180日後に去る私 10
Jさんというのは私やKさんよりも年上で、担当している業務が同じでした。
基本的には、この人の指示通りやれば間違いないという感じでした。
しかしJさんはトラックを運転して製品を納品したり、原料を引き取りに行ったりの業務がメインでしたので、あまり社内には居ませんでした(繁忙期など予定が詰まっている時は一日中、出ずっぱりの事も珍しくありませんでした)
私は業務に行き詰まったり、不安なので確認したい事があるといつもJさんに電話して頼っていました。
工場長は「いつでも呼んでください」と仰ってくれましたが、多忙なので電話が繋がらない場合もよくありましたし、いちいちレスポンスを待っていては仕事が進みません。
それに、現場の事は現場の先輩に聞くのが1番だろうとも思っていました。
このJさんという方は、とても愛想が良くどんな時に話しかけても優しく教えてくださいました。
年下の私に対しても常に敬語を使ってくださり、いつも周りに気遣いをしているが故に、色々な仕事を抱えている様に見えました。
何処の会社でも、能力があって気配りを欠かさず、快く仕事を受けてくれる人には仕事が集中するというのはありがちな事だと思います。
私はその仕事の半分、いや指何本分でも良いから預けてもらえないかと思いました。
仕事という大きな事柄を1人で抱えてしまうというのは苦しく、いつか破綻するのではないかという思いがあったからでした。
優秀で人当たりの良い人に仕事が集中てしまうという事象は、過去に関わりがあった会社(組織)を見渡してみてもよく感じていたことでした。
これは本当にありがちですが、その個人を追い出す事に等しいと認識しています。
優秀な人こそ利益をもたらす存在ですし、この人達の才能を潰してしまう会社は本当に駄目だと思います。
優秀な人を見抜き、評価と報酬を上げる事を惜しんでいると、利益をもたらしにくい人ばかりが組織に残ってしまいます。
一旦こうなると、あとは悪循環で優秀な人が入り辛い(入ったとしてもすぐ辞めてしまう)組織になってしまいます。
これは経営者や管理者が常に気をつけなければならない事だと私は思います。
「優秀な人を伸ばし、サポートすること」
「行き詰まっている人を見つけ、サポートすること」
これが上司に求められる重要な資質ではないでしょうか?
このJさんの件でも例に漏れず、
「この人はいつかきっと辞めてしまうのではないか」
という未来が、私は見えたような気がしました。
会社を去るまで
あと171日
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