野良猫のあやし方

だいたい週に1回くらい店に野良猫がやってくる。
野良猫はだいたい人間みんな敵だと思っているから尻尾を逆立てて威嚇したり急に爪で引っ掻いたりもする。最初から戦うつもりで来店しているのだ。
ニャンだお前！やるのか？やるのか？フーッ！

いらっしゃいませ。(にっこり)
先ほど少し雨が降りましたね？
あ、あぁ。
濡れませんでしたか？
雨のおかげで少し涼しくなりましたね。

そんニャことはいいんだ。急いでんだよ！
お急ぎのところ申し訳ございません。
こちらお預かりしますね。(にっこり)

どんなに爪を立てられようと
ニャーニャーフーフー言いながら
やんのか？やんのか？と煽られようと
あら、遊びたいのかしらと微笑ましく
見守りながら丁寧に対応する。
パタパタフリフリしている尻尾に
うっかり飛びつこうものなら
大喜びでじゃれついてくる。
あ？なんだその口の聞き方は。
店長呼んでこい！

野良猫は頭を撫でると怒るから
喉を優しく撫でてやる。

最近忙しかったんだよ。
そうでしたか。大変でしたね。

どんなに振り払われようと
優しく優しく撫でてやる。
慣れてないから野良猫は
驚いた顔をするけれど
素知らぬ顔で撫でてやる。
すると次第に野良猫は
たとえ時間がかかっても
喉をゴロゴロ鳴らしながら
すり寄ってきたりもするものだ。

嫌な気持ちにならんかったの
初めてですよ。
だいたいいつも嫌な顔される。

(それはあなたが急に引っ掻いたり
爪を立てたりするからですよ。)
ええ？そうなんですか？
それはたまたま店員の
機嫌が悪かったのかもしれないですね。
災難でしたねぇ。

野良猫は時々ふらりやってくる
人間なんか大嫌い
ひどく険しい顔をして