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強みと立ち位置を明確化する「競合調査」フレームワーク【ILY,Bootcamp #03レポート】

Hello, people.

デザイナーやディレクターのスキルアップを目的に、弊社ではオリジナルの勉強会「ILY, Boot Camp」を実施しています。
今回は「競合調査attack」と題した勉強会の様子をレポートします。

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新型コロナウイルスの蔓延でオンライン社会へ急速に移行している現在、ビジネスの現場では相手との距離や場所にとらわれない“ウェブ上で商談を可能にするツール”への需要が高まっています。
そうした状況を鑑み、今回の勉強会では、「ILY,がオンラインで商談を可能にするツール・サービスを提供できるなら」と仮定して、「オンライン商談ツールの競合調査」に取り組みました

競合調査をする前に

自社のライバルについて調べただけでは、有益な競合調査とはいえません。他社の情報を調べ、そこから情報を比較・分析し、効果的なアクションプランにつなげることで、調査結果が活きてきます。そのためには、目的に合った最適な調査を行うことが重要です。
競合情報を調べる前に、「最適な調査方法」について考えてみます。

何を調べる?

まずは、“どのような情報を調べるのか”をはっきりさせます。
今回は、以下の3つの角度から、調べる情報を分解してみます。

①商品のキーワード
②商品のターゲット
③商品の想定される課題感

①「オンライン商談ツール」のキーワードは?

その商品が欲しい人の意図や求めているものは何か?という考え方は、より詳細な競合情報を集めるヒントになります。
「もし自分がその商品を買う場合、どのようなキーワードで探すだろうか」「その商品を売買するときに、どのような要素に着目するだろうか」などの視点から、「オンライン商談ツール」にまつわるキーワードを書き出してみます。

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「オンライン」「商談」といった商品に直結するキーワードや、「課題解決」「売り上げをあげる」という商品の購入目的、「ミニマム」「魅力的に見える」というユーザーが商品に求める要素など、さまざまな意見が挙がりました。

②「オンライン商談ツール」のターゲットは?

次に、その商品のユーザーについて考えてみます。
どのような人が「オンライン商談ツール」を求めているのか、どのような人が「オンライン商談ツール」を買ってくれるのかを想像し、商品のターゲットや訴求ポイントを検索する手がかりにします。

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「toBの会社」「役職者(経営者)」などの具体的な職種や部署・役職から、「コロナで売り上げが下がった」「グローバル展開を目指している」などユーザーの状況に関する意見も出てきました。

③「オンライン商談ツール」の想定される課題感は?

続いて、その商品を求めている人が抱えている課題について考えてみます。
ユーザーの課題を推察することで、「オンライン商談ツール」の使用シーンや必要な機能といった情報の糸口につなげます。

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「オンラインでの商談がうまくいかない」「うまくいかない理由が分からない」「オンラインで他社と差別化させたい」などの意見が挙がりました。なぜ「オンライン商談ツール」が欲しいのか、「オンライン商談ツール」でどのようにして課題を解決しようと考えているのか、という、ユーザーのニーズが窺えます。

こうして書き出したさまざまなキーワードは、実際に競合情報を調べる際に非常に重要です。「オンライン商談ツール」に関連するワードは、競合情報を探し出すためのフックになるのです。

どうやって調べる?

競合情報を検索するワードやヒントも重要ですが、「どのようにして調べるのか」も肝心です。たとえば、商品のクチコミが知りたいのに、ざっくりウェブで検索をかけてもなかなか欲しい情報にはたどり着けません。
情報を効率よく集めるための方法を吟味する必要があるのです。

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「オンライン商談ツール」の競合情報はどうすれば手に入るのでしょうか?
「関連する本で調べる」「アンケート調査をする」「オンライン商談に詳しい人に聞く」などの声が挙がります。
また、「ウェブ検索」をさらに紐解いてみると、「SNSで聞く」「ニュースサイトから探す」「プレスリリースサイトを見る」など、より精度の高い検索方法が考えられました。

最初に洗い出した「オンライン商談ツール」のキーワードと、ここで書き出した検索方法とを掛け合わせることではじめて、最適な調査方法が導き出されます。

調べてみよう

調査方法が明確になったところで、実際に競合情報を調べてみます。
今回は、先ほどリストアップした検索方法から5つ選び、それぞれの方法をメンバーで分担。約10分のタイムアタックで「オンライン商談ツール」の競合調査を行い、その結果をシートに並べてみました。

①Google検索で調べる
②プレスリリースサイトで調べる
③SNSで調べる
④画像検索で調べる
⑤ニュースサイトで調べる

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①Google検索で調べる

Google検索で調べたメンバーは、実際に「オンライン商談ツール」を取り扱っている企業の情報をピックアップ。一口に「オンライン商談ツール」といってもさまざまな形態があることが分かります。
また、「オンライン商談ツール」そのものではありませんが、会社案内資料を専門に作成するサービスもセレクト。最初に「オンライン商談ツール」のキーワードを考えた際に出てきた「ブランディング」「デザイン」から、「オンライン商談ツール」作成のノウハウ部分で競合する可能性がある、と考えられます。

