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【インタビュー:blondy(前編)】 IMALAB×blondy。誰かと一緒に何かを作り上げるということ、誰かに頼るということ。

――「何年も何十年も、音楽で一緒にドキドキ出来る新人アーティストに出会いたい」
そんな想いから、ユニバーサルミュージック/EMI Recordsで音楽プロデューサーを務める今村圭介が2020年7月に立ち上げた新人アーティスト発掘プロジェクト「IMALAB(イマラボ)」。そして、発足から約2ヶ月で開催された第1回オンラインライブ「IMALAB LIVE EXPERIMENT #01」。

他の2組と異なり、事前収録という形で今回の配信ライブを作り上げたblondy(ブロンディ)。モデルの老月ミカを迎え、初めての4人でのライブ。そして、ステージを降りてフロアでの演奏。より深く、世界観を届けるために書き下ろされた短編小説。全てが初めてで、特別だった。

今回、「IMALAB LIVE EXPERIMENT #01」のライブ映像が改めて公開されるにあたり、今一度、出演アーティストであるblondyに当時の実際の気持ちや今後の活動についてインタビューを行った。

4人で1つ、ライブでもなく、MVでもない
あのライブは、あの日あの瞬間にしかない〝もの〟になったと思います

――「IMALAB LIVE EXPERIMENT #01」のライブ映像が再度公開されるということで。開催から約2ヶ月半が経ちますが、当時の記憶は鮮明ですか?

blondy : はい。しっかりと残っています。

――普段は大阪で活動をしているblondy。今回は東京での収録でしたが(新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、blondyのみ事前にライブ収録を行った上で放送という形を取った)、東京でのライブ経験はあったんですか? 

濱田大地(Dr.): はい。下北沢を中心に、何回かありました。

――blondyは普段のステージ上でのライブとは違って、フロアライブを行って下さいましたね。しかも、真ん中に、メンバーではないモデルの方がいるという特別な状況でした。メンバーみなさんの視点で、どんなところが一番観てほしいポイントになりましたか?

木下茜(Ba.) : 普段はもちろんメンバー3人だけで演奏していて。でも、今回はフロアにセットを組んでいただいたり、真ん中にメンバーではない老月ミカさんがいたりして、まず形から違って。加えて、老月さんが私たちの曲に合わせて小説を読んでくれて。そこが一番のポイントですかね。結果、今までやり慣れていた曲たちの解像度みたいなものがぐっと上がった気がして、すごく新鮮な気持ちでライブをすることができました。

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――この、真ん中にメンバー以外の人間を置くという演出が決まってから収録当日まで、blondyとして考えたことやこだわったことはありますか?

陸(Vo./Gt.) : いつもと違うことをするのだから、お客さんがより僕たちの表現したいもの、歌詞に出てくる情景や風景などが汲み取りやすくなるようになればいいなと思っていました。バンドの音や僕の言葉(歌詞)だけでは届けにくい、感情移入してもらいにくい部分の入り口として老月さんを利用したいなと。その為に、老月さんには僕が実際にこのライブの為に書き下ろした小説を読んでもらいました。

――全てにおいて、〝新鮮さ〟というところがポイントになってきそうですね。他にも、ライブの見どころや感想はありますか?

陸 : ライブ収録をするために東京に行くことも、フロアライブで且つ真ん中にモデルさんがいて…とかも、全部が全部初めての経験だったから、撮った映像を実際に自分の目でちゃんと見てみるまで正直感覚がわからなかったし掴めなかったんです。でも最終的に、良い「ライブ」をしたというよりも良い「曲」「もの」を作ったという感覚です。収録が終わって映像を見てみたら、老月さんや自分以外のメンバーの緊張、表情がライブが進むにつれてだんだんとほぐれていく様子がなんだか良い感じで。それを見て初めて、これは安心してお客さんに届けられるなと納得ができました。

――普段のライブも、演奏が進むにつれだんだんとボルテージが上がっていく感覚はあるとは思うんですけど、普段よりももっと壮大な世界観や色、そんなものが見えたと。

陸 : はい。トンネルから出て、広いところに出た感じでした。

――その感覚はきっと配信ライブを見てくれた人たちにも伝わったと思いますよ。

濱田 : 収録ライブということで、最初は「映像を作る」つもりで臨んでいたんですけど、実際に演奏し始めたら思っていたよりちゃんと「ライブ」ができました。その中でも、「今までにできないことができている」という感覚は強くて、やっぱり、新鮮でした。

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――ちなみに、どのタイミングで老月さんを真ん中に置くのが面白いってなったんですか?

陸 : 収録に向けてのミーティングを重ねている中で、いわゆる普通の配信ライブじゃないことをやろうってなって。たくさん考えました。その中で、IMALAB運営の嵐田さんに「メンバー以外の別の人間を置いて、小説っぽくしてみるのはどう?」というアイデアをいただいて。そこから一気に広がりましたね。

――結果、その文学的なところが面白かったなと。僕は収録の現場にはいなかったのですが、例えばドラムの位置の話で、あれは実際いつもよりメンバーとの距離が近かったり老月さんが近かったり?演奏していて、普段のライブと具体的に何かを変えた部分はありましたか?

濱田 : 外的要因を除いて、他はあんまり気にしないようにしていました。最初はどうやったらいいか分からなかったから、無視していたんです(笑)。でも、リハーサルをやって、老月さんの声を聞いて、第三者の声がライブ中にあんな風に聞こえる事はないから、それでハッとして。そこから、作りたい理想の空気みたいなものだんだんが分かっていって、4人の間に流れて…。どうやったというよりかは、本当にその場の雰囲気でやりました。だから、あのライブは、あの日あの瞬間にしかないものになったと思います。

――ライブでもなく、でも、MVでもなく。本当に丁度その間のような感覚でしたよね。老月さんを含め、4人で1つ。そして、ライブと言えばライブ、映像と言えば映像…。言葉では表せない感覚、空気感が大きな見所の一つだったかな?と。

blondy : そうですね。

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――そう言えば、本番中にちょっしたとミスがあったという話も聞いたんですが…。実際、そこから何か変わったりしましたか? 

濱田 : 実は、本番で老月さんが予定していたセリフを読み飛ばしてしまったんです。でも僕ら、誰かの音が出なくなったりとか、ミスしたりとか、いつも何故かそういう場面以降でライブが良くなるんです(笑)。だから今回もその(想定外の)タイミングで、変なスイッチが入って、そこからさらに良い演奏ができた気がします。

陸 : 急にドラムが大きくなって、それで、僕も、おお、ええやんええやんって(笑)。

――ライブって、本当に何が起こるかわからない。難しいですよね。

陸 : 難しいですよね。今回、生じゃなくて、ライブ映像を撮るってなって、力任せだけじゃ伝わるもんも伝わらんなって。当日までずっと悶々と考えていました。ただ、結果、シンプルにしっかりやることだけをライブでは意識して。でも、だから、その時の一瞬一瞬に集中してやる、という意識は3人とも持って取り組めたと思います。 

>>後編へ続く


インタビュー:遊津場/文・構成:舛屋史子
ライブフォト:シロ

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