【営業力:ラーニングパスvol.4】プロポーザルマネジメントのススメ
はじめに
クライアントへの提案活動において、以下のような悩みを抱えていませんか?
提案書作成時の残業が常態化
何を伝えたいのかわからない提案書
顧客のニーズが把握できていない
こうした問題に対する解決策として、プロポーザルマネジメントを紹介します。この方法を組織の共通言語として実践することで、受注確率を高め、組織の一体感を強化し、お客様の良きパートナーになることができます。
プロポーザルマネジメントの紹介
プロポーザルマネジメントとは
プロポーザルマネジメントは、組織全体の提案力を高め、提案価値を最大化するためのマネジメント手法です。法人向けの提案活動は、顧客の意思決定に関与する人が多岐にわたるため、そのニーズも複雑です。この複雑な要求を理解し、解決策をまとめ上げるには、営業マン一人の力だけでは不十分です。組織全体が連携して提案をまとめることで、効率的かつ効果的な提案が可能になります。
普通の提案活動との違い
プロポーザルマネジメントを行っている組織とそうでない組織の違いを比較します。
マネジメントされていない組織の特徴
個人のスキルに依存
情報共有がされておらず、すべて個人がゼロから提案書を作成
提案書の内容が製品やサービスの紹介に終始
長時間労働が常態化
受注後にトラブルが発生しやすい
マネジメントされている組織の特徴
優れたやり方が標準化されており、参考にしながら提案作成が可能
提案に役立つノウハウや情報が共有されている
提案書の内容が顧客に提供する価値を中心に構成されている
効率的な働き方が可能
提案段階からリスクを低減し、受注後のトラブルも軽減
経営の視点からのプロポーザルマネジメント
プロポーザルマネジメントは、顧客のビジネス目標を理解し、その実現に向けた良きパートナーとなるために重要です。長時間労働が是正される中でも、提案に注力し続けることができる企業にとって、非常に有効な取り組みです。
提案活動の流れ
顧客分析
提案活動の第一歩は、顧客のことを理解することです。顧客分析を通じてニーズを把握し、競合と自社を比較し、自社の優位性を導き出します。この優位性を言語化し、顧客との対話の道具として使用することで、より効果的な提案書を作成できます。
顧客分析のステップ
顧客のニーズ把握:
企業のビジョンや目標を理解
顧客の直面する課題や問題点を特定
公開情報(ウェブサイト、IR情報)を活用し、非公開情報はヒアリングで補完
競合との比較:
自社と競合の強み・弱みを分析
顧客のホットボタン(関心事)を把握し、それに基づいて比較
自社の優位性の言語化:
自社の強みを具体的なベネフィットとして表現
顧客にとっての価値を明確に伝える
競合分析
競合分析も重要です。顧客のニーズに照らし合わせて、自分たちが強いのか弱いのか、競合の方が強いのか弱いのかを分析します。これにより、自社の優れた点を顧客に伝えるための基盤が作られます。
競合分析のステップ
競合の特定:
同じ顧客に提案を行っている競合他社を特定
競合の製品やサービスの特徴を把握
競合との比較:
顧客のホットボタンに照らし合わせて、競合と自社の優劣を分析
価格、品質、サービス、アフターサポートなど、複数の要素で比較
競合優位性の言語化:
競合の強みを理解し、それに対する自社の優位性を明確にする
提案書やプレゼンテーションで競合との差別化を図る
エグゼクティブサマリー
提案書の冒頭に組み込まれるエグゼクティブサマリーは、提案内容を簡潔にまとめた資料です。顧客のビジョンやニーズを理解し、それを満たす解決策を提案していることを示します。このサマリーを提案書作成の前に作成し、顧客との対話のツールとして活用することで、提案の方向性を定め、ニーズに沿った提案を行うことができます。
エグゼクティブサマリーのポイント
顧客のビジョンを理解:
顧客の長期的な目標やビジョンを把握
提案がそれらにどのように貢献するかを示す
顧客のニーズを把握:
顕在化されたニーズと潜在ニーズを理解
提案がどのようにこれらのニーズを満たすかを示す
解決策の提案:
自社の提案がどのように顧客の課題を解決するかを説明
具体的なベネフィットを強調
競合他社より優れている点:
競合他社との差別化ポイントを明確に示す
自社の優位性を具体的に説明
実践事例
トレンドマイクロのケース
トレンドマイクロでは、プリセールスコンサルタントがプロポーザルマネジメントを活用し、顧客に対する提案活動を効率化しています。提案書の標準化を進めることで、提案内容の質を向上させ、顧客から高い評価を得ています。また、エンジニアが提案内容を深く理解し、顧客との信頼関係を構築することで、受注率の向上にも寄与しています。
トレンドマイクロでのプロポーザルマネジメントの効果
提案書の標準化:
提案書の構成や内容が統一され、レビューが効率化
各エンジニアが標準化されたフォーマットを使用することで、質の高い提案が短時間で作成可能に
エンジニアのスキル向上:
顧客の経営層の課題理解が深まり、より的確な提案が可能に
自己学習や情報収集が促進され、提案スキルが向上
受注率の向上:
提案書の質が向上し、顧客からの評価が高まる
信頼関係の構築により、競合他社に対して優位に立つことが可能に
振り返り
提案活動を効果的に行うためには、まず顧客を理解することが重要です。顧客分析を通じてホットボタンを特定し、競合と自社を比較して自社の優れた点を言語化します。それをエグゼクティブサマリーとしてまとめ、顧客との対話に活用します。この方法論を組織の共通言語として実践することで、提案活動の効率と効果を高め、受注率を向上させることができます。
ぜひ、今日学んだことをすぐに実践し、組織の提案力を高めてください。エグゼクティブサマリーやオポチュニティプランを紙に書き出し、誰かと共有することで、必ず結果が出ます。また、学習したことを紙に残し、次の案件に備えてまとめておくことで、組織全体が無敵になります。頑張ってください。
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