向けや

 去年の夏の終わり頃から自動車教習所に通い始め、2月末にやっと卒業したところである。予約が取れないことを理由にサボりまくっていたらいつの間にかこんな時期であった。就活までに取りたかったので年明けから一気に頑張って通った。アホかよ。こういうアホなんだよな。やめろよな、こういうアホは。

 修了検定には一回落ちてしまったんだが、それ以外は非常に恙無く、ええ非常に、非常に恙無く卒業まで漕ぎつけた。私は結構運転が好きかもしれない。教習も毎回なんだかんだ楽しみにしていたし。特に路上は一段と楽しかった覚えがある。

 さて、車校は卒業したものの今度は公安の試験が待っている。勉強し直しておくか、とテキストを開くと遊び紙のところに何やらしっかりした紙が一枚挟まっている。ああそうだ、受けたなあIDP。結構ショックな結果だったので受け取って以来3回くらいしか見ていない。結構初めの方にIDPの見方についての講義も受けたのだが、その時も結果の紙は家に忘れてきたふりをしていた。己ともっと向き合え、就活生だろ。

 大方どういう結果だったのかというと、「お前はハンドルを握るんじゃない」という事を言われた。そりゃ弱りましょうよ。これからさあ免許を取るぞと意欲に沸く若者に対して、それはあんまりに非情なんじゃないの。さらに細かく言えば「運動神経とかにはあんまり問題ないんだけど、性格がめちゃくちゃ向いていなくて最悪」みたいなことを言われていた。短期で向こう見ず、かつ順法意識が低いらしい。

 結果を見てすぐ「は?」と言った。「素直で優しく、法律も守っているが?」と一発で嫌な切れ方をした。「そういうところが短気だっつってんだよ。」IDPが私をあざ笑う。ムカつく~~!わかったような口きいてんじゃないわよ!キー!

 後でいろいろ思い返した感じ、順法意識の低さの原因はひねくれた回答にあったのだと思う。「法律はみんなにとって平等に作られているか?」みたいな質問に片端からバツをつけた覚えがある。だって法律がみんなにとって平等かどうかを問うために法律学があるんでしょ?自分の専攻している学問を根本から否定するのは嫌だったのだ。性格適正的なところでいえば、これはそんなに熟考せずに、「国権の最高機関が作り、司法の番人が運用しているのだから、システム上平等なはずだよね。」と答えるべきだったのだろう。いや、やっぱりなんだか許せない。私が3年間問うてきたものは一体何だったのよ!

 ていうか、法律が平等じゃないかもしれないとは言ったけど、それが法律を守らなくていい根拠になるなんて1回も言ってなくない!?今運用されている法律は守ったうえで、そのなかで齟齬が出てくる可能性もありますから、その場合は適宜修正が必要ですよねって話をしてるの!守らなくていいなんて言ってないんですけど!?誤解しないでもらえます!?人をいきなりアナーキスト扱いしないでよ!!

 あまりにも意外な結果だったんで母や数人の友人に話してみたが、決まって「その様子を見る限り、お前が短気で頑固なのは確実に当たっている。」といたってクールな応対を受けた。「短期で頑固なのが当たってるから、順法意識も深層心理ではほとんどないに違いない。」とも言われた。誰もわかっちゃくれねえや。

 結局3月頭あたりに試験を受け、いい感じに受かった。国は結局、私にハンドルを握らせて良いと判断したようだ。ざまあみろ!紛らわしいことすんなよな!コストコかカーチェイスの予定があれば是非呼んでください。おそらく、カーチェイスに呼んでいただけたほうがお役に立てると思います。



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