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パネットーネ・コンテストIN JAPAN 2022

パネットーネ・コンテストIN JAPAN 2022に参戦させていただきました。

結果は優勝出来ずでしたがコンテストに参戦した事でたくさんの事を得る事ができました。

この幕が大切



毎日生地に入れる卵と、バターの量をいかに増やせるかを考えて取り組み続けてきたパネットーネのコンテスト。


もうパネットーネに関しては完成しているレシピがあるにも関わらず、その限界を越えたいという欲望と野望を抱いて臨んだコンテスト。

それはもう派手に生地を分離させまくりましたね
限界突破というのはそういう事ですよね。

失敗しては明日の自分を信じてまた挑戦するという事をひたすらに繰り返したコンテスト期間。

店に泊まる日も増え、24時間体制で挑み続けました。

知識や技術もさることながら最新鋭の設備を有する方々に勝つにはどうしたらいいか。

私が辿り着いたのは逆転の発想による【完全手練りのパネットーネ】でした。

今回のレシピを公開させていただきます。
パネットーネについての情報交換できたら最高です!

小池師匠


ちなみに、コンテスト会場でのパネットーネのカット役がなんと小池師匠というとんでもないサプライズが(笑)

久しぶりにお会いした師匠に自分の作品をカットしていただけるというご褒美となりました。


ニコラ・オリヴィエリさん


ベスト・パネットーネに選出されているイタリアでも有数の作り手のヴェネト州の「オリヴィエリ1882」のニコラ・オリヴィエリさんとパネットーネのお話しができた事でパネットーネ作りの引き出しが増えました。
やってみたい事だらけです。

【材料とレシピ(パネットーネ2個分で、焼き上がりが1個当たり約1150g)】

・材料

『元種(リエヴィト・マードレ)発酵液』
自家栽培のバルベーラ(ワイン用の葡萄品種) 200g
砂糖(沖縄県産黒糖) 0.5g
水(東京都世田谷区代沢2-46-7 エクセル桃井1F ペペロッソの浄水)430g

『元種(リエヴィト・マードレ)1番目の種』
元種(リエヴィト・マードレ)発酵液 100%
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 200%

『元種(リエヴィト・マードレ)2番目の種』
元種(リエヴィト・マードレ)1番目の種 100%
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 100%
水(コントレックス) 50%

『元種(リエヴィト・マードレ)3番目の種』
元種(リエヴィト・マードレ)2番目の種 100%
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 100%
水(コントレックス) 50%

『元種(リエヴィト・マードレ)4番目の種』
元種(リエヴィト・マードレ)3番目の種 100%
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 100%
水(コントレックス) 50%

『リエヴィト・マードレのリフレッシュ1』
元種(リエヴィト・マードレ) 25g
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 25g
水(コントレックス) 12.5g

『リエヴィト・マードレのリフレッシュ2』
元種 25g
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 25g
水(コントレックス) 12.5g

『リエヴィト・マードレのリフレッシュ次回の元種用』
元種(リエヴィト・マードレ) 12.5g
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 25g
水(コントレックス) 12.5g

『プリモ・インパスト』
リフレッシュ2の生地 136.8g
バター(カネカ発酵バター 食塩不使用。北海道別海町の指定酪農家の生乳100%) 97.8g
砂糖(カソナード) 131g
卵黄(和歌山県龍神村平飼い養鶏所とりとんファーム)
小麦粉(MOLINO DALLAGIOVANNA FARINA 00 W340 PANETTONE Z) 600g
牛乳(タカナシ低温殺菌牛乳)320g
水(コントレックス) 60g
蜂蜜(TESORI DI LANGA アカシアの花の蜂蜜)19.6g

『セコンド・インパスト』
プリモ・インパストの生地 全量
バター(カネカ発酵バター 食塩不使用。北海道別海町の指定酪農家の生乳100%) 150g
砂糖(カソナード) 134g
卵黄(和歌山県龍神村平飼い養鶏所とりとんファーム) 188.2g
塩(MOTHIA SALE MARINO DI TRAPANI FINO) 6.6g
バニラビーンズ 0.5本
レーズン(TOMIZ サルタナ・ゴールデンレーズン オイルコート無し) 490g
オレンジの皮のカンディート(agrimontana SCORZONE D’ARANCIA A CUBETTI 8×8mm) 131g

・レシピ



『元種(リエヴィト・マードレ)発酵液』
バルベーラは葉を1枚と枝を1cmほど付けたまま収穫する。表皮に付着している野生酵母がなくならないように洗いはせずに使用する。
蓋付きの瓶に材料を全て入れて蓋をして軽く混ぜる。24-26度の室温に置き、毎日1回瓶を振って攪拌する。5〜7日間かけて発酵させる。数日かけてバルベーラが完全に浮かび、瓶底に澱が溜まってくれば液体は完成。中のバルベーラを手でざっくりと潰して濾す。濾した後の液体が発酵液となる。

