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焼き菓子で心を壊す女たち

 北海道から帰ってから2週間が経ち、マルセイバターサンドが切れた。

マルセイバターサンドが切れたっつってんのよ!!

 もうメチャクチャ。情緒がメチャクチャになってしまう。あ〜〜〜〜20個も買ってきたのに。もうズタズタ。メチャクチャかつズタズタ。精神的に蕁麻疹が出ている。心の蕁麻疹に効く薬はないので、六花亭のサイトを見たりして痒いところを無茶に掻きむしっている。蕁麻疹を掻きむしると悪化するのはご愛嬌なので、さらに痒い。マルセイバターサンドに関するあらゆる記憶を消して欲しい。忘れられないからつらいのだ。

 やはり味覚が伴わなければこの穴は埋められまいと、ブルボンのガトーレーズンとかシャトレーゼのシャドーレーズンを買ったりして何とかこの穴を埋めようとした。でも違う。もう全く違う。この2つもそれはそれで美味いんだが、マルセイバターサンドとはまた区画が違う感じがする。こんな気持ちでガトー、及びシャトーレーズンを食うのは申し訳なさすぎる。所詮代替品だから、みたいな劣等感をこの子達に抱かせるようなことはしたくない。

 髪と渾然一体になりながら頭皮をかき回していると、ふと去年の夏頃の友人Kの発言を思い出した。私が沖縄に旅行にいったさい、彼女へのお土産にちんすこうを買ったと報告した時のLINEである。

 この時こそ、「こっわ」としか思わなかったが、今ならわかる。人間には、焼き菓子がライフラインになる時期がある。現に今マルセイバターサンドが存在しないことによってかなり精神に異常が出ている。これが「ヤク切れ」なんだろうか。だとしたらこんなもの法規制するべきであろう。

 というか早く物産展を開いてくれ。早くとかじゃなく常設してくれ。世はそれをアンテナショップと呼ぶんだろうが、そうは呼ばないで欲しい。頑なに「物産展」というネームを守って欲しい。なぜなら「物産展」と「道産子」の字面が被ってる感じが大好きだから。

北海道には住まない。寒いのが凄くイヤだから。

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