分断されるキャリア、拡がるキャリア

先日、株式会社eight さんが開催された「駐在妻のキャリア調査報告会&交流会(zoom開催)」 に参加しました。 さすが、zoom開催!日本国内だけでなく、米国・中国からのご参加者もあり、生の声をお聞き出来ました。

「駐在妻」と言うと、「異国の地で言葉もわからず、ほとんど友達もいない中で生活し、出産や子育てまでしている」と、辛そうなイメージを持っていました。 しかし、アンケートやヒアリング調査の結果報告と、実際に「今、駐在妻です」と言う女性のお話を伺っていたら、もちろん困難は多々あるものの、外国生活を楽しんでいらっしゃるのだ、と言うことがわかりました。

また、企業が、駐在妻を支援する制度を拡充していることもわかりました。昔から聞く例としては、「奥様会」があること。 これはプラスにもマイナスにも働くようです。 それから、「カムバック制度」や「再就職支援制度」があること。 帰国後にカムバック制度で復職できる、再就職を会社が一緒に考えてくれると思うと、少し気が楽になりそうです。 大企業だけかもしれませんが、企業は海外駐在員とその家族にかなり気を遣っている、と言うことがわかりました。

そして、駐在妻さん達の多くは、駐在先で働くことができない環境にあり、会社が雇ってくれた「お手伝いさん」がいるのも普通で、ボランティア活動に従事したり、語学を学んだり、日本ではなかなか出来ない体験をしているそうです。

そこまでは「いいなぁ」と思える話でしたが、駐在を終え帰国した後…の話となると、急に難しい問題がクローズアップされました。

「キャリアの分断」です。

もともと企業で正社員として働いていた駐在妻さん達は、一部の方を除き、帯同に伴い会社を退職します。 帰国後、専業主婦になられた方だけでなく、カムバック制度を活用して復職した方や再就職された方にしても、ご本人が「キャリアは途切れてしまった」や「(同期に)遅れをとった」と感じれば、それがその方にとっての真実になっていきます。

調査結果報告を見ていても、実際に「帰国後のキャリア」に関しては切ない思いや、不安など、複雑な心境が伝わってきました。

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少し、私自身の話をします(駐在妻経験はありません)。
会社勤めをしていたとき、「夢に近づきたい」と思っていました。 もしも「会社にとって重要な私」であれば、会社は私の夢を叶える手伝いをしてくれるに違いない、とも思っていました。 そのためには、男性社員に負けないだけの「キャリアを積んでいくこと」が必要だと考えていました。 

私は、刻々と移り変わる自分自身の環境と心境をチェックしないまま、「夢に近づくために、キャリアを積んでいくこと」ことを第一に、キャリアを途切れさせないように頑張り続けていたと思います(よく頑張ったね、私)。

もしも人生の節目・節目に「いまここで、私は何を一番大切にしている?少し保留できることは?」と考えていたら、何がどうなっていたのでしょう?
今でも十分幸せなので、物理的には特に何も変わらないかも(笑)! でも、あと10年はやく、今の私が感じている「幸せ」を見つけていたら、もっと幸せが広がっていたように思います。 今思えば、もったいないことをした!
長くなりましたので、私の話はここまでにします…

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タイトルに書いた「分断されるキャリア」と「拡がるキャリア」について、以下のことを思いました。

1 「駐在妻」の経験はとても豊かなものなので、感じ方や考え方など、
  ご本人に何らかの変化をもたらしている可能性がある
2 復職するにしても転職するにしても、駐在前後の「自分自身の変化」を
  知り、キャリア(人生の使い方)を描き直す機会があるとよさそうだ
3 「駐在妻」経験を「退職=キャリアの分断」と捉えるか、「豊かな経験
  =キャリアの拡がり」と捉えるかで、その後のキャリアに影響しそうだ

無理にポジティブに捉えようとするとストレスになりますし、問題を複雑化してしまうので、それはやめましょう。 

駐在妻さんだけでなく、お子さんの誕生や親御さんの介護など、大きな環境変化の時には、「私が大切にしていること」を洗い出して、「今だから大切にすること」と「今は保留してもよいこと」に区分けしてみませんか? 

そうすることで、複雑に絡み合った難しい問題が、驚く程シンプルな課題の連続に見えてくるかもしれません。 言い方を変えると、「分断されるキャリアから、拡がるキャリアへ」意識が変わるかもしれませんよ。

株式会社 eight 代表のおにきりえさん、スタッフの皆さん、zoom でご一緒した参加者の皆さん、ありがとうございました!

いまここプラス