『元種(リエヴィト・マードレ)1番目の種』
分量の元種(リエヴィト・マードレ)発酵液と小麦粉を大理石ので手で練って合わせていく。
捏ね上げ温度は26度。生地の表面がツルッと艶やかになるように手で練り上げていく。
マルケ州カルペーニャのAntica Stamperia Carpegnaの麻の生地に包んで24-26度の室温で12時間発酵させる。

『元種(リエヴィト・マードレ)2番目の種』
元種(リエヴィト・マードレ)1番目の種で乾燥している部分があれば取り除く。分量のものを全て合わせて手で練り上げていく。捏ね上げ温度26度になったらエミリアロマーニャ産の木製のBastone per la pastaで生地を縦伸ばして3
つ折りにし90度反転させて縦に伸ばす。この工程をあと2回繰り返して生地に艶と張りが出るまで行う。台にうつして生地の短い端からロール状になるように巻き上げていく。中央に十字に切り込みを入れて発酵の確認をしやすくする。
麻の生地に包んで26-28度の室温で3.5時間発酵させる。

『元種(リエヴィト・マードレ)3番目の種』
分量の材料を合わせて元種(リエヴィト・マードレ)2番目の種と同じ工程を繰り返す。
麻の生地に包んで26-28度の室温で3.5時間発酵させる。

『元種(リエヴィト・マードレ)4番目の種』
分量の材料を合わせて元種(リエヴィト・マードレ)2番目の種と同じ工程をロール状にするところまで繰り返す。
ポリ袋に包み麻の生地できつめに左右上下と包む。紐を使って縛っていく。18度の室温で12時間発酵させて完成。
生地が正常な状態かどうかはロール状の生地の一部を18度の水につけて24度の室温に12時間漬け置き、浮かんでくればよい。

『リエヴィト・マードレのリフレッシュ1』
元種(リエヴィト・マードレ)4番目の種の工程を経た元種(リエヴィト・マードレ)を乾燥しているところがあれば取り除いて分量の材料を手で合わせていく。生地がまとまったら丸くして麻の生地に包んで26-28度の室温で3.5時間で3倍の大きさになるように発酵させる。捏ね上げ温度は24度。


『リエヴィト・マードレのリフレッシュ2』
リエヴィト・マードレのリフレッシュ1の工程を経た元種(リエヴィト・マードレ)を乾燥しているところがあれば取り除いて分量の材料を手で合わせていく。生地がまとまったら丸くして切り込みを入れてモルタイオに入れて不必要な発酵熱を逃すように26-28度の室温で3.5時間で3倍の大きさになるように発酵させる。捏ね上げ温度は24度。


『リエヴィト・マードレのリフレッシュ次回の元種用』
元種(リエヴィト・マードレ)4番目の種の工程を経た元種(リエヴィト・マードレ)に分量の材料を手で混ぜ合わせる。生地がまとまったら丸くしてポリ袋に入れて麻の生地に包ん18度の室温に一晩置いて次回の元種として使用する。
捏ね上げ温度は24度。  


『プリモ・インパスト』
分量の小麦粉、牛乳、水をボールに入れて手で練る。


大理石に取り出してリエヴィト・マードレのリフレッシュ2の生地を入れて生地を練り込んでいく。



卵黄、バター、砂糖、蜂蜜を少しずつ少しずつ(小さじ1杯)加えて手で練り上げていく。


空気を含むように練る。
全ての材料は常温に戻しておく。
室温に気をつけながら生地の温度が上がり過ぎたり、下がり過ぎたりしないようにする。


手練りの時間は生地の繋がり方によって異なるが、生地均一に繋がるまで練ることが大切。40-60分。

捏ね上げ温度は24度。
手練りのメリットとしての複雑な手の動きを駆使して生地の状況に合わせて練り上げる。


生地が薄く透けるように伸びるようになるように練る。


練り上がった生地の一部をとり出してメモリ付きの入れものに入れて発酵チェック用とする。
24-25度の室温で、チェック用の物とともに12時間発酵させる。

『セコンド・インパスト』


プリモ・インパストのチェック用の練り上がった生地がメモリを見て体積が3倍になっていることを確認する。
体積が3倍になっていれば使用可能。

中身をちょっと切ってみて中を見てみて網目構造に発酵していればよし。

プリモ・インパストだけで5分手で練って生地を鍛える。
バニラビーンズの中身をほぐしてカソナード合わせる。
体積が3倍になったプリモ・インパストの生地にカソナード、卵黄、バター、塩を少しずつ少しずつ(小さじ1杯)加えては手で練っていくということを材料が入り切るまで行う。
生地が薄く透けるように伸びるようにそして膜ができるようなるまで練る。


捏ね上げ温度は24度。
生地を大理石に広げて正方形に伸ばし、レーズンとオレンジの皮のカンディートを圴一になるように散りばめていく。
生地を丸めてボールをかぶせて10分間休ませる。
生地を2等分にする。
それぞれを生地を持ち上げながら折り込む工程を5回する。


生地を丸めてボールをかぶせて10分間休ませる。
さらにそれぞれを生地を持ち上げながら折り込む工程を5回する。
生地を丸めて紙型に入れる。
28度の室温で6時間発酵させる。


