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武田薬品のリストラが止まらない!外国人トップ率いる製薬エリート集団の残酷な真実💊💊💊

武田薬品についての記事を転載します。中外製薬も、武田薬品も、物言う株主だか?「今だけ・カネだけ・自分だけ」だか知りませんが、グローバリズム勢力に侵略されてしまったのでしょうか。株主が儲かる為だけの会社。もう、元には戻らないのでしょうか。こんな感じの会社が、これから益々増えるのでしょうか? 岸田政権になったので、竹中平蔵やデーヴィッド・アトキンソンをつまみ出していただきたいです!

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武田薬品のリストラが止まらない!外国人トップ率いる製薬エリート集団の残酷な真実💊💊💊ダイヤモンド編集部

土本匡孝:記者
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武田薬品 製薬エリートの真実
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2021.9.27 4:50

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武田薬品 製薬エリートの真実#予告
Photo:Westend61/gettyimages
国内製薬最大手の武田薬品工業は外国人トップの下で組織大再編を断行し、残酷なる「破壊と創造」の総仕上げに入っている。業界きってのエリート社員たちはその変化に戸惑い、度重なるリストラで多くの者が社外へと飛び出している。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』は9月27日(月)から10月4日(月)まで全8回で連載。武田薬品および他の製薬大手の「ヒト・組織」「ビジネス」「カネ」に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)


#1 9月27日(月)配信
年収1000万円差も!武田薬品vs競合大手の待遇格差…製薬業界ヒト・カネ事情

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武田薬品 製薬エリートの真実#1
Photo:Bloomberg/gettyimages, Diamond
 約10年前から、組織大変革がやまぬ武田薬品工業。生え抜き社員が次々と去る一方、キャリア採用を強化している。大変革の先のバラ色の未来に懐疑論がくすぶるも、人材を引き付けるのには待遇の妙があった。

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約10年前から、組織大変革がやまぬ武田薬品工業。生え抜き社員が次々と去る一方、キャリア採用を強化している。大変革の先のバラ色の未来に懐疑論がくすぶるも、人材を引き付けるのには待遇の妙があった。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#1では、武田薬品と業界他社の待遇を比較、分析した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

製薬大手5社年収1000万円超   武田薬品は高待遇かつシビア

 国内製薬トップの武田薬品工業は外国人経営陣の下、終身雇用を柱とする日本型雇用システムからの脱却を掲げている。結果、雇用の流動化が著しい。

 今秋も2年連続となるリストラを検討している。他にも退職加算金が出る恒常的な制度を利用して次々と社員が辞めている。すっかり変貌した企業カルチャーと巨額企業買収による大借金を不安視し、武田薬品を嫌厭する声が社内外にある。

 その一方で、経営幹部も一般社員もキャリア採用で続々と人材が入ってきている。既に愛社精神は乏しくなっても、退職にはあと一歩踏み出せない生え抜き社員も少なくない。

 人材を引き付ける要因の一つに、業界トップクラスの待遇があるのは間違いない。

 武田薬品、アステラス製薬、第一三共、中外製薬、エーザイ。有価証券報告書によると、これら国内大手製薬5社の社員の平均年収は「1000万円超」と、ほぼ同じになっている。互いに優秀な人材を取り合う競合関係にあり、常に社員の待遇バランスを調整しているためだ。

 ただし、これはあくまでも平均年収。細部を見れば、武田薬品の好待遇は歴然としている。

 クリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)の報酬18億7400万円(21年3月期)を筆頭に、上位職になればなるほど他社との格差は広がっているようだ。

 それは武田薬品社内においてもシビアな格差があるということを意味する。

 製薬大手の人事、出世、年収をよりリアルに比較してみよう。

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武田薬品と競合大手の「人事・出世・年収」比較はこちら
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#2 9月28日(火)配信
武田薬品がコロナ後「リストラ第2弾」実施へ、次の標的が管理部門である必然の理由

