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魚座13度「博物館にある刀」

マーク・エドモンド・ジョーンズの魚座13度のサビアンシンボルは、An sword in a museum.「博物館にある刀」。

ディーン・ルディアはこの魚座13度のサビアンシンボルを、 An ancient sword, used in many battles, is displayed in a museum.「博物館に展示されている数々の戦いで使われた古代の剣」と言い換えました。

もともとのジョーンズのサビアンシンボルと比べてみると、an sword「刀」には ancient 「古代の」と、 used in many battles「数々の戦いで使われた」という表現が加えられ、そしてまた、ジョーンズの in a museum「博物館にある」というちょっと漠然とした表現に、is displayedが加えられて、is displayed in a museum「博物館に展示されている」となっています。

つまりルディアは、その刀は今は博物館に飾られているけれど、これは数々の戦いで使われてきた古代の剣なんだよと、刀の現在と過去を描くことで、時間的なスケールの大きさを書き加えたということができるでしょう。この時間や空間の枠が取り外されたスケールの大きな世界観は、魚座独特のものということができます。

このサビアンシンボルの度数は13度で、13度という度数は「カリスマ性」を持っているといわれています。そのことから、このサビアンシンボルは、よく「エクスカリバー」に置き換えて考えられてきました。

「エクスカリバー」とは、アーサー王伝説に登場する岩に刺さった剣のことで、この剣には魔法の力が宿るとされています。これを引き抜くことができた者は、ブリテン島の正当な統治者、つまりイングランド王とされると語られているのです。

そのような、統治者が持つことが許される権力の象徴としての「刀」を、この魚座13度のサビアンシンボルの上に読んで行くことになります。しかし、このサビアンシンボルにおいては、そのような刀は、博物館の中に収められていることになります。

『サビアンで読み解く運命辞典』の中でも、著者のリンダ・ヒルは「『剣』には、強い、英雄的、金属的、鋭い、硬い、近づき難い、といった男らしいイメージがあります。」とした上で、「『剣』はそれ自体の仕事をすでに終えているので、戦闘や防御とは無縁の場所に収められねばなりません。」と続けています。

剣(ソード)は、それが収まる鞘(さや)を必要とします。そして、その納められている場所が「博物館」ということになります。ここに描かれている博物館というのは、大きな鞘(さや)を表している考えることができます。

それでは次にドデカテモリーを見てみましょう。この度数のドデカテモリーは、度数前半が蟹座、そして度数後半が獅子座になります。蟹座のルーラー(支配星)は「月」、そして獅子座のルーラー(支配星)は「太陽」です。

「蟹座」や「月」からは、個人無意識に加えて「みんなの本心」などの集まりとしての「集合無意識」も読むことができます。そして「獅子座」や「太陽」からは、個人の「~したい」という「能動の意思」などを読んで行くことになります。

時事を読んで行くマンディーン占星術では、「月」は「国民」を象徴すると考え、「太陽」は「国王」や「大統領」などの国家の代表者を読みます。

現代のありようとしては、地球のどこかで「刀」を振るうことが起きると、それはその一部の国の出来事であるだけに留まらず、世界中の多くの人々に何らかの形で影響が出る世の中となっていますから、ここでの「月」とは、「国民の」ではなくて「地球上のみんなの」本心とも、いえるのかもしれません。

国家の代表者と「みんなの民意」が大きく乖離している状態では、エクスカリバーの剣は、けして魔法の力は発揮することが無いということができます。つまり、そのように「民意」から離れた代表者は、正当な統治者で居続けることは難しい、ということになります。

これらのことから、このサビアンシンボルを活用して行くには、分離ではなく統合への意識の切り替えが大切であることがわかります。

剣(ソード)は「切り分ける」、つまり分離の象徴です。このパワーを使って、近代以降、左脳を使うことのウエイトが強まってきました。そのことによって、科学技術やインターネットなどは著しい発展をしてきたことになりますが、あまりにもそちらにバランスが偏り過ぎると、さまざまな弊害も起きてくることになるわけです。

今は、YouTubeやスピリチュアルの世界などで、ネオ縄文ということがブームになっていますが、縄文時代は「剣(軍事力)で人を殺し合うようなこと」の跡が見られない時代であったと言われています。

この縄文時代の人々は、地球の大自然とも調和して暮らしていました。この大自然とも統合された調和の世界は、じつに魚座的世界ということができるでしょう。

剣で象徴される分離・分断などの「左脳」が暴走していない世界は、おだやかで、やすらかで、あたたかく、生命に満ちて、みんながつながり合った世界です。


魚座13度 今季洋