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喫茶店でモーニングを食べた

僕は普段、朝は基本的に白米を食べているのだが、今日は炊飯器をセットするのを忘れたまま朝を迎えてしまった。やる気があればそこから米を炊くのだが、今朝はただただ面倒だったので昨夜の自分を恨むだけにした。

でもその代り、喫茶店でモーニングを食べよう!という素晴らしいアイデアを思い付いた。

といってもこれは完全に突発的な思いつきというわけではなくて、実はモーニングをやっている洒落た喫茶店が自宅から割と近い場所にあることを最近知って、少し気になっていたのだ。もしかすると「気になる喫茶店がある」という心理状態が、炊飯器のセットを忘れるという結果を招いたのかもしれない。そう考えると、今日という日は来るべくして来たともいえる。

さて調べてみると、その喫茶店は日曜日も開いているとのことだったので、さっそく行くことにした。朝から外で食べることなんて滅多にないので、何だかワクワクしてくる。カフェ...…モーニング...…ワクワク!だ。

僕は、たった今イノセント・ブルー・サンシャイン号と名付けた青い自転車(つまり今朝の時点ではただの青い自転車)にまたがって、朝の街へ漕ぎだした。日曜日とあってか人も車も少なく、スイスイ走れて快適だ。日曜...…朝...…スイスイ!である。

20分くらいしてその喫茶店についた。近場とはいえ行き慣れていない場所だったので、途中で少し道に迷ったが、むしろそのくらいが丁度いい。良い喫茶店とは、少し場所がわかりにくくて、どこか謎めいているものなのだ。もちろん、それで不味かったらダメだが。

中に入ると、レトロな外見から期待された通りのレトロな店内である。僕は店員の女性に促されて、窓際の席に座った。するとびっくりしたのだが、テーブルに使われていたのはインベーダーゲームの台だった。ゲームができるわけではないのだが、何だか雰囲気があって素敵だ。ただし下が詰まっていて足元がかなり窮屈だったので、誠に勝手ながら総合的にはマイナス評価にさせていただいた。申し訳ないが、僕は足元の快適さに重きを置く人間なのだ。

一応メニューをざっと見まわして、色々気になるものもあったが、もともとモーニングを食べに来たのだし、店員さんにもモーニングをおススメされたので、素直にそれを注文した。目的...…モーニング...…モトモト!である。

550円というお手頃な価格で出てきたのは、コーヒーとサラダとバタートーストとゆで卵という、ザ・モーニングという感じのセットだ。こういうのが食べたかったので嬉しい。ちなみに「バタートースト」と「マリーゴールド」はいい感じに韻が踏めるので、誰かそれであいみょんのパクリみたいな曲を書いてくれないかなと僕は思っている。

肝心の味はというと、どれもシンプルで美味しかった。サラダにはいい感じのドレッシングがかかっていたし、カリカリふわふわとしたバタートーストは主食としての責務を十分に果たしてくれた。ゆで卵は信じられないくらい殻が剝きやすく、人生で初めて傷ひとつ付けずに剥き終えることができた。コーヒーは殺人的に熱かったが、別に殺意を感じたわけではなく、普通に美味しかった。

そんな優雅なモーニングを食べ終え、僕は店を後にした。来てよかった!素直にそう思った。しかも、まだ朝の10時だ。今日はまだまだたっぷり時間があるのだと思うと、さらに晴れやかな気持ちになった。

僕は再びイノセント・ブルー・サンシャイン号に乗り、少しだけ活気の出てきた通りを軽やかに進んでいった。

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