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武田薬品 製薬エリートの真実#2
Photo by Masataka Tsuchimoto
 武田薬品工業は今秋、コロナ禍以降第2弾となる希望退職者募集を予定する。昨秋の第1弾のターゲットが主にMR(医薬情報担当者)だったのに対し、今回は管理部門。矢継ぎ早のリストラに業界関係者は驚くが、社員たちはこれを予感していた。

>>9月28日(火)配信

特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#2はリストラの内情に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

2年連続のリストラへ  昨年は約500人退職

 国内製薬最大手の武田薬品工業は新型コロナウイルスの感染が拡大して以降、2回目となるリストラを検討している。(詳細は8月26日〈木〉配信『武田薬品が再びリストラ!今度のターゲットは意外な「あの部門」【スクープ完全版】』参照)

 同社は昨秋、「フューチャー・キャリア・プログラム(FCP)」なるプログラムを実施した。要するに希望退職者募集で、国内営業部隊のMR(医薬情報担当者)を中心に30歳以上が対象。会社の想定を大きく上回る約500人が退職したとみられる。

 今秋の希望退職者募集も同じプログラム。ターゲットは管理部門の一つ「タケダビジネスソリューションズ(TBS)」の日本組織であるTBS Japan。同組織は正社員約120人、契約社員らを含めると約160人で構成される。会社側の社員への説明によると、「ビジネスの存続性を考慮」した結果、42歳以上が対象となるようだ。

 クリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)ら外国人中心の経営体制になり、近年の武田薬品は雇用の流動が激しい。それでも2年連続の国内リストラは初めてで、業界に衝撃が走った。だが、複数の武田薬品関係者は「予感はしていた」と異口同音に語る。

 そして今回のFCP対象者たちは、昨年のFCPで手を挙げなかったMRが今秋の人事で受けた処遇を目の当たりにして、強いプレッシャーを受けている。

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#3 9月29日(水)配信
武田薬品エリートが旧子会社から続々流出!元社長はロート製薬、ついに「あの大物」も

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武田薬品 製薬エリートの真実#3
 武田薬品工業の組織大変革の一環で、今春までに米ファンドに売却された武田コンシューマーヘルスケア(現アリナミン製薬)。これまでに人材が次々抜け、ロート製薬など大衆薬業界内外に散った。新会社となって約半年、「あの大物」も会社を去る。

>>9月29日(水)配信

特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#3はエリート流出の全容に迫る。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

分社化前後からこれまでに 100人近い「エリート」流出

「9月30日をもちまして××さんが退任することになりました」「対外発表は行いません」――。

 社内一斉メールを受け取ったアリナミン製薬社員は「やはりこの人も辞めるのか」と息をのんだ。

 長年、武田薬品工業の顔といわれた「アリナミン」を販売する大衆薬事業は分社化され、2017年に武田コンシューマーヘルスケアとして事業を開始した。同社は20年8月、米投資ファンドのブラックストーンへ約2400億円で売却が決定。21年3月末にアリナミン製薬と社名変更した。

 経営が落ち着かない会社からの人材流出は当たり前の流れではあるが、「分社化前後からこれまで、少なくとも100人近い人材流出があった」と、元武田コンシューマーヘルスケア社員は明かす。16年度末の従業員数は520人であり、なかなかの流出規模だ。

“ヤメタケダ大衆薬”と呼ばれるOB、OGの中で最高のサクセスストーリーは杉本雅史初代社長。「事業開始から1年を区切りとして」との弁で18年3月に突然退任し、翌19年にロート製薬社長に就任した。同じ頃にロート製薬にもう1人、武田薬品の本筋でキャリアを上り詰めた「超エリート」も転職し、要職に就いている。

 アリナミン製薬からも9月末、冒頭のメールで紹介されていた“ある大物”が去る。

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新会社になって半年、会社を去る「ある大物」とは?
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#4 9月30日(木)配信
武田薬品が製薬・世界トップ10「陥落」の崖っぷち、コロナバブル乗り損ねの憂鬱

