人のミスが許せない人。

二重に注意したって、Oさんを追い込むだけです。なぜフォローに回らないのか?
責任者ならば、事故をした「人」ではなく「原因」を追求しましょうよ…
私は心底そう思いました。

しかもまだあなたOさんの話聞いてませんよね?
何故片方の言い分だけで全体を判断しようとするのか…本当に理解に苦しみます。
人間は誰だって自分が可愛いので、第三者に何かを説明する時に、ちょっと自分の事を良く言ったり非がない様な言い方をしたり、客観的事実ではなく、主観的に脚色をしてしまうものです。
私だってそうです、決して人に偉そうには言えません。

だから何かを判断するときは、一方ではなく両方または他方から話を聞く必要があります。
責任者が、そんな当たり前のことをしない組織はダメです。言ったもん勝ちみたいになってきます。

現に私の会社は今でも、責任感とか能力ではなく、ただ単に声の大きい人が役職に就いているだけです。
それじゃあ下は着いていけない…

Oさんについては、その日の夕方工場長に話をしました。
「今回の件は、どちらかと言えばHさんに問題ありです。
先輩社員というのは、後から入ってきた人達の規範になるべきですし、後輩がやりやすい環境を整えるのも仕事の内です。
Oさんから、Hさんとはやりにくい、と言う声が上がってきている時点で、Hさんにも大いに責任があると考えています。
僕はあの2人はもう無理だと思うし、ここらでHさんの言動も正してもらわないと、この先誰と組んでも無理だと思います」

「Oさんに関しては担当の移動を提案します。別に彼が潰れてもいいなら、そのままにしても良いですけど。Tさんはどう考えてるんですか?」

「うーんIさんの言う事はわかるよ。やけど、あの人嫌やから代えるっていうのは…ちょっとOくんに都合良すぎかなぁって思う。
どこの職場やって、嫌な先輩とかおるもんやし、それに合わせるスキルも磨かないと、僕はこの先どのみちウチの会社ではやっていけん思う」

「確かに仰っている事はわかります。しかしもうそんな時代ではないんですよ、今の若い子の感性に会社が合わせる必要もあると思いますね。
これからの人材を育てないと、会社には古い人間しか居なくなって、先細りですよ。
部署の采配はもちろんTさんにお任せしますが…Oさんの声すら聞けないようじゃ、ウチは若い人が育たない会社になりますよ、必ずね」

一回Oさんと面談してみると言ってくれましたが…
やっぱりこの会社は何かがズレていると言うか…
立場の弱い人に対して、優しさがないんです。


会社を去るまで
あと147日

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