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マリンタワー の見える町

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YOKOHAMA

yokohama midnight
家路を見失いひとり街を彷徨い
君は今夜も誰かの胸で冷たい朝を待つ

yokohama midnight
凍りついた月が君を射し続ける夜
街を呪うこと以外救いなどない

yokohama midnight
いつか君が優しい月のヒカリの下で
温もりに抱かれて眠れるように

yokohama midnight
君の孤独に歌い続ける

jingi fuw

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原色の孤独

原色の孤独

6年1組のキミは両親の離婚で
転校していた
3組の僕がそれを知ったのは
ずいぶん後のことだった
大人の都合はよく分かっていた
僕もその環境下で生きていたのだから

中学になって3年のとき
3階と4階の途中
階段でキミとすれ違った時には
ビックリしたけど本当に嬉しかった
キミの肩に触るほどだった髪は
背中の中程まで伸びていて
そして色が変わっていたけれど

キミは名字が変わっていて
キミの孤

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土曜の夜と日曜の朝

先生とは子供の頃からずっと今までのこと
色々なことを話す。
言ってみれば、時間旅行みたいなものかな。
とうの昔に記憶の奥で葬り去ったものまで全部。
時後列に関係なく話す。

この前はバックミラーの中の彼女の話をした。
彼女は僕を街のゴミ、ガラクタだねと言い
あたしもクズだけどと。

そして
ただのガラクタがダイヤモンドに変わる場所があるって
話をしてくれて、行けるなら一緒に行きたいなって

それは

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春の風
サクラのユキを降らして
柔らかな君の髪を揺らしてく

君は両手で受け止める仕草
そして笑い声と僕を呼ぶ声

風が行くたび
サクラのユキ
君の髪を揺らして揺らして
時折、髪飾りになる

空のカケラの落ちる場所を探しに
よく君を連れ出したあの頃。

僕らは不自由だったけど
自由だったね。

本当はね
僕は空のカケラを手に入れていたんだよ。

君が空を見ている時
僕がいつも君を見ていたこと
君は気づいてなかったでしょ

とってもキレイだったなぁ。



バイトするに当たって
先輩に言われていた
女のコに絶対恋するなよ
辛くなるだけだからなと

なのに、
あの日
土曜日の夜
バックミラーの向こう
バックシートにすわる
君に恋してしまった

思い出す
18の夜
トウキョウ
イケブクロ