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武田薬品 製薬エリートの真実#4
>>9月30日(木)配信

新型コロナウイルスワクチン・治療薬開発で「周回遅れ」の国内製薬業界を尻目に、世界の製薬業界はコロナバブルに沸いている。大借金を伴う巨額企業買収で世界トップ10入りした武田薬品工業はバブルに乗れず、今年度はトップ10から陥落する恐れが出てきた。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#4は米ファイザーなど世界の競合との実力差を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

自社でコロナワクチンを作れなかったのは
「われわれだけではない」

「自社でワクチンが作れないか速やかに検討し、当時これを速やかに実現する技術がなかった。われわれだけではありません」――。

 今年6月の武田薬品工業の定時株主総会。世界で需要が高い新型コロナウイルスワクチンに関し、クリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)はこう述べた。さらに「上位15の世界的な製薬企業の中で、自社でワクチンを作ることができたのは1社だけ。それ以外は全てバイオ企業、その他の技術を導入した」と強調した。

 ワクチン事業を抱える武田薬品だが、コロナワクチン開発では早々に外部提携の道を選んだ。ある武田薬品関係者は「日本人に早くコロナワクチンを届けるための国内最大手としての責任」と胸を張る。

 提携先はベンチャー企業の米モデルナと米ノババックス。

 モデルナワクチンは今夏に異物混入問題があったが、このとき武田薬品の株価はほとんど下がらなかった。製品を輸入して供給するだけの販売代理店モデルで「ビジネス上のうまみはない」(別の武田薬品関係者)ことが、投資家にも見透かされていたのだろう。

 早ければ年明けから国内供給されるノババックスワクチンは、武田薬品への技術移転と国内生産が伴う。クレディ・スイス証券の酒井文義アナリストは「自社である程度の供給コントロールが利き、そこそこの利益を上げられるだろう」とみるが、市場は既に群雄割拠。伸びしろが残されているのか不透明だ。

 コロナ治療薬については、海外複数社とアライアンスを組んで開発に取り組んだものの有効性を確認できず、今年4月に開発を断念した。モデルナワクチンの販売代理と比べてこちらは投資家の期待もあったのだろう。このときは株価が約10%下落し、今も低迷が続く。

 武田薬品は2019年にアイルランドのバイオ医薬大手、シャイアーを約6兆円で買収し、20年度売上高は3.2兆円。だがコロナバブルに乗れず、世界トップ10から陥落の恐れが出てきた。世界と日本の製薬企業ランキングはコロナ禍を機にどう変わろうとしているのか。

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コロナバブルで2021年度の「世界製薬ランキング」はこう変わる
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#5 10月1日(金)配信
武田薬品CEO「年収18億円」の陰で、実は社外取締役も超高給取りの実態

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武田薬品 製薬エリートの真実#5
Photo:123RF
 武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)は近年、日本企業でトップを争う報酬を得ていることで有名になった。実は社外取締役も高給取りで、業界エリートと化していた。

>>10月1日(金)配信

武田薬品工業は昨秋に希望退職者を募集し、約500人が会社を去った。その1人である50代の元社員は転職で年収が激減したが、退職加算金としてまとまったカネを手にした。これを株式投資に充て、会社勤めからの解放を目指した。特集『資産1億円 本気で目指すFIRE』(全17回)の#5では、人生設計の見直しを迫られた元タケダエリート社員を追った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

心は会社から離れていた
希望退職で人生を見直し

 国内製薬最大手の武田薬品工業は2020年秋、国内営業部門のMR(医薬情報担当者)などを対象に「フューチャー・キャリア・プログラム(FCP)」なる施策を始めた。

 前向きな印象を受けるプログラム名だが、要するに希望退職者募集である。

 対象者だった1人、50代の男性社員はすんなりと応じた。武田薬品は近年、外国人経営陣の下で大胆な組織変革が続いており、職場の変化に戸惑う日々だった。「良いイメージで仕事ができないので、早く辞めた方がいいだろう」と早々に決断したのである。

