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迂闊

あたたかく響くのに
触れたら凍えてしまいそうな
張りつめた冷たさの中に
計算され尽くされたようでいて
未熟さを覗かせるような

首元にナイフを突きつけて
それでいて満面の笑みを浮かべて
背中を優しく撫でるような
一瞬の沈黙の狭間に
見え隠れする諦観と
見慣れたポーカーフェイス
誰の目にもうつらない場所で
触れてみたくもなるような


迂闊には
触れられないな
たしかに君は魅力的
恐ろしくなる程に
触れたら最後
みるみるうちに
目の色が変わってしまう

迂闊には
触れられないな
たしかに君は魅力的
狂おしくなる程に
触れたら最後
みるみるうちに
世界の色が変わってしまう

迂闊にも
自分の身の程を
見失うところでございましたと
理性を保ってはみたものの
どうやら逃げられないようだと
あの春に気づいてしまった

迂闊だったな

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