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モンスターとアメリカ

トランプ大統領の言行をどう考えられるでしょうか?彼は紛れもなくモンスターだと思います。見方によっては自己中心の狂人です。とてもまともな人物とは思えません。

トランプ氏は自らの政治理念はアメリカ・ファーストと称していますが、本質はトランプ・ファーストです。トランプ氏が一個人であれば大した問題ではありませんが、世界最大の権力者であるアメリカ大統領ですから、これは大問題です。大統領選挙の敗北を絶対に認めようとしないアンフェアな彼の言行には辟易しますが、辟易では済まされません。まかり間違えば、大規模な騒乱や国家の分断、ひいては内戦を引き起こしかねません。

我々はトランプのような異常者、モンスターが何かの間違いで突然現れたと思いがちですが、どうもそうでないようです。アメリカの歴史上、同様な人物がいたようです。新聞王のハースト、50年近くFBI長官を務めたフーバー、ウォータ-ゲート事件で大統領の職を追われたニクソン、ギャングのアル・カポネなどが挙げられでしょう。

どうしてこのような人物が出てくるのでしょうか?アメリカ人の心の中に、このような人物の登場を待望する心があるのでないでしょうか?人を善人と悪人に二分する、自分が悪人と呼ぶ者のいうことは根も葉もないインチキと断じてとどまることを知らない。ある意味で実に分かり易い。猛烈な勢いで繰り返し白を黒と言い続けるのを見ていると、なんとなくトランプ氏の言う事が正しいような気分になることがあります。トランプ・マジックと言ってよいでしょう。

しかし、騙されてはいけません。この人は非常に悪質、一種の狂人と言ってもよいでしょう。これぞ天下の大悪人です。下手をすれば、戦争を引き起しかねません。人気はあと2ヶ月ほどですが、その間に何が起こるか分かりません。最近、イラン核施設の空爆を強行しようとして、側近に強く反対されて、なんとか事なきを得たそうです。

アフガニスタンやイラクからの強引な撤兵など米国民の人気取りのためにはなんでもします。まさかと思いますが、アメリカの内戦やひいては核戦争まで起こりかねません。何しろいつでも核攻撃の許可を出せると言われる道具が入った黒いブリーフケースをこの狂人が持っているのです。一説には、トランプ大統領が核を使った攻撃を北朝鮮に加える可能性があり得るとの懸念がアメリカ議会にあるそうです。実に恐ろしいことです。

アメリカには悪玉ばかりでなく善玉のモンスター、むしろ英雄というべき人物も多数いると思います。仮想の英雄ではスーパーマンです。実在の最大の英雄は、英国と独立戦争を戦ったワシントンを始めとする建国の父立ち、奴隷解放を行ったリンカーン大統領、国際連盟を創設したウイルソン大統領、第2次大戦を勝利に導いたルーズベルト大統領、アポロ計画を実現したケネディ大統領、公民権運動のリーダーであったキング牧師等など多数います。
産業界では、天才発明家のエジソン、動力飛行機を発明したライト兄弟、自動車の大量生産を実現したフォードなど枚挙に暇がありません。
西部開拓時代には、多数の西部劇の英雄がいました。白人としては、保安官のワイアット・アープ、インデアンとの戦いで全滅したカスター将軍、クロケットなどがいます。原住民としては、アパッチの酋長ジェロニモなどがいます。

学者、技術者しては、フランクリンが特に有名ですが、アインスタインを筆頭とする移民が重要な働きをし、アップルのスティーブ・ジョブスに見るようにこの傾向はますます加速しています。アメリカのノーベル賞受賞者は400人近くに及び断トツであります。更に重要なのは、近年ますます増加しています。イギリスの126名が第2位です。ロシアは20名、中華人民共和国はわずか3名に過ぎません。ノーベル賞に見る限り、西欧諸国が多いが、特に民主主義国家が多いのが大きな特徴であります。

文化界、宗教界はよく分からないので、取りあへず省略します。
ここで、アメリカならではの注目すべきことがあります。それは英雄となったリンカーン、ケネディが現職大統領の時に、およびキング牧師が暗殺されたことです。これは進歩派と保守派の間に根深い対立があり、追い詰められた保守派が暗殺という強硬手段に訴えたためです。

信じ難いような、大変革を実現した進歩派の大統領がいました。一方、アメリカは世界で断トツのノーベル賞受賞者を出しています。これはアメリカという若い国家、広大な国土とフロンティア、それに民主主義という自由な言論という背景がもたらしたものと思います。南北アメリカには多数の国家がありますが、アメリカ合衆国のような大国家になったものはありません。それは良かれ悪しかれ、ヨーロッパの古い体制の下に国づくりがされた国家です。自由と民主というものが、国家の発展のためには、いかに大切かが分かります。

しかし、自由と民主が万全かというとそうではありません。アメリカは恐ろしい暴力国家でもあります。近代国家で自由に銃を所持できる国家はありません。「自分の身は自分で守る」と言うのは、恐ろしい暴力国家なればこそです。そうゆう社会には言論を軽んじて、暴力で決着を付ける伝統があるのでしょう。戦時中の日本軍部のような「問答無用」が横行する社会です。このような社会では愚かで無能なものが自分の不遇を反省することなく、故なき疎外感と不満を肥大させます。

そこに、トランプ氏のような人物が現れると、愚かで無能な者たちがトランプ・マジック惑わされてしまう危険があります。建国以来、常にこのような危険があったと思うのですが、今回のトランプ氏が大統領の4年間が築いた「愚者の天国」ぶりはひどいものです。

トランプ氏は選挙に敗れたにも係わらず、負けを認めずに大統領の職に留まっているのは実に嘆かわしいことです。世界の平和と安全のために、トランプ氏からバイデン氏への政権移譲が実現して欲しいものです。

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