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女装中年の花嫁写真撮影①

 先日、新宿にある「女装サロンstudioRAAR」さんでメイクと撮影をしてもらった備忘録。

【はじまり】
 今回「6月の花嫁キャンペーン」で、ウエディングドレスとランジェリー姿の2パターンの撮影を、通常よりお得な価格でして頂けるということで、早速予約をして行ってきた。

【入室~衣装選び】
 ビルの一室にあるスタジオに入ると部屋一面の衣装衣装衣装・・
圧倒されていると、中から飛び抜けて綺麗な女装さんが、この方がカメラマンの「ゆなさん」 そして奥からメイク担当の女性(代表岡本さん)が出ていらして先ずはご挨拶。
 北関東から列車に乗って大都会、眠らぬ街新宿(昼間です)にやって来たアタシ。落ち着く暇もなく美人二人に囲まれ、HPはもう0である。瀕死状態のまま今日の衣装のウエディングドレスとランジェリーを選ぶのだが、 
ここで選択を間違えたらアウトである。

いや、

衣装は全て可愛いのだ。可愛げがないのはアタシのマッシブな体と腹の肉である。
そして「可愛い」と「似合う」は等しくない。アタシはAmazonでそれを嫌と言うほど思い知った。
 無理矢理に着て破りながら脱いだセーラー服、筋肉自慢ばりに胸のボタンが弾け飛んだチャイナドレス、どれも「いつか痩せたときのために」とまだ大事にしまってある。

そして、アタシは衣装を選んだ

どちらも体型を誤魔化せそうなデザインと形、逃げの一手である。だがこれで正解なはず。(頼む、何とか入ってくれ)と祈るばかりだ。

【メイク】
 どうにかこうにかウェディングドレスに着替えてからメイクとなったが、丸きり男の顔でドレスを着るという試練。
スタジオなのでそこかしこに鏡があるため、純白のウェディングドレスを纏った中年男性が嫌でも目に入ってくる・・・正直厳しい。(自分なのに)
 ドレスの裾をたくしあげ、おずおずとメイク台の前に座る中年男。
女優がメイクをされるような、所狭しとメイク道具がならんだ台と、沢山の照明、そして照される鏡に写ったドレス姿の中年男性という地獄絵図に眩暈を覚えるが、
「アタシは今日、花嫁になるためにここに来たのだ!」
と覚悟を決めてなんとか意識を保つ。
 そしていよいよ始まるプロのメイク。
今まで自分で顔に塗りたくっていたのは泥だったのか、と思うほど当たり前だが技術も道具も全然違くて、隙あらばメイクの技術を学ぼうと思っていた自分が笑えるくらい丁寧で沢山の工程があり、しかも全てにとんでもない技術と経験がいる。
一つ手が加えられる度に、綺麗になって行くおじさんの顔、いやもう既に自分が見たこともない可愛い女性が鏡に映る。
「これが・・アタシなの?」等とお約束を言う暇もなく人生で1番可愛く仕上がるアタシ。
 faceappアプリで女になった自分を見て、勘違いから女装を始めたが、その「なりたい自分」が目の前にいる。
初めてドンキで購入した1200円のウィッグを被り、高鳴る胸で鏡を覗いたときに写った怪物を見て咽び泣いた自分に見せてあげたい。
「アンタは本当はもっと可愛くなれるよ」(中年男性です)
正直感動してしまって、まともにお姉さんとの会話も出来ない。
「出来ました。とっても可愛いですよ」
と言ってもらったときはっきり言って泣くかと思った。
今このお姉さんに勧められたら、絵画でも壺でも買うし、内臓だって売る自信があった。マグロだってカニだって喜んで捕りましょう。
もちろん岡本さんはそんなヤバい女ではないので、晴れて花嫁となったアタシは撮影する部屋へと赴くのでした。

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次回、【撮影編】へ続く。

撮影編はコチラ→

https://note.com/ikucd/n/ne9b8eda003c3

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