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魚座09度「騎手」

魚座09度のマーク・エドモンド・ジョーンズのサビアンシンボルは、A jockey.「騎手」。

ここに描かれている jockey「騎手」とは、上手に手綱を操って馬が持つ能力を最大限に引き出す人ということができます。

それでは、ここで「馬」が象徴していることとは、一体何でしょうか。それは次のような、いくつかのことが考えられます。
● 体力や気力などのいわゆるパワーそのもの。
● リビドー(情動)の力や感情の力。
● 人間が持っている本能的な要素とか無意識的な部分。
● アニマやアニムスに象徴される異性、およびそれとの関係性。
● 大地母神のものとされてきた自然界のエネルギー。

これらのものと向かい合ってより良い関係性を作って行くことが、人の最大のパワー発揮に繋がって行くといわれています。ここのところは生きて行くうえでとても大切なポイントとなるということができるでしょう。

たとえばタロットのコートカードには4つのステップが描かれていますが、その中のひとつ「ナイト」の絵柄には、馬に乗った騎士が描かれています。

このナイトのひとつ前には「ページ」と呼ばれている見習い中の若い人の段階があります。このページが認められたり力をつけたりして、「馬」を手にすることができたのが「ナイト」となります。

ナイトの段階になると、ページのときに比べて、飛躍的に行動範囲が広がり速度も高速になります。ナイトはそれができるだけの技術力と経験を身に付けた人ということになるわけです。

ディーン・ルディアはこの魚座09度のサビアンシンボルを、A jockey spurs his horse, intent on outdistancing his rivals. 「ライバルを引き離すことを意識して、馬を駆り立てる騎手」と言い換えました。

この度数のドデカテモリーは双子座なのですが、こちらのルディアの文章に出てくる intent on outdistancing his rivals 「ライバルを引き離すことを意識して」という表現は、実に双子座的ということができます。

双子座というサインの中には、このような「ライバルを引き離すことを意識して」競り合うという要素を見ることができます。たとえば「体育の授業でマラソンをしているときに、人を追い抜くときが一番の快感です。」みたいな、競争して勝つことをよろこぶ要素を、双子座はシンプルに持っています。

しかしこれは、「自分がどこまでできるのか、やってみたい」という双子座の基本的な性質の延長線上にあることなので、「トップの座に座ってそれを保持することにこだわる」とか、「相手を蹴落とすためにいろいろと裏工作をする」というような要素は、双子座は持っていません。

小さな子どもに、「よし!競争だよ」というと、こどもたちが「わーっ」と喜んでやり始めますが、それに似たようなあっけらかんとした楽しさがあるのが双子座の競争心ともいえます。

ルディアは、自身の著書の中で、「このシンボルがどこで見つかっても、それは、それがどのような目標であっても、迅速な達成に向けて、その人の全存在を刺激する必要性を示しています。」と書いています。

これは、単なる作業のスピードアップのことではなくて、意識状態や存在状態を、より高速にするということを示していることになります。

タロットのコートカードの「ページ」は、通常の一般的な意識状態を表していますが、それが「ナイト」になると、意識状態や存在状態自体が高速になって行くのです。いわゆる「ゾーンに入る」というようなことも、ここでは起きてくることになります。

このサビアンシンボルの度数である09度は、そのサインが持っている哲学性を表わしていると考えられます。つまり、そのサインのベースになる考え方や理念が描かれているのが09度ということになります。

高速な意識状態になると、どのようなことが起きるのかというと、いわゆる「雑念」や「妄想」を振り切った存在状態になります。魚座サインは、物事を仕分けしたり分類したりしませんので、ほんらいは「雑念」や「妄想」とも平気で同居しているサインといえます。

しかし、哲学性を追求するときには、どうしても「雑念」や「妄想」を振り切って、中枢の核となるものを見つけ出さなくてはなりませんから、そのための方法として、「騎手」になって意識状態や存在状態を上げているということになるわけです。

これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、何でも得意なものを極めて行く姿勢を持つと良いということがわかります。

この高速な意識状態は、「専門家的悟り状態」とも言われているようですが、何か一つのことに集中することをずっと繰り返して行くと、そのことが上達して行くし、勘が研ぎ澄まされて行くわけですが、その中で、この高速の意識状態は生まれるといわれています。

受け身に見たり聞いたりしている状態は「ページ」になります。ここでは、能動性を使って積極的に行動して行く中で、雑念や妄想を振り切った意識状態になり、そのような状態でしか見えない景色を見るということになります。


魚座09度 今季洋