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日本理学療法士協会の新生涯学習制度について⑥ ~登録理学療法士にできること~

 こんにちは、理学療法士いくちゃんです。

 前回は後期研修の中のE領域別研修(事例)についてまとめてみました。
 今回は登録理学療法士にできることについてまとめてみようと思います。

 お時間があれば最後まで読んでいただけると幸いです。

新生涯学習制度イメージ図

登録理学療法士とは

 あらためて、登録理学療法士制度とは日本理学療法士協会の新生涯学習制度(以下、新制度)において全体の基盤となる制度のことで、旧制度で言えば「新人教育プログラム」にあたる制度です。

 前回までに説明した「前期研修」「後期研修」の全カリキュラムを修了することで、晴れて「登録理学療法士」となることができます

 日本理学療法士協会としては、卒後5年間を義務教育的に位置づけとして、様々な障害像に対応できる能力を有する「ジェネラリスト」の育成を目指しており、「登録理学療法士」がこれにあたるというわけです。

 では、登録理学療法士になると新制度上どんなことができるようになるのでしょうか。ひとつひとつ見ていきましょう。

1、認定理学療法士を目指すことができる

 1つ目は、やはり「認定理学療法士」を目指すことができるが挙げられます。

 登録理学療法士が「ジェネラリスト」を目指すのに対して、「認定理学療法士」はより高い専門性を有する「スペシャリスト」、いわば個性を育成することを目的としています。

 主な役割としては、臨床・教育の現場等でより質の高いサービスを提供することが挙げられます。

 認定理学療法士は旧制度でも新人教育プログラムが修了したのちに目指すものであったため、新制度においても流れについては旧制度の仕組みを踏襲したといえます。

 しかし、旧制度では新人教育プログラム修了後、専門領域を登録したのち取得するまでに最短2年必要でしたが、新制度においては必要要件を満たしていれば最短1年で認定試験を受け、合格することで取得できるようになりました。

 制度の詳しい説明については別の記事でさせていただきますね。

2、専門理学療法士を目指すことができる

 2つ目は、「専門理学療法士」を目指すことができるが挙げられます。

 前述の認定理学療法士と同様、「専門理学療法士」もより高い専門性を有する「スペシャリスト」、いわば個性を育成することを目的としています。

 専門理学療法士の主な役割としては、学術的に理学療法学を発展させることが挙げられます。

 専門理学療法士も認定理学療法士同様、新制度においても流れについては旧制度の仕組みを踏襲したものです。

 しかし、旧制度では新人教育プログラム修了後、専門領域を登録したのち取得するまでに最短5年必要でしたが、新制度においては必要要件を満たしていれば最短1年で口頭試問を受け、合格することで取得できるようになりました。

 こちらも制度の詳しい説明については別の記事でさせていただきますね。

3、地域ケア会議推進リーダーを目指すことができる

 3つ目は「地域ケア会議推進リーダー」を目指すことができるが挙げられます。

 少子高齢化社会に突入している日本において、政府が作り上げたいネットワークに地域包括ケアシステムというものがあります。

 その地域包括ケアシステムの一翼を担うとされている地域ケア会議という市町村単位の会議理学療法士が助言者として参加するために必要となるのが、地域ケア会議推進リーダーです。

 大まかにではありますが、地域ケア会議に理学療法士を助言者として呼びたいと考えている市町村から職能団体(ここでは都道府県士会のこと)に派遣の依頼があった際に、職能団体は該当する市町村付近に勤めている理学療法士のうち、この地域ケア会議推進リーダーを有しているものから優先して推薦する流れとなっています。

 地域ケア会議推進リーダーも旧制度において新人教育プログラムを修了したのちに目指すものであったため、新制度においても流れについては旧制度の仕組みを踏襲したといえます。

4、介護予防推進リーダーを目指すことができる

 4つ目は「介護予防推進リーダー」を目指すことができるが挙げられます。

 前述した地域ケア会議推進リーダーと同様に市町村が介護予防事業を展開していくうえで理学療法士の派遣を職能団体に依頼した際に、職能団体から優先的に選抜されて派遣されるのが介護予防推進リーダーです。

