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【本の紹介】『さいごの毛布』(近藤史恵著)

表紙のとおり、「犬」がたくさん出てくる物語です。
舞台は老犬ホーム「ブランケット」。(兵庫県の宝塚にあることになっていますが実際には宝塚に「ブランケット」はありません。)

「ブランケット」では老犬だけではなく、事情があって飼い主さんと一緒に暮らせなくなった若い犬も預かっています。

主人公の智美は、家族や学校や職場での人間関係がうまくいかず、自分を卑下しています。
そんな智美が、家族から離れて「ブランケット」で住み込みで働くことになります。
先輩従業員の碧(みどり)やオーナーの麻耶子(まやこ)、そして犬たちと関わるうちに、智美は「私はこれでいいのかも」と思えるようになっていきます。
ーというのが本筋にはあるのですが、それだけではちょっとありきたりですよね。

『さいごの毛布』のおもしろさは、
「ブランケット」で日々勃発するさまざまなビックリ事件。
そして、少しずつ明かされていく碧と麻耶子の事情。
それから多種多様な犬たちの性格描写。

「散歩好きな子」に「散歩嫌いな子」
雑草を食べ出したら止まらない子。
「食べすぎて心配な子」と「食べなくて心配な子」
「すぐ吠える子」に「いつも落ち着いている子」
「人好きな子」に「犬好きな子」・・・


実は私はどちらかというと犬が苦手で
じっくり付き合ったことがなく、
犬の性格なんて考えたこともありませんでした。

私の両親は9歳のトイプードル「ムクちゃん」と暮らしています。
犬嫌いの私も、両親とムクちゃんの散歩に同行します。
ムクちゃんは、犬嫌いの私にも懐いてくれます。
何だか申し訳ない気分になります。
ムクちゃんに興味が湧かないからです。
私は人間で精一杯。

けれども、
ムクちゃんとの散歩のおかげで、両親は歩くことができます。
ムクちゃんの癒し効果で、両親は穏やかに仲良く過ごせます。
ムクちゃんのお世話をすることは、両親の頭の体操になっていると思われます。
80代の両親にとって、ムクちゃんはなくてはならない存在です。

ひとり暮らしの高齢の方には、なくてはならないワンちゃんと暮らしておられる方も少なからずいらっしゃることでしょう。

『さいごの毛布』の「ブランケット」のような場所が増えるといいなぁと思いますが、どこも人手不足だし…。
にんげんの保育も教育も介護も人が足りていないんですもんね…。
なかなか理想どおりにはいきませんね😿



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