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魚座22度「シナイから新しい法則を持ち降りてくる人」

魚座22度のマーク・エドモンド・ジョーンズのサビアンシンボルは、A man bringing down the new law from Sinai.「シナイから新しい法則を持ち降りてくる人」。

ディーン・ルディアは、この魚座22度のサビアンシンボルを、A prophet carrying tablets of the new law is walking down the slopes of Mount Sinai.「シナイ山の斜面を歩いて降りる、新しい法の石板を携えた預言者」と言い換えました。

the new law 「新しい法則」なのか、 tablets of the new law「新しい法の石板」なのかなどの、細かい違いはありますが、この二人のサビアンシンボルには、ほぼ同じことが描かれているということができるでしょう。

ここに描かれているのは、旧約聖書の『出エジプト記』などに記されている、「モーセの十戒」のおはなしと言われています。『出エジプト記』とは、モーセが、虐げられていたユダヤ人を率いてエジプトから脱出する物語で、エジプト脱出とシナイ山での契約が二つの大きなテーマとなっているそうです。

このサビアンシンボルの度数である22度は、一つ前の21度で得た高揚感をクールダウンさせることで着地・安定させる性質があるとされています。

魚座の場合、この一つ前の21度は「小さな白い羊と子どもと中国人の召使い」で、ここには純粋な宇宙原理としての母性性や、守護天使やガイドからの保護が描かれています。

つまり21度で得られた精神的な高みにおいての体験から、その次の度数である22度においては、そこから降りてきて環境の中にグラウンディングすることが描かれていることになります。

ルディアも自身の著書の中で、このサビアンシンボルのキーノートとして「偉大な『ピーク体験』として明らかになった明確な認識を、日常生活のレベルにまで落とし込む必要性」と書いています。

そして「ここで重要な点は、最高の経験、つまり内なる啓示を経験した後、何をするかということです。」としたうえで「基本的な問題は、それを正しい精神でどのように遂行するかということです。」と書いています。

この度数のドデカテモリーは蠍座となりますが、蠍座は心理としての一番深いところをその象意に持つサインです。これは深層意識ということもできる、人類の集合無意識に通じるものでもあります。

精神の極みの最高の体験をした後で、それを現実的な足元にまで定着させるということは、この蠍座的な深い井戸のような深層意識のパイプを、最高の高みから、一番深くまで通じさせることができることを意味します。

それができたからこそ、モーセが得た内なる啓示は、世界中に広がって行ったということができます。キリスト教において旧約聖書というとき、「旧約」すなわち古い契約というのは、このシナイにおける神と民との契約のことを指しているともいわれているのだそうです。

これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、下降ということにフォーカスすると良いということがいえます。

現代という時代は、大いなる存在との関係性が、一度、断たれたり薄れたりする中で、科学技術なども含めた物質的で理知的な要素が拡大発展している時ということができます。

いわば、神とも呼ばれて来た上位の存在とのつながりが遮断された状態の中で、スピリチュアルに目覚めることを求める人たちは、上へ上へと開いて行こうとする姿勢を持つことになります。

そのようなスピリチュアルなすばらしい体験の中で、考え方や言葉そして生命力を、大いなるものから受け取ることがあるわけですが、それはそのままにしておくと、形なき世界の中の出来事として、時間と共に忘れ去られることも起きてきます。

精神の高みで得たものを携えて降りて来た時に、それをどのように形ある世界と結びつけて行くのかは、そこに、その人なりの姿勢が問われることになるわけです。

魚座22度 今季洋