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全てを白紙に

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「白紙郷」を名乗る組織により、魔法の栄える国・ライニアの国土が消されていく事件が発生した。「かっこよさ」にこだわる少女・レンは、騒ぎから逃げているだけで良いのか悩む中、友人のリリ…
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#長編小説

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 七、日常は続く

前の話へ 三章一話へ 序章へ  瞼の裏が暗くなり、レンは光が収まったのだと気付いた。目を…

芳更悠季
5か月前

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 六、虹筆

前の話へ 三章一話へ 序章へ  団長エティハの話には、同情できる部分こそレンにはあった。…

芳更悠季
5か月前

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 五、伸ばした手

前の話へ 三章一話へ 序章へ  中佐に話を聞いた時、初めは彼女に脅威を覚えていた。しかし…

芳更悠季
5か月前

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 四、明日の神話

前の話へ 三章一話へ 序章へ  日が昇ってくると、眼前に続く白はより目に痛くなった。下を…

芳更悠季
5か月前

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 三、奇妙な団結

前の話へ 三章一話へ 序章へ  目覚めたアーウィンは、自分が白い天井の下に寝かされている…

芳更悠季
5か月前
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全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 二、夜明け前

前の話へ 序章へ  結界の異変を察したルネイに起こされ、レンとリリはランタンを持つ彼に続…

芳更悠季
5か月前

全てを白紙に 第三章 日常に帰る日 一、野蛮人として

前の話へ 序章へ  イホノ湖の畔に大人の姿はなく、レンとリリ、ルネイだけが残された。湖を囲むように点在していた軍用車も撤退し、既に夕方近くなった。一度は「虹筆」を見つけた今、これから逃げるというのもどうなのか。  ひとまず湖を出ようとしたレンは、後ろから袖を引っ張られる感覚に足を止めた。振り返った先を見て、思わず息を呑む。リリがその瞳の色に近いほど、目元を赤く腫らしている。 「……アーウィンさん、『白紙郷』の人だったんだよね? 私たちのこと、本当は嫌いだったんだよね?」

全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 七、エティハの願い

前の話へ 第二章一話へ 序章へ  あの少年は、軍によって人生を狂わされた。ルネイと呼ばれ…

芳更悠季
6か月前

全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 六、昔から住む者

前の話へ 第二章一話へ 序章へ  互いを警戒するアーウィンとシランを、レンはそれぞれ忙し…

芳更悠季
6か月前
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全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 五、「非常」魔法

前の話へ 第二章一話へ 序章へ 「あと五発かぁ。ま、少なくともそこのお嬢さんを消せれば仕…

芳更悠季
6か月前

全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 四、軍の務め

前の話へ 第二章一話へ 序章へ  迫ってきていた軍の部隊が一騒動の末に去り、フュシャは胸…

芳更悠季
6か月前
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全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 三、取引

前の話へ 第二章一話へ 序章へ  荒野の本部に入ろうとしてたまたまフュシャとすれ違った時…

芳更悠季
6か月前

全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 二、攫われた少女

前の話へ 序章へ 「滅亡するって、どういうこと?」  シランがそばに近付いたところで、レ…

芳更悠季
6か月前

全てを白紙に 第二章 イホノ湖動乱 一、読めない相手

前の話へ 序章へ  長く形を保って続いていた街道は、突如として白い空間へと切り替わった。地面を踏んでいるかも分からなくなる道を進むうちに、レンは目が痛くなってきた。ルネイも時々、苦しそうに瞬きをしている。レンは彼にそっと声を掛けたが、大丈夫だと返された。彼がいつもまとっている粒子のおかげで、五感の刺激は幾分耐えられるらしい。  やがて白から抜け出し、足元に再び道が広がったのが見えてレンは安堵した。舗装されておらず草が所々生えているが、何もないよりはありがたい。もう町は過ぎ