"アクアリウムは踊らない"プレイ後感想

ネタバレはないように配慮する。
登場人物など最低限必要なことは記す。

主人公…スーズ
主人公の親友…ルル
水族館受付…クリス
スーズの前に現れた少女…レトロ
レトロが探している少女…キティ

以下、プレイ後感想。

全エンド回収済み。
作者曰く魔女の家やIbからインスピレーションを受けたとのことだったが、まさにそう言った要素が散りばめられていた。程よく凝った謎解き、チェイス、そして何より世界観。
スーズが水族館のチケットをもらうところからストーリーが始まり、その水族館というテーマを決して崩さず謎解きホラーADVとして完成させている。舞台として、お話として一貫し癒着しており、プレイヤーはひたすらに少女たちを取り巻く展開に引き込まれていく。作り込みの丁寧さがずば抜けていた。
次に登場するキャラクター。正直箱推しである。
一見無気力に見えて芯のあるスーズは、この作品においてこれ以上ない主人公性がある。ルル、キティ、レトロ、クリスもここでは語れないが、それぞれ個性があり、お互いがそれを全く潰さず際立っている。イラストも綺麗で皆表情豊かだ。かわいい。これを読んだあなたは誰が好きになるだろうか。という質問を自信を持って問うくらいに、それほど誰しも魅力的だ。

最後に、ストーリー全てを通した感想。これは読み手によりネタバレと捉えられかねないので、大量に改行しておく。以下を読みたくない人は、ここまで付き合ってくれてありがとうございます。あなたが"アクアリウムは踊らない"をプレイしたのち、この続きを読んでくれたら幸いです。

















この作品を通し、前を向けることの幸せとその尊さをテーマとして感じた。
過去の良い経験を反芻して、先のない幸せを感じることは誰にでも出来る。しかし、それらの甘い汁を断ち切り、未来を見据えられる強い心の軸を持ち、幸福を得ようと歩み出すことは尊く、またそれが出来ること自体幸福なのであると。
そういった爽やかなメッセージ性と共にこの作品を触れ終え、本当に様々な感情が呼び起こされた。
今年始まって間もないが最もプレイしてよかったゲームだった。これはもう揺るぎないのではないかとすら感じている。
そしてこれを読んだ誰かが、水族館で彷徨った果てに何かを思っていたら嬉しいなと思う。


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