筑波大学学長、永田さんの入学スピーチにコメント

もう2週間以上経ってしまったが、去る4月5日に筑波大学大学院の入学式に出席してきた。とは言っても、学部・修士とも筑波大だったので、入学という認識はあまり無かったが。

入学式で、永田学長のスピーチを拝聴した。その内容について、批判とは言わないがコメントがあるのでここに記そうと思う。まず初めに、このコメントが社会的に注目されたら良い、などと過ぎたことを思っているわけでは無いことを明記しておく。ただ単に、自分の中で消化不良だったため、ここで発散しているだけである。

永田学長がスピーチの中で再三強調したのは、「筑波大学は留学生比率が高い大学の一つで、国際的に開かれた大学である」という点だ。確かに、それは感じる。キャンパス内を歩いていると、日本国外から来た学生を非常に多く見かけ、筑波大学が積極的に国際化を図っていることを窺える。
しかし、永田学長は留学生受け入れのための体制についてどこまで理解しているのだろうか。私自身の経験から、少し疑問に思ってしまった。

筑波大学には、留学生チューター制度というものがある。日本に来た留学生のサポートを行い、謝金を頂くという制度だ。以前、この制度にお世話になろうとした。敢えて「お世話になろうとした」という表現がミソな訳だが、これについて詳しく説明したい。
留学生チューター制度について少し詳しく説明しよう。留学生チューターになった学生は、履修方法や大学内の案内はもちろん、日本で生活するための各種手続きもサポートする。各種手続きというのは、役所や、大学事務とのやり取りである。これが中々に大変であった。幸いなことに、私が担当した留学生は多少日本語を理解していたのだが、それでも非常に手間と時間を取られた記憶がある。

「はて、こいつはお世話になろうとした、と言っているのに留学生チューターをやったのか?」と矛盾に気づいた方は鋭い。私が永田学長のスピーチにコメントしたいのはここからである。
留学生チューター制度として頂ける謝金についてである。謝金は時給として発生するのだが、毎月の謝金上限額が決まっている。上限額について明記することは避けるが、私の場合、留学生が来日して2日後には時給換算で上限額を超えていたほどの少額である。つまり、ほとんどの場合、留学生チューターは大学から労働の搾取をされているということになる。今回の経験から、私はこのような仕組みを用いることで、低予算で大量の留学生を受け入れているのではなかろうかと邪推してしまった。

それを知っていて留学生チューターになったのでしょう、と言われればそれまでだが、研究室の後輩である場合などは担当しないわけにもいくまい。
私は、雀の涙ほどの謝金を頂くと「この額で働いている」というネガティブな思考を持ちつつチューターをしてしまうことになるため、一切の謝金を受け取らないことにした。そちらの方が、誠実に留学生をサポート出来るからである。

他にも、留学生担当の事務が無能すぎて驚かされることが多々あったが、これに関しては大学のシステムが悪いのか、その人が無能だっただけなのか判断が付かないためコメントは控えることにする。

さて、永田学長は内実の伴わない留学生受け入れの実態を知っていて入学式スピーチを行ったのだろうか。それとも、知らないのだろうか。はたまた、知ろうともしていないのかもしれない。

いずれにせよ、残念なことである。

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