いくちゃんの頭の中

思想家。1982年、東京生まれ。この14年間、2年以上同じ家に住んだことがない引越し人…

いくちゃんの頭の中

思想家。1982年、東京生まれ。この14年間、2年以上同じ家に住んだことがない引越し人生。Leica Q2からGR3に乗り換えたばかり。

最近の記事

40年目のできごと

またやってしまった。 日ごろは決して怒りっぽいわけでもないのだけれど、 年に数回、あるいは数年に一度、震えるほど怒ることがある。 そして怒りをぶちまける悪癖がある。 わたしが声をあげるだけの理由があると思うようなことは、 みんな薄々気づいているけど、あえて知らんふりしていることであり 頭から湯気を立てて怒るわたしは、さぞや滑稽だろう。 そんなことをいうべきではないと諭されることもあれば、 勇気があるね!と変な褒められかたをしたり、 何ごともなかったように、やさしく接して

    • わたしはいまどこでなにをしているか

      おひさしぶりのかたは、ほんとうにおひさしぶりです。 あんなに文章を書くのがすきだったのに、すっかり書かなくなりました。 2018年のはじめまでは東京にいて、 とーんと恋人のいるカリフォルニアへ飛んで、 あれよあれよと現地で結婚、出産することになりまして、 2020年夏に、一家で日本に引越してきました。 子どもはあっというまに4歳になり、すっかり一丁前のヒトです。 「日本の田舎で暮らしたい」という夫のつよい希望で帰国したものの、 東京生まれ、東京育ち、これといった田舎も知ら

      • 沈黙をことばとアクションに変えること

        全訳・Audre Lorde "The Transformation of Silence into Language and Action" わたしは自分にとっていちばん大切なことは語られなくてはならない、つまりことばにして伝えなくてはならないと、事あるごとに何度も確信するようになった。たとえそのおかげで痛い目にあったり、誤解されたりするリスクがあったとしてもだ。語ることは他のどんなことよりも自分のためになるのだから。今日わたしは黒人のレズビアンの詩人としてここに登壇して

        • 世界は恋人 世界はわたし

          ジョアンナ・メイシー『世界は恋人 世界はわたし』(World As Love, World As Self)より。 1960年代にインドのダルハウシーで家族とともに居住していたころのこと。ある日、若いラマ僧のための学校へ立ち寄ると、慈悲の心を養うための実習をしていた。それは、あらゆるひとが前世のどこかで自分の母親だったとみる観想法だった。 生まれ変わりを信じない自分には向かない行法だろう、と考えながら山道を下っていると、むこうから「苦力」と呼ばれる下層カーストに属する荷役

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          ユーミンと社会彫刻

          ある朝ラジオをきいていると、ユーミンがこんなようなことをいっていた。自分の持つ傷つきやすい心を大切にしたいけど、そのままのかたちで外に出せばすぐに傷ついて壊れてしまう。多くのひとは鈍感になることで自分を守ろうとシフトしていくけれど、わたしは創作することによって自分の感受性を守っています、と。 その晩、『ナウトピアへ サンフランシスコの直接行動』の著者である堀田真紀子さんにはじめてお会いし、そこでヨーゼフ・ボイスの「すべての人間は芸術家」ということばに再会した。 ボイスがい

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