どこかに穴が
おかしいな
空気が入らない
隙間なく
全て塞いだはずなのに
おそろしくゆっくりと
萎んでゆくような
瞼が閉じてゆくような
抗いようのないような
苦しいのか苦しくないのか
それさえもわからないような
そう
それは
おそろしくゆっくりと
上がってゆくような
落ちてゆくような
近づいてゆくような
離れてゆくような
水に沈めればきっと
わかりますよ
まぁわかったところで
残念ながら何もかも
終わってしまいますがね
灰色男は満面の
笑みを浮かべて飛び込んだ
白鳥たちが戯れる
あの青々とした湖に
おかしいな
空気が入らない
隙間なく
全て塞いだはずなのに
あぁやはり
どこかに穴が
空いているのかもしれない