特集:米国の原産国表示(セット・キットとして輸入される物品)
2024年5月15日更新
事例1:HS通則3(b)の「小売用のセット」として認められた緊急ロードサイドキットの原産国
N311306事例(2020年5月13日、CLA-2-85:OT:RR:NC:N2:212)
生産工程等:このキットはユーザーの車内に保管されるもので、路上での緊急事態に対処するための様々なアイテムが含まれている。最初のものは、部品番号103010のコミューターキットと呼ばれるもので、ジャンパーケーブル、懐中電灯、バッテリー、ポンチョ、ニット手袋、救急箱、登録カードが入っている。これらのアイテムはすべて、付属のキャリングケースに一緒に収納されている。2つ目のキットは、デラックスキット(部品番号104010)として識別され、ジャンパーケーブル、牽引ストラップ、ヘッドランプ、バッテリー、布製ブランケット、安全ベスト、ニット手袋、ポンチョ、救急キット、登録カードが含まれている。同様に、物品は付属のキャリングケースに一緒に収納されている。
関税分類:本申請において分類は特に問題とはされないが、原産国分析を進める前に正しい分類を確立することが賢明であると考える。H031458事案においては、HS通則(GRI)3(b)で定められているように緊急用キットはその重要な特性に従って分類されるべきと述べており、同3(b)は「混合物、異なる材料から成る物品、異なる構成要素で作られた物品及び小売用のセットにした物品で、3(a)の規定により所属を決定することができないものは、この基準が適用される限り、重要な特性を与えている材料または構成要素から成るものとしてその所属を決定する」と規定している。重要な特性は、キットそれぞれの内容物によって異なる。
米国税関は、以前、同様のケースにおいてジャンパーケーブルが完成したキットの重要な特性を与えているとの事前教示を行っている。本件に係る事前教示申請書には、対象キットの複数の製造・包装シナリオが記載されている。そのシナリオはキットの各バージョンで同一である。
シナリオ1では、ジャンパーケーブルはインドネシアで製造され、インドネシア原産のアルミワイヤーストランドが紡がれ、撚られ、絶縁される。その後、インドネシア原産のコネクターが両端に付けられ、ケーブルが完成する。完成したケーブルは、インドネシアか中国のどちらかの国で、すべて中国原産の他の製品とともに梱包される。
2つ目のシナリオでは、ジャンパーケーブルの製造はポーランドで行われ、ポーランド原産アルミニウムワイヤーが紡がれ、撚られ、絶縁される。その後、ポーランド原産のコネクターが両端に取り付けられ、ジャンパーケーブルが完成する。ケーブルはその後、ポーランド又は中国のどちらかの国で、すべて中国原産の他の製品とともに梱包される。
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