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 昨夜、我が子がこの広い世界にやってきた。コロナ禍の影響で、退院まで面会は叶わず、今日の日々はテレビ電話と写真を頼りに過ごすことになった。人々がネットワークを介してコミュニケートするこの時代に、我が子との初対面も例外ではないらしい。

 おかしいことに、何も変わらないはずの日常が、何か違う景色を映している気がする。自宅の窓から見える景色、いつもの通勤路、いつもの会社、全部同じなのに、全てが輝いて見える。

 地に足がついていないような感じもする。まるで、宇宙飛行士が月面に降り立った瞬間のような浮遊感。子供の誕生は、人生の重力を一変させる力があるんだろうか。テレビ電話が鳴ると、画面越しの我が子の顔を見て、僕の心はまた宇宙を飛ぶ。妻の顔にも疲れが見えるが、それ以上に幸せそうな笑顔がそこにある。

 会えないことの寂しさ、そして新たな人生の始まり、そんな混沌とした感情の中でも、1枚の写真、1回のテレビ電話が、新しい日常の美しいメロディを奏でている。

 子供の誕生は、新しいジャズのレコードのようだ。予測不能なメロディに心を奪われながら、僕はこの新しい人生のリズムに耳を傾けている。地に足がついていなくても、空を飛ぶのも悪くない。だって、僕の新しい星がそこにあるのだから。

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