女装中年の花嫁写真撮影②
【撮影-花嫁編】
そしていよいよ撮影。
美しくなったアタシ(当社比)はおずおずと撮影室へ進む
気分は正にバージンロードを練り歩く新婦である。
(お父さん今まで育ててくれてありがとう。アタシ今日、お嫁さんになります)
白を基調としたフリフリのカーテンが架かる撮影エリアで
まずカメラマンのゆなさんにご挨拶。
ゆなさんは超絶美系の女装さんで、背も高くスラリと足も長く
マスクから除くお顔も奇麗で、正直ゆなさんをモデルに
今日はアタシが撮影したほうが世のためではないかと思った。
彼女の指示でポーズや顔の向き、目線などを追うのだが、
決して多くは喋らない彼女が、何枚かシャッターを切った後
モニターを確認し「うん、奇麗」「あ、すごくイイ表情」と
ポツリと言う。 もちろんカメラマンとしてのトークや技術の内
なのは分かっている。でもうれしい、過度な誉め言葉よりずっと
心に響くのだ。 こっちは写真をプロに取ってもらう機会など
七五三以来である、当然ポーズなどわからないし慣れていないのに
彼女の指示で撮られていると、だんだん楽しくなってくる。
(もっと笑ってみよう)(少し目を細めてみようか)等と
考える余裕が出てくる。この男、ノリノリである。
ある程度撮影すると取れ具合を都度パッドで確認させてくれて
「ほかに取りたいポーズはあります?」「もっと『こんな風に』とかあったら言ってね」とこちらの要望も汲み取ってくれる。(慣れてないからほぼおまかせだけど)
そして花嫁姿と共に今回の目的である小物を使った撮影に移る。
事前にDMで頼んでおいたのだ。
「RAAR様、可能でしたら私物の小物を持って撮影したいのですが
可能ですか?
『日本刀』 と 『拳銃』
です。」
この男、何がどうしたらここまで倒錯するのか。
普通の人は花嫁姿なら可愛らしく、美しく撮られたいと思う。
(普通の男性が花嫁姿になるのか?という事案は保留)
だがアタシは芯の部分は偏った映画や漫画で構成されているため、
こういったアンバランスさがたまらなく好きなのだ。
好きなんだから仕方がない。
そしてRAARさんからの返答はすぐに来て
「もちろん大丈夫ですよ。」
・・・なんと懐の広いスタジオなのか。
お言葉に甘えてアタシはいそいそと日本刀(模造刀)と拳銃(モデルガン)
を購入し、この日持参したのだ。
もちろん撮影前夜は抜刀斎のごとく家で決めポーズの練習をしてきている。
スタジオの好意には全力で答えねば武士の名が廃る。(一般人)
ゆなさんとポーズの相談をし、心置きなく刀を抜き、銃を構え
最高にヘブン状態の一時を味わう。
そしてカメラ撮影の後、RAARさんの素晴らしいところは
セルフ撮影の時間が貰える事だ。
こちとら生粋の自撮り女装である、自撮り棒もリモコンシャッターも持参してきてる。
ここぞとばかりにポーズを取り、顔をキメ、動画も撮る。
(お父さんお母さん、あなたの息子はこんなに奇麗な花嫁になりました)
と心の中で報告しながら、花嫁姿の撮影は大満足で終わるのでした。
次回【ランジェリー編】
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