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『どうして今、未来について考えるのか?』共読による対話プロジェクト“呼問”

挑戦者が集い、イノベーションが生まれるイノベーションハブ・ひろしまCamps。そして、創業を目指す方をオール広島で支援するひろしまスターターズ、県内全域を実証フィールドに起業家が活動するひろしまサンドボックス。
広島県が手掛けるこの3つの事業では、様々なイベントやプログラムが仕組まれていますが、そこに込めた意図や想いを丁寧にお伝えできる機会はそう多くはありません。

そこで、そうした企画を裏側から紐解く場としてnoteを始めます。
伝えていくのはCampsスタッフの今井、前田、井上、ひろしまサンドボックス宣伝部の小林の4人。
頭文字をとって名付けたチーム名は“いま、いこ”です! 

左から、今井、前田、井上、小林です!

記念すべき1回目のnoteは、いまいこの“こ”小林が担当します。

初noteは、呼問こもんプロジェクトについて

そもそも昨年度、Campsと東広島イノベーションラボ ミライノ+が協力して「広島から考える!未来をつなぐ10の問い」というワークショップを開いたのが事の始まり。
VUCAな時代に正解や答えを探すのではなく、「問い続ける力」が必要ではないか、という課題意識から始まった企画です。
1つのテーマに対して、本のプロである編集工学研究所が選んだ4冊の本を4人が1冊ずつ読み、キーワードや気づきの共有をきっかけに「問い」を投げかけ、つなげ、思考を重ね…という対話型のワークショップでした。

このワークショップをベースに、より多くの方に参加していただけるようコンセプトを練り直したのが“未来するブックサロン「呼問」”であり、今年度も静かに活動を広げています。

「未来をつなぐ10の問い」を考えるために用意された本のうちの1冊が、青木真兵さんが上梓された「手づくりのアジール 『土着の知』が生まれるところ」(晶文社)でした。

彼岸の図書館へ

「なぜ私たちは未来について考えるのだろう?」
そんな問いを深めるきっかけとなった本のルーツを訪ねて、取材班は奈良県東吉野村へ。
最寄り駅からバスで30分ほど走り、此岸と彼岸を分かつように流れる川を渡り…

林を抜けて…

そしてようやくたどり着いたのが、人文系私設図書館Lucha Libroです。

古民家を改修した自宅を図書館として、青木さんと妻の海青子さんが読み集めてきた2000冊を超える本を開放されています。

兵庫県からの移住を決めたとき、夫妻は1軒目に案内されたこの家をすぐに気に入ったそうです。

開業して今年で7年目。来館者は年々増え、今ではオープンの日には毎日だれかが訪れるのだとか。

生きることの意味や自分が進む方向を探して、新しい水脈を求めている人たち、例えば転職とか、人生の転機にさしかかっている人が来てくれている気がします。
どんな水脈を探しているのか話してくれて、「それならこんな本はいかが」とすすめることもあれば、話すだけ話して帰る人もいます。(海青子さん)

海青子さんから「いい風がふきますように」と直筆のメッセージをいただきました

Lucha Libroの蔵書には、持ち主が貼った付箋やメモもそのままにしてあります。
その本を借りた人が、「付箋がありませんでしたがこの部分も良かったですよ」と新たな付箋を付けて返してくれる。そんな対話が生まれることもあるそうです。

鹿や鳥の声、雨の音しか聞こえない、川の向こうのそのまた林の中の図書館。
此岸から少し離れたような空間で、静かな口調の海青子さんと、本を起点に話をしたら、これまで自分の中になかった何かを心に宿すことができそうな、そんな場所でした。
数字や効率が評価される社会に疑問を持ち、そればかりではない生き方・考え方を求める人たちが集まる場所なのかもしれません。

__私たちも迷いながら“呼問”を手探りで進めています。何かお勧めの本はありますか?(取材班)

それなら、「彼岸の図書館―ぼくたちの『移住』のかたち」(青木真兵・海青子著、夕書房)を読んでみてはいかがでしょうか。私たちのストーリーが赤裸々に綴ってあります。(海青子さん)

__どれだけ多くの方が共感してくださるかわからないのですが、普段心の支えにされていることってありますか?

この図書館は自宅を兼ねていますので、お客様がいらっしゃらない時にはリビングとして使っています。儲からなくても問題ないし、肩の力を抜いて無理のない範囲で活動しているんです。

「彼岸の図書館―ぼくたちの『移住』のかたち」さっそく読んでみます

“呼問”で目指すこと。
みんなで「どうして?」を考えたい

効率や利益ばかりが重要視される社会で、毎日なにかに追われ、良くも悪くも力が入りすぎていませんか?

これまで成長ばかりを追い求めて、それに伴って生じる負の側面に正面から向き合ってなかったのではないか、今問い直さなければ子どもたちに未来を繋いでいけないのではないかと自問しています。

なぜ、どうして、本当に?と、既存の常識を疑い、未来の可能性を多くの人と一緒に考え、対話できるようになればと考えています。


EDITORIAL NOTE —小林のつぶやき

「分かる」「分かり合う」という言葉がありますが、個人的には、本当に分かり合えることなんてあるのかな、と疑問に感じています。

なぜなら、思っていること、感じていることをすべて言葉にすることは難しいから。
「言葉にできない」という言葉がありますが、すべての気持ちを表す言葉がこの世に存在しているとは限りません。また存在していても、知らない言葉もきっとあるでしょう。

だからこそ対話の中で、気づきや疑問を交換して、少しずつお互いが寄り添っていくことが大切なのではないでしょうか。
分かり合えないことを分かっていて、表に出てきた言葉だけが全てではないという余白が心にあれば、少し力を抜いて対話を楽しめる気がします。

ライターという文章を書くことを仕事にしながら「言葉にできない」なんて矛盾しているようにも感じますが、取材班の会話のなかで感じた私の素直な気持ちです。


今回はここまでです。
呼問にご参加の皆さんも、ぜひ素直に、楽に、対話を楽しんでくださいね!

チーム“いま、いこ”
“こ”担当 小林

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