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【インタビュー:サヨナラの最終回(中編)】IMALABとのタッグで具現化した、サヨサイのイマジネーション

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僕が主人公になって歌うんじゃなくてナレーションとして全てをやる感じです。その代わり、感情とかは後ろの3人が表現する、みたいな。IMALABからそういう細かいところが全部変わっています。

――今回のIMALAB LIVEライブそのものとして考えると他の配信ライブと比べて、違う所ってありました?

シバタ:僕らIMALAB LIVEからがっつりスタイルを変えちゃったので比較が難しいです。もうここから違うバンドになろうぐらいの考え方をしてたから、やりやすさみたいなものは僕自身はそこまでは変わらないですね。他の課題がもう多すぎましたし。どうだった?

TiG:あえて言うならクルーの空気感はやっぱり違いましたね。この一本この30分に全神経を注ぐぞっていうのが、多分全セクションいい意味でピリッとしてて。それを感じ取ったし僕らもそれに応えなきゃいけないなって思いました。もちろん、どこのライブハウスも配信なんか特に今までやったことないことをやっているわけですけど、今回は各セクションの根性が見えました(笑)。

シバタ:「次やればいいや」がない空間だったね。だってその日しか集まらない、その日以降消失するライブハウスだったんで、IMALAB LIVEって。そういう意味だとやっぱり緊張感の種類が違うんでしょうね。明日からもっとすごいことができるようになるためのスキルアップだなこの日、っていう。だからそういう意味だと他には絶対ないかな。そう考えると他の配信ライブより緊張しなかったかもしれないですね。

――安心感ですか?

シバタ:準備量っていう感じ。

TiG:集中できたのかもしれないよね、やるべき事に。

シバタ:アニメも描いたし、アニメありきだからライブのスタイルをもうずらせないじゃないですか。当日やっぱりこれやりたいかも、とかができない状況なので、ある意味ドンと構えられた。それに対して全員が同じ意識の共有だったので緊張しなかったですね。僕の中ではライブ前に完成してたんですよ。あとはやるだけで。僕、超緊張しいなんですけど。そういう意味では特殊だったかな。

――それは他の方々もそうでしたか?

TiG:僕はもともと緊張しないし、緊張したことないんで。

北斗:3人ともそうなんですよ、割と。緊張のバランス感完全にボーカルに全部振っちゃったんで(笑)。

こう:カヲルが4人分緊張してくれているもんね(笑)。

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―― IMALAB LIVE以降で変わったと言っていましたが、変わったところを具体的にお聞きしてもいいですか?

シバタ:IMALAB LIVEからのこだわりなんですけど、パっと見た時に僕が前にいて、3人が後ろにいるって状態を作りたかったんですよ。ワントップ状態にしたくて。僕は読み手、語り部として色々な物語を歌うんだけど、僕が主人公になって歌うんじゃなくてナレーションとして全てをやる感じ。その代わり、感情とかは後ろの3人が表現する、みたいな。IMALABからそういう細かいところが全部変わっています。

TiG:元々僕らのライブパフォーマンスは結構派手なほうだったんです。こうも僕も結構ベースやギターを振り回すようなパフォーマンスがあったんですけど、フロントマンのシバタカヲルがドシッと構えて演奏することを考えると、やっぱり出過ぎちゃうなって考える部分も見えてきて。ただ折角できるパフォーマンスを抑えるのではなく、他の方法で何かないかと思った時に、3人の立ち位置をグッと下げて彼がフロントマンだっていうのをしっかり出して、僕らもエネルギーを抑えることなく後ろでしっかり支えるっていうアプローチに切り替えたんです。

――なるほど。ドラムの北斗さんが後ろから見た時に、今の状態ってこれまでと全然違いますか?

北斗:あ、もう相当違いますね。今回のIMALAB LIVEが本当に契機だったんですけど、さっきも言った通り本当に想像よりもイケイケなんですよ、ベースとギターが。完全に陽キャなんですよ。それもすごくかっこよかったんですけど、この形になってスッと後ろに下がってきた時に、特にベースとよく目が合うようになったなって感じますし、全体としてはふわっとまとまっていたのが今しっかり形になってるように見えてるので、すごく僕的にもいいかなと考えています。僕自身も割と表情などの面に関してしっかり意識しようと思ってるので、見えない所でもしっかりやってるぞという。いざちらっと見えた時に僕だけ浮いてるのもそれはそれで NG ポイントなので、そこは気を付けるようにしています。

――こうさん的にもリズム隊としてかなりやりやすくなりましたか?

こう:そうですね。今まで結構モニターの前とかに行くこともあったから、その時よりはパフォーマンスも大人しくなってる分……

TiG:大人しくはなってないけど、意識するようになった分、音もよく聞こえるし、3人で支えるぞって意識がより強くなったから、やりやすくなってるんだと思います。

――シバタさんはボーカル的にどうですか?

シバタ:そういう細かい魅せ方ひとつ考えても、本当に僕のいいところをIMALAB LIVEの時から追求することになって、今まで既成のバンドの世界であったいいところとかやらなければならないこと、やったほうがいいことと、別のシバタカヲルの世界ではやったほうがいいこと、やらないほうがいいことってところがうまくスイッチしてる感じです。それが必ずしも今までのバンドの中にあったことじゃないこともあるなっていう。

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IMALABとチームとして組めて、カヲルの中で考えていたことはもちろん、僕ら後ろ3人も含め4人のイマジネーションを全部具現化できるかも、と思えた。


――今回、立ち位置や意識的な部分にも変化が起きたのは「アニメとバンドの融合」ができたことで、やりたいことをやっていいんだと気づいたからでしょうか?

