見出し画像

【わたしのお気に入り#001】かわいくないところが、かわいい

私は、服屋で店員さんから、「それ、一番人気なんですよ〜」「あっ私もそれ買ったんですぅ」と言われた瞬間、買う気が失せるタイプの人間です。

「どこで売ってるのその服」と言われるような服を着ているような人間に対して、「みんなと同じ」はもっとも刺さらない謳い文句であることは明白だ。店員さんもマニュアルに従って言っているのだろうけれど、それにしても少しは考えてもいいんじゃないと思ってしまう。

そんなひねくれた人間である私が「かわいい」と感じるものはやはり少しズレているようで、先日も、ある作家さんの作品に出会って「かわいい!」と興奮している私の横にいた妹からは「私は別に。」というコメントを頂戴した。

妹には「私は別に」と言われてしまったが、私が一目惚れした作品とは、【うこわや】さんの粘土細工のキャラクターたちだ。

うこわやは、粘土細工と刺繍布小物を製作する2人組の作家さん。
私がうこわやさんの作品に出会ったのは東京ハンドメイドマルシェ2024で、粘土細工で出展されていた。

ブースいっぱいに並べられたオリジナルのキャラクターフィギュア(マグネットやブローチなど)の圧の強さに、私は釘付けになってしまったのです。

ブースのごく一部

昭和的懐かしさとカートゥーンアニメのポップさが融合し、更にそこにシュールなセンスが加わったような、なんとも言えない独特な雰囲気を醸し出しているではありませんか。最高です。

カラフルな怪獣たちも、ツッコミどころ満載の動物たちも、「かわいく」ない。みんな、目がギョロッとしていて寝不足感がある。この世界に、ちぃかわのようなうるうるおめめという概念は存在しない。だがそれがいい。

クマはイクラがこぼれたシャケを持っているし、猫の戦士が持つのはイカだのたいやき焼き器だの。サメにクラーケンにカッパ。おや、人物もいるのか…と思ったら三国志。なぜ!チョイス渋すぎ!ウサギもリスも、腹の立つ顔をしている。
最高である。

な、なんてかわいいんだ…!
「惚れた」とはこういう感覚のことをいうのか。

そもそも私は、オリジナリティのある人とモノが好きだ。
うこわやさんがつくるキャラクターたちは、これまで見たことがなかった。いろんなキャラクターを制作しておられるし、中には似たものもあるのかもしれないが、全体に共通している独特のセンスは、私は見たことがなかった。

では、ただオリジナリティがあれば良いのかといったらそれは違う。そこから私の好きアンテナに引っかかるのは、作品としての質の高さと、作者の作品に対する愛情の深さだ。

ハンドメイド作品においての「質」。
これはなかなか定義が難しいけれど、私が「質が高いな」と感じるものは、アイデアのおもしろさ、全体のフォルムのバランスの良さ、色づかいのセンスの良さ、技術力の高さ、の4つがそろっているものだと思う。

技術力の高さというのは、例えば編み物だったら、編み目がきれいとか編み間違いがないとか力加減が正確だとか、そういうこと。
同じモノをつくってもみんな微妙に表情が違うとか、形がちょっといびつだとか、塗りが個体によって違うとか、ハンドメイドならではの魅力・味がありながらも、ちゃんとしている部分はちゃんとしていてレベルが高い。そういうものが惹かれる。

うこわやさんの作品は、質が高いと思った。
先の4つがそろっている。
オリジナリティを感じるということはアイデアが効いているということだし、どのキャラクターも愛嬌のある姿かたちをしている。色づかいもポップで私好みだし、バランスもいい。ハンドメイドの粘土細工だから、もちろん形はちょっといびつだが、それは味。私が感じた技術力の高さは、着彩の気配りだ。これは、作者の作品に対する愛情の話にもつながる。

作品への愛情の深さは、うこわやさんのキャラクターを見ればすぐにわかる。

背側にも底にも、丁寧に手が入れられているのだ。手書きで、作品名・作品番号・キャプションが書かれている。ワームボーイとスライムに注目してもらいたいのだが、作品名はそのキャラに合わせた書体になっている。これは愛情以外の何者でもないはずだ。

そして、うこわやさんの作品には作品名のPOPがつけられている。もちろんこれも手書きだ。厚紙の角は丸く切られている。丁寧だ。作品の雰囲気にも合っている。
※スライムにもアーモンドにもPOPがついていたのだが捨ててしまった。つけておけばよかったと後悔している。

左の、水色のスライムに注目してほしい。足に磁石が入っていて、なんと壁に立つ。


私はこういう、作者のあふれんばかりの愛情に弱い。
購入させていただいた作品たち、大切にします。

うこわやさんのInstagramはこちら。
ぜひ見てほしい。
https://www.instagram.com/ukowaya/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?