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アメリカ大統領選挙とコロナ・パンデミック

人類に取って、今年は大変な年でした。昨年の12月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは短期間のうちに世界中に万延しました。本日(11月7日)の時点で、感染者累計4,900万人、日々の新規感染者50万人、死者124万人に達しています。正に大パンデミックです。

今回のパンデミックは人類に大きな影響を与えると言われています。目下、グローバルな人の動きはほとんど止まっています。毎日、人で溢れていた空港は閑散としています。間断なく離着陸していた旅客機はほとんど飛んでいません。駐機場に止まったままです。

大量の旅客需要で大繁盛していた旅客業界は、一転大赤字になり、事業存続が危うくなっています。これらはすべて、一見取るに足らぬ存在のように見える新型コロナウイルスのもたらしたものです。

折しも米国では大統領選挙が行われ、世界をその結果を固唾を飲んで注視しています。そこで、「アメリカ大統領選挙とコロナ・パンデミック」という観点から、コロナ・パンデミックが我々に及ぼしている影響を考察して見ました。コロナ・パンデミックが人類に及ぼした影響は何だったでしょうか?

最近の人類は「経済成長第一」という価値観で世界の発展の方向を考えて来ました。その結果が「都市化」、「グローバル化」でした。何らの疑いを持たずこの方向が人類進歩の正しい方向と信じて、闇雲に突き進んで来ました。その先頭にたっていたのが、米国およびトランプ大統領です。その足元をすくう形で現れたのが、コロナ・パンデミックでした。コロナ・パンデミックはこの方向性の危うさを浮き彫りにしました。

新型コロナウイルスは人から人へ伝染するものですから、人が密集しなければ広がりません。一方、文明の発達は必然的に人の密集を生み出してきました。経済の発展も人が密集することを必要としました。その結果、過度の都市化、グローバル化が急速に起こりましたが、過度の「都市化」、「グローバル化」は人類という生物種に取って大変に危険であることを、コロナ・パンデミックは浮き彫りにしました。

このことは、世界の平和と安定を願う大多数の人々の意識に大きな影響を与えたものと思います。新しい人類や文明のあり方の模索が始まっています。

この期に及んでも、「経済成長第一」を標榜するのは、トランプ氏を筆頭とする愚かな少数の超保守主義者だと思います。このような人々の過激な行動は派手に眼に移りますが、大多数の思慮深い人々は心の中で冷ややかに見ているのではと思います。

今回の大統領選挙の結果は、トランプ氏に取って大変厳しいものになるのではないでしょうか?要するに、トランプ氏はコロナに敗れたのだと思います。

額に汗して働き、生きる糧を公平に分かつ堅実な世界観、文化感が見直されるようになると思います。少なくとも、いっときはそのようになると思いますが、いかがでしょうか?

しかし、それにしてもアメリカ大統領選挙は実に複雑怪奇ですね!建国以来の歴史の産物と思われますが、もう少し分かり易いシステムにする必要があるのではないでしょうか?他国のことですから、とやかく言える筋合いはないのですが。通信手段の貧弱だった時代に、アメリカのような広大な国家ではこのような選挙制度が必要だったのかも知れません。

激戦6州の接戦が伝えられていますが、それは現在の複雑な選挙制度に起因するもので、選挙人数ではなくて全国での獲得票数で当落を決めるのであれば、結果はもっと簡単に出ると思いますし、今回の選挙では大差でバイデン氏の勝利が早い時点で確認できたと思います。

獲得選挙人の数の決定に関しては2方法があります。すなわち、勝者総取りと獲得票数に比例する方法です。問題は勝者総取りです。勝者総取りは正確に獲得票数を反映できません。人口2,000万人のA州と1,900万人のB州の二つの州があるとします。大統領候補者τ氏とβ氏が争っているとします。候補者τ氏はA州で1,050万票を得て勝ったとします。β氏の得票は950万票です。一方、B州ではβ氏が1,100万票、τ氏が800万票だったとします。

各州の選挙人総数は人口に比例するとしてA州が20人、B州が19人とします。獲得数は勝者総取りとします。そうするとτ氏獲得数は20人、β氏の獲得数は19人ですが、τ氏に投票した人の数は1,050万人+800万人=1850万人ですが、β氏に投票した人の数は950万人+1,100万人=2,050万人です。

すなわち、獲得選挙人数ではτ氏が20人、β氏は19人ですから、τ氏の勝ちですが、全得票数ではτ氏1,850万人、β氏が2,050万人で、獲得票数が正確に反映されないことになります。 

今回は大量の郵便投票の開票に手間取り、最終結果が出るまでにはまだ時間が掛かるようですが、全獲得票数でも選挙人の獲得数においても結果的にはバイデン氏がトランプ大統領に大差を付けるものと思います。

この大勝の原因は、コロナのパンデミックがアメリカ国民に、原点に戻って自分たちのあるべき姿を見つめる機会を与えたためでなかろうか?

4年間のトランプ大統領の行動を見て、アメリカ人が世界に誇ってきたアメリカの民主主義が崩壊してしまったと思ったが、意外に強靭な根っこを持っていることに改めて感心した次第である。

アメリカで何故このような制度が生まれたのかに関心のある向きにとっては、下記のURLの記事を一読いただきたい。
アメリカ選挙人団:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E9%81%B8%E6%8C%99%E4%BA%BA%E5%9B%A3

その中に以下のような解説がある。
交通や通信技術が発達し、全国同時に選挙が行えるようになった後も、選挙人制度は残った。駐日アメリカ合衆国大使館の運営する「アメリカンセンターJAPAN」では、選挙人制度が現在も維持されている理由を以下のように解説している。
1. 憲法に規定された制度であるため、修正が難しい。また、大半の米国民はこの制度を支持している。
2. 二大政党制維持のため、共和党と民主党のどちらも制度変更の動機がない。
3. 同制度がある結果、大統領候補は選挙人の割り当てが少ない(=人口の少ない)州でも選挙運動を行う必要があり、その結果候補者は各地の有権者の関心事を知り、それに対処する必要性が出てくる。
しかし、各種調査によると、選挙人制を廃止し直接選挙への移行を望む人も増えており、特に民主党の支持層にその傾向が強い。

アメリカ大統領選挙のドタバタ劇に刺激されて一文を草しましたが、暇な時間のたっぷりある年寄りのたわごととお考え下さい。

サポートを大変心強く思います。