 辞めると決めたとき、まず心配したのが今後の収入と生活だ。各種の年金の受給が始まれば「それなりに生活は困らないだろう」と考え、「65歳までをどう生きるか」のプランを練り始めた。

 幸いにも退職加算金の条件は最大60カ月分もあり、男性は上限いっぱいの金額を手にした。通常の退職金と合わせて約7000万円にもなった。

「このカネをどう運用したらいいのだろう」――

 投資の知識はほぼゼロだったが、いったんはこのまとまった資産を株式投資で運用し、悠々自適の早期リタイア生活を夢見た。近年話題の「FIRE(経済的な自立を実現し、早期リタイアを目指すムーブメント)」である。

 武田薬品から再就職支援を請け負った大手人材紹介会社によるマネープランセミナーに参加はしていた。しかし、あまりにも基本的な内容で、いざ投資を始めるとなると、ほとんど参考にはならなかった。同じタイミングで希望退職する同僚らと情報交換したり、本を取り寄せたりと、独自に勉強を始めた。

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リストラで得た巨額退職金の運用方法は?
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#6 10月2日(土)配信
武田薬品の研究所大リストラで生まれたベンチャーに迫る「給与保障が終わる日」

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武田薬品 製薬エリートの真実#6

>>10月2日(土)配信

武田薬品工業の国内研究所では2016~17年にリストラがあり、その機に会社から独立するベンチャーが約10社誕生した。これらベンチャーは“ある事情”により、来年から厳しい局面に立たされる。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#6では、元エリート社員たちが転籍したベンチャーのその後を追った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

研究所の大リストラで
武田薬品発ベンチャーに転籍

 武田薬品工業はクリストフ・ウェバー社長兼CEO(最高経営責任者)が就任して間もない2016~17年、神奈川県の湘南研究所(現湘南ヘルスイノベーションパーク)で大リストラを敢行した。米国に研究開発の拠点を移す一方で、長年目立った成果が出ていなかった国内研究所にメスを入れたのである。

 大リストラの際、会社は大幅に見直した組織図を社員に示し、空いているポジションを社内公募にかけた。全ての社員を受け入れられるほどの枠はなく、また枠が空いたままであったとしても一部社員は選考で容赦なく落とされた。結果、特別退職加算金(最大60カ月分)付きの転進支援制度「R&D NCAP」を使うなどし、多くの社員が退社した。

 社内公募と並行して、社員には海外出向、あっせんする会社(大正製薬、三菱倉庫、あすか製薬、千寿製薬ほか)への転籍など、幾つかのオプションが提示された。武田薬品からカーブアウト(独立)するベンチャーへの転籍や、社員有志によるベンチャーの立ち上げも選択肢に含まれていた。

 17年4月創業の創薬ベンチャー、スコヒアファーマ(INCJ、武田薬品、メディパルホールディングスが出資)など、18年2月までに約10社の武田薬品発ベンチャーが誕生した。

 実はこれらベンチャーに対して、大企業の武田薬品ならではの「給与保障」があった。その庇護がいよいよ終わろうとしている。

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給与保障が終わると社員の年収は幾らになるのか?
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#7 10月3日(日)配信
武田薬品OBのロート製薬社長が狙う「旧タケダ超え」、大衆薬売上高1000億円の野望

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武田薬品 製薬エリートの真実#7
Photo by Masato Kato
 >>10月3日(日)配信

ロート製薬は今夏、武田薬品工業と関係が深かった痔治療薬「ボラギノール」製造販売元を子会社化した。ロート製薬を率いるのは旧武田コンシューマーヘルスケア(武田薬品100%子会社、当時)を去った杉本雅史社長。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#7では、タケダの元エリート社員、杉本社長が内に秘めた野心を語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

