牡羊座14度「男と女のそばでとぐろを巻く蛇」
マーク・エドモンド・ジョーンズの牡羊座１４度のサビアンシンボルは、A serpent coiling near a man and a woman.「男と女のそばでとぐろを巻く蛇」。
ディーン・ルディアの牡羊座14度のサビアンシンボルも、もともとのジョーンズのものと同じ、A serpent coiling near a man and woman.「男と女のそばでとぐろを巻く蛇」です。
ここには「蛇」を表わす単語として serpent が使われています。英語で蛇の意味で最も一般的に使われるのは snake らしいのですが、それではこの serpent とはどんな蛇を表わしているのかというと、「大蛇（だいじゃ）」と呼ばれるほどの大きな蛇なのだそうです。
serpent は、聖書などの神話で出てくる蛇を指す際には頻繁に使われるそうですが、実際に街中に serpent ほどの大蛇が出てきたら大騒ぎになりますので、日常生活で使用することは稀な言葉とのことです。
またserpent は、西洋では古き蛇、つまり悪魔の異称として使われてもいるそうで、古代から近世にかけてはドラゴンとかなり混同されてもいたようです。
これらのことから、このサビアンシンボルに描かれているのは、エデンの園のアダムとイブと、そこに出てくる蛇という解釈が成り立ってきます。リンダ・ヒルは『サビアンで読み解く運命事典』の中で、次のように書いています。
「『蛇』がアダムとイヴに差し出したのは、自己認識という贈り物でした。それゆえ二人は、自分が裸でそれは罪深いことだと知ってしまいます。『蛇』は二人に、知識と罪の二つの贈り物をしたのだと言います。蛇は、ある状況に不安や悲観を感じさせるものの象徴です。その一方で、深い自己認識、自己探求の欲求も象徴します。」
これは、人間の左脳が発達して行くプロセス上にあらわれた現象と考えることができそうです。左脳が発達する以前の人間は、エデンの園に住んでいたといえるわけですが、このときの人間のありようを、まだ幼い子どもの頃や、日本の縄文時代などの太古の昔の人間のありようと、重ね合わせて推測してみることもとても興味深いことと思われます。
このサビアンシンボルの度数である14度とは、自己の中心軸にある本質を表わす数字で、とくにこの牡羊座などの活動宮の14度は、自己の片割れ的な要素を取り戻すことで、それによって普遍性に回帰する度数ともいわれています。
それに加えて、この度数のドデカテモリーは乙女座になります。乙女座は△と▽が組み合わさってできる、六芒星のエネルギーを持ったサインです。この△と▽は、ここでは、それぞれ男と女に当てはめて考えることができるでしょう。
これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、恋する他者との出会いがもたらす、二つのギフトに目を向けてみると良い、ということがわかります。
恋する人と出会ってお付き合いが始まったとき、人は天にも昇る気持ちになったりもするだろうと思います。かつて灰色だった日常は、色とりどりの楽園へと変貌したりもします。この恋の高みというのは、不思議なシンクロや神秘的な出来事もバンバン起きたりするような、高い意識状態の世界です。
つまり、この恋人たちは神話的世界であるエデンの園に住む、アダムとイブにを体験していると言っても、過言では無いかも知れません。おそらく恋人たちは、このすばらしい時間が永遠に続くことを願っていることでしょう。
そして、また、恋する二人は日常を共にすることで、もう一つのギフトを手にすることになります。たとえば二人が結婚することで、グラウンディングの方向性が強まって行くことになります。
二人は家庭を作り、子どもを育てることを選ぶかもしれません。そうなると、家庭を維持しや家族を養うために働くことになるかと思いますが、これらのことは、この現実世界での生き方が決まり落ち着いて行く（グラウンディングする）ことに、繋がって行くことになります。
このように考えると、エデンの園に住む蛇は、単に「知識と罪」の二つの贈り物をするだけの存在なのではなくて、その人にふさわしい「生きてゆくパワーや方向性」を与える神的存在であるように思えてきます。
男女というのはひとつの二極分化ですが、そこから解放されている人々もあって、たとえばそれは、童（わらべ）などの性の分化が起きる前と、翁（おきな）や 媼（おうな）などの、もうすでに性からは解放された年齢域の人々などがこれにあたりました。
この二つに挟まれた中間の年齢域のばあいでも、選ぼうと思えば自己完結する道筋をナビゲートしてくれるスピリチュアルの世界もあることを、ここに書き添えておきたいと思います。
これらの世界は、光に満ちた、とてもおだやかな世界です。
