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総合診療専攻医の小児科研修に関する悩みとは?

はじめに

こんにちは、医局にっぽんです。
私達は相変わらずオンラインメンタリングを介しながら、専攻医の皆様と一緒に勉強させて頂いている日々を過ごしています。今日はそんなメンタリングから総合診療専攻医の皆様に役立つことをお伝えしたいと思います。

とあるメンタリングの中で、「小児科研修で悩むことがある」という話題になりました。
小児科研修は総合診療専門医・新家庭医療専門医のどちらでも必須の研修期間ですが、専攻医にとって悩む機会の多いタイミングでもあるようです。
今回のメンタリングで話してくれた先生も、これまで内科研修をしていた時と業務内容や体勢が大きく異なること・小児科の知識が少ないことで『お客様』で終わってしまう自分の立場・小児科の指導医とうまくコミュニケーション取れないことなどから不全感を感じておられるようでした。

話題に上がった疑問の中で、遭遇頻度の多いものをQ&A形式でまとめてみました。あくまで私達医局にっぽんからの提案という形でお読みください。

Q:小児科研修でどんなことを学べばいいかわからない。

A:将来総合診療医として働くセッティング次第だとは思いますが、概ね下記のようなポイントが重要になります。
 ①commonな小児疾患の外来管理を学ぶ
 ②入院が必要な疾患や入院を依頼すべき状態を学ぶ(適切にトリアージできる)
 ③採血・点滴ができる
 ④ワクチン接種・健診ができる
 ⑤健やかな子供の発達過程を学ぶ
プライマリケア連合学会から小児科研修における到達目標に関してPDFが出されています。
https://www.primary-care.or.jp/nintei_pg/pdf/leaflet_syoni.pdf 


Q:小児科の指導医が総合診療について理解が浅く、お互いどうしていいかわからない

A:小児科研修は総合診療医にとって非常に有意義な期間となりますが、そのためには小児科の指導医とどんな研修を行うか・何を目的とした研修をするのかすり合わせることが重要です。
 小児科専門医で求められるNICU管理・重症疾患の全身管理といった経験よりも、外来でのワクチン接種・採血や点滴といった基本の手技・お子さんとお母さんへの外来での接し方といった経験の方が重要になってきます。
 上記で紹介した冊子を一緒に眺めながら、指導医とどんな研修を送りたいか話すことがより良い研修につながるでしょう。

Q:研修期間が3ヶ月しかないので、きちんと学べるか不安だ

A:短い期間だからこそ、自分が何を学びたいのか・何を知りたいのかを明確に伝えていくことでお互い満足度の高い研修ができると思います。
 PDFを眺める他にも、到達目標を数値として設定するのはいかがでしょうか。『研修中にワクチン接種100回・採血50回』といった数値目標を提示することで、何を指導したらいいか・何を経験したいのかを明確にすることができます。研修終了間際にはこの数値がどれくらい達成できたか振り返ることにも役立ちますよ。

Q:一緒に働く小児科専攻医がすごくできる人なので、自分が不甲斐なく感じる。

A:安心してください、私達は小児科医ではなく総合診療医です。
 小児の総合診療医である小児科医と、全ての世代を対象にみる総合診療医では必要とされるスキル・マインドセットが異なります。
 隣でバリバリ仕事する若手を見るといろんな不安を感じる時もあるかもしれませんが、総合診療医として必要な小児科の経験を積む期間と割り切って一緒に働きましょう。

Q:小児科研修を有意義に過ごすためには、何をするといいですか?

A:医局にっぽんの指導医が感じた個人的なオススメは下記の通りです。
①外来看護師と仲良くなる・業務を手伝わせてもらう
 小児科の手技は看護師さんのサポートが必要です。採血ひとつ取っても、看護師がテープを準備したり点滴を繋いだり固定をうまくするなど、医師の仕事以上に看護師の動き方が重要になることもしばしばです。小児科の経験があまりないセッティングで突然採血や点滴が必要になった場合、あなたがその全てを行わなければいけない時もあります。
そのため、外来看護師のスキル・テクニック・業務内容を一緒に行わせてもらうことも重要な研修になると私達は考えます。
②道具に慣れる
 小児の点滴を取るためにサポートとなるライトがあるのをご存知ですか? イルミネーターとかピカピカとか言われる道具で、小児の血管の影を浮き上がらせて点滴を取りやすくしてくれます。他にも、小児用の耳鏡・小児の聴診器(場所によっては小児のエコー)といった外来でも使用頻度の高い道具がいくつかあると思います。
 こういった道具に早くから慣れておくことで、小児科研修はより有意義になります。個人で手の届く範囲の値段であれば、手元に揃えてしまうことも一つの手かもしれませんね。
③指導医・専攻医・スタッフと自分の研修について話す
 小児科研修中に一緒に働く医師・看護師は必ずしも総合診療に理解があるとは分かりません。自分がどんなことをしたいのか・何を目標にローテしているのか、機会があるたびに話し合ってみることをオススメします。総合診療専攻医がどんなことを経験したいのか、指導する側も一緒に働く側も手探りの状態がしばしばです。あなたの言葉で、ぜひ伝えてみてください。

終わりに

最後に、総合診療医にとって小児科研修は子供としっかり向き合う貴重な3ヶ月です。この経験はさまざまなセッティングで活きてくることを指導医として保証します。有意義な研修になるよう、前向きに準備して挑んでみてくださいね。

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