タケダ系「ボラギノール」の天藤製薬
旧タケダ人材の関係もありロートに

――武田薬品工業が株式30%を保有し、痔疾患治療薬「ボラギノール」で有名な天藤製薬を今夏、子会社化(株式67%保有)しました。

 天藤製薬は今年10月で創業100周年の会社。創業家(大槻家)に聞いてもらった方がいいけれど、社員のことを思って何がベストの選択なのかを真剣に考えたんだと思います。

 今までは武田薬品本体とタッグを組んでタケダ(ダイヤモンド編集部注:武田コンシューマーヘルスケア、売却後はアリナミン製薬)に販売を依頼してきた。でも武田薬品本体は医療用の新薬の稼げるところにしか経営資源を傾注しないという判断をして、天藤さんの製品も外れる。自分たちはどうなるんだという不安があったのでしょう。ロート製薬ありきではなく、いろんな会社に当たっていました。

 最終的に旧タケダ人材の関係(編集部注:創業家の大槻浩氏は杉本氏の前任のタケダ大衆薬トップ、天藤製薬現社長は杉本氏のタケダ時代の部下)もあるので、社員もロート製薬なら安心するだろうという決断をしたようです。

――ボラギノールの販売はロート製薬に交代するのですか。

(アリナミン製薬との)契約があり、資本が変わったからすぐにそうなるわけではありません。パッケージも既に作っているものがありますし。ただし今後はどうなるか……。

――ところで杉本さんは武田コンシューマーヘルスケア社長を2018年3月に突然辞め、翌19年6月にロート製薬社長に就任しました(編集部注:19年1月からロート製薬戦略アドバイザー)。ロート製薬社長のポストありきでタケダを辞めたのですか?

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「旧タケダ超え」の大衆薬売上高1000億円を狙う野望の全貌
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#8 10月4日(月)配信
武田薬品から独立したベンチャーの社長が「あえてタケダ社員の採用を避けた」理由

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武田薬品 製薬エリートの真実#8
 武田薬品工業の旧湘南研究所発ベンチャー、ジェナヘッドバイオ。2020年ノーベル化学賞受賞のゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」を非独占的ライセンス契約の下で取り扱い、社員はほぼ非タケダOB、OG。最短で2年後のIPO(新規上場)を目指す。

>>10月4日(月)配信

武田薬品工業の旧湘南研究所発ベンチャーのGenAhead Bio(ジェナヘッドバイオ)。2020 年ノーベル化学賞受賞で話題になったゲノム編集技術「クリスパー・キャス 9」を非独占的ライセンス契約の下で取り扱い、社員のほとんどは非タケダOBOG。最短で2年後の IPO(新規株式公開)を目指す。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の最終回では、元武田薬品研究員である周郷司社長を直撃した。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

古巣タケダと今も同じ屋根の下だが
仕事の便宜もこちらからの優遇もない

――武田薬品工業における創薬基盤技術の研究経験を生かし、2018年2月に社内のベンチャー企業設立支援プログラム(EVP)を利用して起業しました。ビジネスモデルは?

 ゲノム編集技術と遺伝子デリバリー技術を用いて、製薬会社などの創薬支援をしています。自社でも核酸医薬品の研究開発をしています。つまり創薬支援と創薬のハイブリッド型ベンチャーで、今は前者がビジネスのメインです。

――古巣の武田薬品には今も一部資本参加してもらっています。他にも支援はありますか。

 経営サポートでアドバイスを受けることはたくさんありますが、金銭的な意味ではないですね。仕事の便宜を図ってもらっているわけでもない。もちろん近くにいますし(ダイヤモンド編集部注:武田薬品の国内研究所が入居する神奈川・湘南ヘルスイノベーションパークに入居)、お互いに知っている人もいるので、当社に発注する際の安心感はあると思います。

 ただ、こちらも古巣だからといって値段など何も優遇はしていません。関係会社を優遇しないというのはIPO(新規株式公開)に際して必要なことなんです。

 元タケダだからというのは、初めてビジネスする相手にとって入り口としてはいいかもしれませんが表面的なもの。顧客と会って話すことこそが大事で、科学的な面で議論すると、先方に「これは大丈夫だな」と安心感が生まれます。

――17~18年に武田薬品から次々とベンチャーが設立された際、武田薬品は元社員に転籍後5年間の報酬水準維持を約束しました(詳細は本特集#6『武田薬品の研究所大リストラで生まれたベンチャーに迫る「給与保障が終わる日」』参照)。そのセーフティーネットは間もなく切れ始めます。武田薬品出身の社員に動揺は?

