刑法の論証集_総論(司法試験・予備試験)


【不作為犯】司法H30、H26、H22 百選6シャクティ
*219は217・218の結果的加重犯である以上、重い結果につき故意がある場合は含まれないので、不作為による殺人と、保護責任者遺棄致死罪の区別は、殺人の故意があるかで判断する。
(実行行為)
実行行為とは構成要件的結果発生の現実的危険性を有する行為であるところ、不作為もかかる危険を惹起できるから、不作為も実行行為たりうる。もっとも、自由保障機能の観点から、処罰範囲を画するため、①法的作為義務があり、②作為が可能かつ容易であることを要する。そして、作為義務の有無は、法令、契約、先行行為による危険創出、排他的支配、保護の引受け等を考慮して判断する。*下位規範はその事案で使わない考慮事情については書かない
ー先行行為、排他的支配、危険の引受け、管理者としての地位、法令:直系血族・同居の親族の扶助義務(730)、夫婦の扶助義務(752)、親として監護義務(民法820)を負う。
作為義務の内容の特定必須、作為義務の発生時点を明示すること。❶結果発生の危険❷救命可能性❸未必の故意の全てが肯定される時点の不作為が、実行行為にあたるかについて検討する
+仮に未必の故意が認められない場合でも、Xには、直ちにVの生命を維持するため必要な措置を受けさせるという保護義務が認められる。そのため(重過失致死罪に止まらず)保護責任者として、保護責任者遺棄致死罪(219、281後段)が成立する。
(因果関係)

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