②プレスリリースサイトで調べる

「オンライン商談ツール」という商品・サービスを発表するにあたり、競合他社は、商品の特徴やセールスポイントをまとめたプレスリリースを配信していると考えられます。そこで、メンバーのひとりはプレスリリースやニュースリリースを配信・掲載するポータルサイト内で情報を集めました。
サービス内容やサービスのアピールポイントが分かるのはもちろんですが、サービスを端的に表すキャッチコピーも、自社が商品を展開する際の重要な参考情報になりそうです。

③SNSで調べる

SNSを担当したメンバーは、主にtwitterを利用して競合情報を収集しました。
「オンライン商談ツール」で調べると、イベント告知やセミナー情報が多数ヒット。双方向のコミュニケーションができ、オンタイムの情報を重要視するSNSならではの情報といえます。
企業や個人がSNSに掲載している投稿から競合情報を集めるだけでなく、自社や自分のSNSを通じて「オンライン商談ツール」の情報を募集する、という方法も可能なのがSNSの魅力ですね。

④画像検索で調べる

画像検索を担当したメンバーは、主にGoogle画像検索機能とPinterestを利用し、めぼしい画像からリンクをたどって競合情報を探しました。
しかし、今回の「オンライン商談ツール」の場合、イメージ画像や「オンライン商談ツールとは」といった説明サイトが表示され、ツールそのものの情報にはなかなかヒットせず。商品情報の収集には、画像検索は不向きのようです。
画像検索を競合調査で使用する場合は、対象商品やサービス、欲しい情報が得られるかどうかの見極めが重要です。

⑤ニュースサイトで調べる

ニュースサイトを担当したメンバーは、主に経済ニュースを取り扱うソーシャルメディア内で競合情報を調べました。ほかの媒体と違って、解説や第三者のコメントが掲載されているので、より詳細で分かりやすい情報を得ることができます。
また、「オンライン商談システム」に関連する報道やデータなどの情報を入手しやすいのも、ニュースサイトの特徴といえるでしょう。

ポジショニングマップをつくろう

5つの方法で実際に競合調査を行い、さまざまな情報が集まりました。最後に、収集した情報を整理・分析し、競合他社・サービスの特徴を可視化してみます。

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今回は、縦軸に「コンサルティング」「ツール」、横軸に「効率化」「タッチポイント」を設定し、各競合情報をマッピングしてみました。各サービスのすみ分けがよく分かりますね。
さらに、「もしILY,がオンライン商談ツールをリリースするならば」と仮定し、ILY,の商品もマップに割り当ててみました。たとえば、ILY,の商品を「コンサルティング」「効率化」のエリアに割り当てた場合、その周囲にマッピングしているサービスが競合になり得ます。

こうしたフォーマットに競合他社と自社をマッピングし、同じ方向性で競合になり得る企業・サービスが浮き彫りになったら、さらに違う軸でマッピングを行い、他社との違いを深掘りします。この作業を繰り返して、自社の特化しているポイントを明確にしていくのです。
こうすることで、自社の強みと、他社との差異をクリアにできます。競合調査の目的が達成できました!

「競合調査」に必要な視点

競合調査の目的は、自社の強みを洗い出し、他社との差別化を図ることです。そのために、今回は「競合調査の前に商品に関連するワードを書き出す」「最適な検索方法を考える」「ポジショニングマップで情報を整理する」という手順をたどりました。

「競合調査の前に商品に関連するワードを書き出す」ことは、競合情報を調べる際のフックを準備する作業です。今回の「オンライン商談ツール」の場合、“強みが伝わる提案書”、“オンラインで差別化できるデザイン”など、関連するワードを組み合わせることで、あらゆる検索ワードから調査することができます。ターゲットが検索しそうな単語や、想定される課題感から連想できるニーズなど、発想を広げることが大切です。
「最適な検索方法を考える」ことは、効率的で効果的な調査に必要な下準備です。媒体によって得られる情報の解像度が違うので、業種や商品によって検索媒体を最適化し、使い分ける必要があります。
最終的に「ポジショニングマップで情報を整理する」ことで、自社の強みと他社との違いを明確にします。
こうして得た調査結果は何に反映できるのでしょうか?たとえば導き出した強みをPR戦略に盛り込んだり、他社との違いを用いて提案書で商品説明をしたり……
競合調査でしぼりこんだ“自社の強み”と“立ち位置”は、自社商品の訴求力を高める重要なファクターとなるでしょう。

競合調査によって、他社のサービスや情報を知ることはもちろん、自社の強みや相対的なポジションを知ることができます。また、この「競合調査attack」のようなフレームワークは、クライアントの課題を解決するための着眼点を鍛える訓練にもなるでしょう。
さまざまな角度からクライアントに最適な提案ができるよう、今後も客観的な視点を鍛えていきたいと思います。

Thank you, we love you.

私たちILY,は、ロゴ制作やビジュアルデザインなどの”見た目のデザイン”にとどまらず、MVV策定や事業・サービスのコンセプト設計などの”コトのデザイン”もご提供しております。お気軽にご相談ください。


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