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武田薬品発のベンチャーなのに「タケダ社員の採用を避けた」理由とは?

・・・

武田薬品の元社員は
社長と副社長だけ

 その件は公開されていない話なので、直接のコメントはできません。

 ただ当社は社員10人で、このうち武田薬品の元社員は私と副社長だけなんですよ。他は元タケダ以外の優秀な人材を会社設立後に採用しました。

 元タケダ社員ばかりというのは、あんまり実戦的じゃないですよね。固定費の面でも。一から闘っていく体制をつくる必要があると考えて、元タケダ社員の雇用をできるだけ避けました。

 われわれの技術を、新しく採用した若い方へ移植していく。それによって強靭な経営体制をつくるのが一つの目標でした。当社の研究者は武田薬品時代に共同研究した他の研究機関の人とかで、皆30歳ぐらい。私と副社長はベテランですけどね(笑)。

周郷司・GenAhead Bioジェナヘッドバイオ社長
すごう・つかさ/1965年生まれ、東京都出身。92年武田薬品工業入社。20年以上にわたり創薬基盤技術の研究に携わる。社内研究員対象のベンチャー企業設立支援プログラム(EVP)を利用して2018年に独立し、現職。 写真提供:周郷司
――20年に開発者2人がノーベル化学賞を受賞したゲノム編集技術「クリスパー・キャス9」に関し、18年の段階でライセンス許諾を担う海外企業と契約しました。これを使った創薬支援事業をどのように展開しているのですか。

 具体的には製薬会社や研究機関からの依頼に応じて病気のモデル(疾患モデル細胞)を作っています。

 20年のノーベル賞でこの技術が話題になり、顧客層が広がりました。話題になる以前は非常に大きな製薬会社からの依頼が中心でした。受賞後は特定の疾患にフォーカスしたような規模の会社も当社に依頼してくれるようになりました。社内で稟議を通すのに「ノーベル賞受賞の技術で実験する」ということで、通りやすくなったようです。

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取り扱う技術がノーベル賞で話題になり、業績は?

・・・

ノーベル賞で顧客層が広がるも
業績はコロナ禍で相殺

――ノーベル賞でこの技術が話題になった後、業績インパクトはありましたか?

 新型コロナウイルス感染症拡大によるネガティブな影響と、ノーベル賞によるポジティブな影響が相殺されています。製薬会社は在宅勤務が多くなり、実験のペースがスローになりました。それとコロナ禍になって、対面のセールスがしにくいということもあります。ウェビナーでもセールスしますが、当社の良さが伝わりにくい。

 コロナが終息して通常営業に戻れば、一気に受注が伸びるのではないでしょうか。特に海外。この2年間は全然セールスに行けていません。

――公開情報がなく、業績は外からは分かりません。

 20年12月期は設立後初の最終黒字でした。それまでは機械を買ったり、ライセンスを取ったりと、投資額が大きかったものですから。リピーターからの受注をもらえていますが、先ほどお話ししたようにコロナ禍の影響があります。とにかく頑張らないといけない。

――今後は創薬支援で稼ぎつつ、創薬の研究開発投資も加速していくと?

 IPOを目指す上では、創薬の方で一発いいネタを立ち上げたい。上場はどんなに早くても23年12月とか。そこから1年、2年とどれだけ後ろにずれるかという感じです。

Key Visual:SHIKI DESIGN OFFICE, Kanako Onda


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