 地域ケア会議と同様に今後介護予防事業に興味がある理学療法士は是非とも取得を目指してほしいものではあります。

 介護予防推進リーダーも旧制度において新人教育プログラムを修了したのちに目指すものであったため、新制度においても流れについては旧制度の仕組みを踏襲したといえます。

5、実地研修の実地指導者になれる

 5つ目は「実地研修の実地指導者」になれるが挙げられます。

 実地研修については以前の記事でも説明しましたが、新制度の前期研修において登録理学療法士未取得者を対象に主に対面によって行われるOJT(On the Job Training)を主体とした指導を中心とした研修のことです。

 その実地研修において指導および修了の可否の権限を有しているといっても過言ではないのが実地指導者です。

 活躍の場は主に自身が務める施設のことが多いですが、他施設からの受け入れをしている施設では他施設の理学療法士を指導することがあるかもしれませんね。

 後輩の指導というのは大変な労力を要しますが、その分後輩だけでなく自分自身の成長にもつながりますので、機会があればぜひ引き受けていただきたいなと思います。

6、症例検討会の座長になれる

 6つ目は「症例検討会の座長」になれるです。

 症例検討会については以前の記事で説明しましたが、新制度の後期研修において登録理学療法士未取得者を対象に行われるものです。

 登録理学療法士になると、都道府県士会主催の症例検討会の座長に指名されるだけではなく、都道府県士会への申請・承認を得ることで自身が勤める施設内での症例検討会を都道府県士会承認のものとして開催することができます。

 こちらも役割を果たすにはそれ相応の労力を要しますが、機会があればぜひ引き受けていただきたいなと思います。

7、所属施設主催の研修会の開催者になれる

 7つ目は「所属施設主催の研修会の開催者」になれるが挙げられます。

 これは前述の症例検討会と同様に、都道府県士会への申請と承認(承認基準は都道府県士会によって異なる)を得ることで、所属施設主催の研修会を都道府県士会承認のもの、つまり新制度におけるカリキュラムにおいて単位認定されるものとして開催することができるようになります。

 自身が勤める施設の取り組みを新制度に活かせる意味でもチャレンジしてみる価値は大いにあると思います。

8、日本理学療法士協会や都道府県士会主催の研修会の講師になれる

 最後8つ目は「日本理学療法士協会や都道府県士会主催の研修会の講師」になれるが挙げられます。

 旧制度であれば研修会の講師を担うことができたのは、主に認定理学療法士や専門理学療法士を取得している理学療法士であることが多かったのです。

 しかし、新制度においては登録理学療法士に段階で研修会の講師の依頼が訪れる可能性が出てきたわけです。

 具体的な運用については都道府県士会ごとに基準が設けられるようなので、すぐに登録理学療法士に講師依頼が舞い込むということは少ないとは思いますが、今後徐々にそのような機会が増えてくるのではないかと予想されます。

まとめ

 今回は登録理学療法士にできることについて説明しました。

 登録理学療法士にできることは大きく分けて8つあり、旧制度からの仕組みを踏襲したものや新制度で新たに作られたものがありました。

 全体を通して言えることは、それぞれが「理学療法士として自分自身を成長させることができる機会である」ということではないでしょうか。

 正直に言うと、登録理学療法士を取得したからといって直接的に給与等に反映される可能性は低いと思います。

 しかし、だからといって理学療法士として自分自身を成長させなくても良いということにはならないと思います。

 私自身は理学療法士という仕事は大変素敵な職業であると考えています。

 その理学療法士として今後も第一線で活動していくためにも、上記のような機会を積極的に活用して自分自身の成長につなげていくことが、自分自身はもちろん自分の周りの人たちに少しでも幸せを感じてもらうために必要なことではないかと考えています。

 今回の記事を読んで、皆さんはどのようなことを思いましたか。


 今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。