焼く直前に十字にクープを入れてサイコロサイズのバターを乗せて150度のオーブンで60分焼き上げる。

オーブンにパンパンにならないようにある程度余裕を持ってオーブンにいれる。


焼き上がったらすぐにパネットーネの底に針(ジーラ・パネットーニ)を刺して逆さまにして一晩吊るして完成。  



今回はパネットーネクラシコがテーマということですので下記のことを行いました。
・セコンドインパストの段階で小麦粉はいれておりません。
・レーズン等のフルーツを洋酒等でマリネをせずにそのまま使用しています。
・紙型は縦長のものを使用。
・リフレッシュ時に水漬けはしていません。

私のパネットーネの最大のこだわりは全ての作業を”手”で作った完全に”手作り手練り”のパネットーネです。
手練りにこだわったのはパネットーネに対してのARTIGIANALEつまりハンドメイドへのリスペクトです。
パネットーネのミキサーとしてダブルアームのミキサーがいいとされていますが、ではそもそもでダブルアームとは何の動きを再現したのか?という結論に至り自身のダブルアームのである自身の両手を使った技術的な原点回帰の要素も含めた手作り手練りのパネットーネとさせていただきました。手練りにすることでより多くの空気中の乳酸菌を取り込めるのでは?という狙いもございます。
また、パネットーネ作りは高額なダブルアームや専門の設備がないとできないといったイメージを持っている方が多く、なかなかパネットーネの製造に取り組もうという方のハードルをコスト面で大きくあげてしまっていると私は考えております。今回の手練りでのパネットーネをご紹介させていただくことで高額な設備がなくともパネットーネ作りに挑戦できるということを発信させていただきました。
専用の設備が必要ではなくコスト面での問題が無くなれば作れる人が増えてパネットーネの普及は加速的に拡大していくのでは?と楽しみにしている次第でございます。
また、専用の設備を持っている方にはパネットーネに興味を持ってくれる人が増えれば増えるほどにその機材の価値も高まっていくことだとも考えています。私が目指したのはパネットーネは作れるという普及性もあるレシピです。

元種の作り方ですが、”この土地”であることを大切にしています。ですので元種(リエヴィト・マードレ)発酵液に使用する水は製造地の水を使用いたしました。
酵母の要となるブドウは、パネットーネ発祥の地であるミラノを有するロンバルディア州らしいブドウ品種であるバルベーラを使用いたしました。ブドウを育てるところから仕込んだ酵母造りをしています。
自家栽培のバルベーラを収穫してパネットーネを作るこの地で天日干しにすることでより”この土地”であることを濃くしております。
黒糖を酵母のために使用したのは元種に関しては”この土地”の味を強く表現したいため日本の砂糖を使いたいと考えました。パネットーネはイタリアの食文化ですが作っている私は紛れもなく日本人です。日本の砂糖文化である黒糖を使用することで日本人が作った酵母であることも表現しました。パネットーネに関しましては製造に関する厳格な規定書があります。そのルールを守ったうえでパネットーネの伝統も守りつつ、素材の見直しや技術進化を盛り込んだ伝統の中にある革新的な運動が表現されたパネットーネを目指しました。
元種の管理中の温度は可能な限りその日の気温を利用しています。可能な限りホイロ等を使用せずにその日の気候を反映させて、2度と同じ日はこないことの儚さを反映させた”その日の味”を作っています。
手作りを大切にしているので練る作業は全て手で行います。

様々な菌の力によって組み上げられているパネットーネ。そのパネットーネに使用する材料には”発酵”を取り入れて製造されている材料を使用して”発酵を重ね合わせた”パネットーネとさせていただきました。
とくにこだわったのは卵黄。遺伝子組み替えでない自家製発酵飼料を与えている和歌山県龍神村平飼い養鶏所とりとんファームの卵を使用しました。土着菌や酵母等の有性微生物で発酵させた自家製発酵飼料には様々な菌が存在しておりその飼料から作られている卵黄によりパネットーネに関わる発酵という力と思いの種類を増やしております。
着色料不使用である自然な卵黄の色にもこだわりました。レモンイエローに輝く卵黄にはパネットーネの発祥の地イタリアミラノの栄華のカラーに通ずるものを表現させていただきました。また、より生産地の香りや空気感が飛ばないようにと、注文をしてから採りに行っていただく鮮度抜群のスタイルの卵です。
この度このような機会を与えてくださったパネットーネソサエティの皆様本当にありがとうございました。自身のパネットーネ作りの根幹を再解釈できる機会となりました。より一層パネットーネ作りに専念して参りますので今後ともよろしくお願いいたします。私のお店のペペロッソでは一年を通してパネットーネを作ってお出しさせていただいておりますので、今大会で得た想いを上乗せして精進して参ります。


井の頭線各駅停車池ノ上駅のイタリア郷土料理店ペペロッソ
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ご来店お待ちしております!!

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購入していただいた代金はさらなるイタリア文化の普及に使わせていただきます!!