シバタ:そうです。IMALAB LIVEで今村Dと嵐田さん(IMALABの運営スタッフ)が「今回のライブに対してお前達がやりたいことは何だ?」って「お前達の、シバタカヲルのやりたいことって何だ?」ってとこを突き詰めて聞いてくださった。そこで出たことがIMALAB LIVEで形になったので。アニメとライブの融合を25分のライブでやったけど、それってライブハウスじゃなくでかいホールでやるワンマンのDVDみたいな感じじゃないですか。でも「いつかやりたいんだったら今からやっていったらいいんじゃないの?」と気付かせてもらった。

TiG:確かに目からウロコだったよね。今回のIMALABチームと話すようになって、「いつかやろうっていう“いつか”っていつなの?今やったらいいじゃん」とシンプルに言ってくれたのは心強いですし、それをやるには4人だけの力じゃ何ともならないんだよなーってところまでちゃんとフォローアップしてくれるから。IMALABとチームとして組めて、カヲルの中で考えていたことはもちろん、僕ら後ろ3人も含め4人のイマジネーションを全部具現化できるかも、と思えました。

――できないことはないから諦めるのはちょっと違う、と身をもって体験された感じですね。

シバタ:正直な話、IMALAB LIVEってパワープレイなんで(笑)。とんでもない拡張パックが入ってきたからお前らできたんでしょってなるんですけど、僕がアニメ作ってなかったら、今村さんと会っていないですからね。そういう意味だとIMALAB LIVEにこぎつけたのは僕がアニメを描き始めたからだし、その前にアルバムを作ったからだし。そういう意味では、IMALAB LIVEが急に降って湧いたことじゃなくて、そこに行く道筋はあったんだと思います。世界で一番自信ない僕が「自信持てよ」っていうメッセージを言ってるみたいな感じ。本当に、アニメの世界でもバンドの世界でも異端児なので。どっちの世界にも行けないけど、どちらでも生きていきたいんだよな、みたいな。

サヨナラの最終回04


――プロデューサーとかメジャーレーベル側から来てる人たちがたくさんいる状態っていうのって多分初めてだったとは思うんですけど、だからこそ得た刺激や可能性を肌で感じたからバンドの方向もガバッと変わったってことなんですね。

シバタ:そうですね。正直、別に地位があるとか、良いレーベルにいるとかじゃなくて、今村Dがいい人だったんですよ。2回ぐらい話して、僕超自分に自信持てました。レーベルとか関係なく普通に気の良い兄ちゃんで、爆笑してくれたりするんですよね。それで「何やる?」みたいな話になって「こんなんやりたいんっすよ」って話したら「最高!」みたいな。その感じがあったので、良いディレクターさんなのかなって。それまでもレーベルの方が見に来ることもあったけど、それで何かにはなってなかった。だから別に今回の話も全部喜んで飛びついたわけでもなかったんですよね。でも僕の中ではとても信頼のおける人だなと思ったので、自分の中のやりたこと言えたっていう。これまでは言えなかったですからね。

TiG:そうね。何より話を聞いてくれるなっていう。「で、カヲル君はどう思うの?」「TiG君はどう思うの?」という感じで今村Dは僕らの想いをちゃんと最後まで聞いてくれて全部聞いた後に「それならこういうプランがあるよ」「こういうアプローチの方法もあるよね」って提案してくれるし、僕らが「どうすか!これいいんじゃないすか!」っていう、秘めた楽しさがちょっと現れた時に同じテンション感で話しに来てくれるというか。心強いですね。

シバタ:俺とTiGさん、俺とこう、俺と北斗の理想とかもちょっとずつ違うところがある。そりゃバンドだしニンゲンだからちょっとずつ違うんだけど、全員の言葉の真意を汲み取ってくれるっていう。そのレンジがとても広いので、僕達の中で言った言葉に対する浸透度みたいなのが、今村Dだけじゃなくて、IMALAB全員高いんです。ちゃんと見てくれる人達がいてくださるチームだからこそ、ああいうライブができたんですよね。どっかでシバタカヲルに引っかかってる人がいたら多分無理だと思うし、すごい良い人たちだった。

サヨナラの最終回05


――そういうメンバーに出会って方向性が見えて、この先も映像と音をシンクロさせるとか、そういうのもどんどん導入していくような方向になりそうですか?

シバタ:まだ、結構未定な部分はありますけど、やっぱり楽曲遵守だと思うので。楽曲がよく見えないのに映像を入れたら微妙かなとも思うし。惰性になってくるようだったら、やっぱりまた違う表現を探したらいいかなとか、極端に言えばライブが全てではなくなってくるかもしれないし。

TiG:あくまで楽曲を良くする為の演出としてIMALABではアニメーションというものを使ったというだけの話で。僕らもIMALABと出会ってやってみてこういうアプローチもあるんだ、という驚きがありました。今後ライブ活動がしっかり再開できて本数も増えた時に「この曲にはこの演出がいいね」っていうのを誤魔化しにならないような演出で一曲一曲やっていきたいです。今作っている曲も30曲近くあるので。

――プラスアルファなところですね。

TiG:そうです。楽曲の良さを通り越した映像演出やっちゃうとそっちに目がいっちゃうじゃないですか。そうではなくて、楽曲を良くするためのアプローチとしてどんどんこういう引き出しが増やせたらいいなと思っています。

>>後編へ続く

インタビュー:倉田航仁郎
文・構成:鈴木美穂/倉田航仁郎/松村翠
ライブフォト:TAMA/クマタマサアキ

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