マガジンのカバー画像

実務者向け原産地規則講座

我が国との二国間貿易のみならず、第三国間のFTAの活用を視野に入れた日・米・欧・アジア太平洋地域の原産地規則について、EPA、FTA、GSP、非特恵の各分野での税関当局実務責任者…
¥500 / 月
運営しているクリエイター

2022年7月の記事一覧

原産地規則基礎講座         第2章第1節 原産性判断基準

 前章においては、「原産地規則とは」と題して原産地規則が存在する意味及び特恵貿易制度などについて概略をお話ししました。特恵貿易制度とは、簡単にいうと物品を輸入する時に支払う関税を無税にすること、割安にしたりすることができる制度ですが、今回から3回に分けて、特恵制度のうち経済連携協定(Economic Partnership Agreement: EPA)によりどのような節税が可能となるのかについてお話を進めます。関税の節税は、簡単にできる場合とそうでない場合があるので、まず特

原産地規則基礎講座         第2章第2節 実質的変更基準

 第2節では、輸入品に適用される税率には様々な種類があること、EPA特恵制度を利用することでより低い税率の適用が可能であること、EPA特恵税率を適用するためには輸入される産品が原産品であること、原産品として認められる資格要件は主に次の三つの基準から構成されていることなど、特恵制度全般について解説してきました。  (i)  完全生産品定義  (ii)  実質的変更基準  (iii)  原産材料のみから生産される産品  完全生産品定義は、農水産品、天然資源などの未加工分野を主