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第5章:米国の原産国決定事例 (事例3-4)

 米国税関の事前教示事例検索サイト 「CROSS」 から、中国原産の部材と第三国 (メキシコ) 原産の部材を使用して当該第三国 (メキシコ) で加工・組立てを行った最終製品の原産国が第三国 (メキシコ) とされた事例3と、中国原産の部材を一部使用して中国で組み立てられた最終製品の原産国が最終組立国 (中国) ではなく主要部品の原産国 (日本) とされた事例4を掲載します。なお、CROSS掲載事例の翻訳は、筆者による仮訳です。

事例3: 中国原産部品とメキシコ原産部品をメキシコで加工し、組み立てた自動車用アームレストの原産国がメキシコと認定された事例

要約:主に中国原産とメキシコ原産の部品をメキシコで加工し、組み立てた自動車用アームレストに関し、溶接を伴うだけの部品の組立てについては部品の特性を変更したと認められないが、中国原産の部品のみの加工・組立では最終物品の製造に不十分である場合、メキシコ原産の部品を多数使用した組立工程は、非原産材料から実質的に変更したものと認められる。したがって、原産国はメキシコであり、通商法第301条の適用による追加関税は賦課されない。

 事例3 (参照番号等:HQ H315298、2021年6月15日、OT:RR:CTF:VS H315298 JMV) は、自動車用アームレストの原産地表示上の原産国及び通商法第301条適用の可否について米国税関に事前教示を求めたもの (原産地表示に係るNAFTAマーキング規則の適用については説明省略)。

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