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精神的貧困

非常事態

金が無い。
本当に無いのだ。
「そう言っているヤツは実際金がある」なんていうくだらない論理など、今なら跳ね除けてしまえる。

そもそもこの論理のことを気にかけている時点で本当なのか?と勘繰る人間もいるだろう。
しかしこのようなどうしようもない言説さえ否定し切らなねば、言いたいことすら言えない性分なのである。
私は心が弱い。
本当に弱いのだ。
「そう言っているヤツは実際...


今日、お昼ご飯を食べるか否か迷い続けて17時を迎えた。
人がご飯を食べる回数なんて、数えられるほどだ。私はこの一つひとつを大切にしたい。

ご飯を大切にする、というのはかなり解釈に開かれている。例えば栄養をバランスよく摂取するだとか、なるべくお金をかけて良いもの食べるだとか。
私の場合は、誰とどれくらいの時間をかけて食べるかが重要だ。
できれば好きな人たちと、そのご飯が美味しいと感じられなくなるギリギリまで食べて、話していたい。
とはいえ、今日は一人。

ご飯探し

大学前の通りを、悩みながら歩く。
数多ある飲食店の中で候補として挙がったのは
セブンイレブン、松屋の二つだ。
理由は単純で、安い割にお腹を満たすことができるから。
とりあえず、入っても簡単に脱出可能なセブンイレブンに入ってみる。...おにぎりが180円?
せいぜい楽しめて10秒間の妥協ランチに、180円も使っちゃいられない。
それで言うと松屋だが、400円の並盛牛めしすら今は悩みのタネだ。

と言うか、問題はそこじゃ無い。
私は食べる時間を楽しみたいのだ。
危うく腹を満たすことに必死になるところであった。しかし腹が減っては、今日の目標である卒業論文の執筆すら叶わない。腹と心をインスタントに満たす方法とは。否、そんなものは無い。

結局ウロウロと大学周りを1時間ほど考えながら歩き、紙パックの野菜ジュースとカロリーメイトを食べた。満腹感と値段の妥協点。

気持ちだけでも晴れてくれたら、と外で食べていたのだが、左手の坂を登っていく学校見学中の高校生と目が合い恥ずかしくなる。

大学に希望を抱いているはずの彼らはきっと私のことを学生とは認知せず、「大学って誰でも入っていいんだ〜」などとでも思ったに違いない。

差し当たり近所の脛かじりニート。
しかし脛をかじっているニートはカロリーメイトなど知らないだろう。受験生なら誰もが背中を叩かれるあのCMも、きっと刺さらない。そもそも脛以外かじった事が無いのだから、カロリーメイトもクソも無い。
いや、初めから目など合っていないのかもしれない。

残念人間による否定

あの時間をランチとは認められない。
そして16時半頃に居ても立っても居られなくなり、もう一度セブンと松屋の往復を30分ほど行い、結局食べなかった。

あんなものがご飯とカウントされてなるものか。
とはいえ数えなくたって時間は過ぎていくのだから、2023/12/11のランチは「しなかった」という結果の元にカウントされることとなる。まるで抵抗虚しく消える線香花火のようだ。(押韻、剽窃、季節錯誤)

最近、「しなかった」カウントが多い気がする。
最低限の栄養を補給し、腹を満たすためだけの食事。別に1人で食べるのがどうとか、そういう話ではない。1人でも美味いものは美味いし、なんなら1人の方が楽だとすら思う。

ただ現在、好きなものを好きな時に食べられる権利が金欠により失われている私は、1人で幸せな時間を奏でる事すらできず、もうかなり精神的にキテいる。

そう、ただのワガママなのだが。
ただのワガママを不特定多数の他人に対してぶち撒けるという暴挙に出ている事には、もう気づいているのだが。
ご飯を食べる事が生きる理由の私にとって、もはや我慢できたものではない。
早く、顔よりデカいハンバーガーが食べたい。

私をよく知る、いや“知っていると思っている”皆。
本当の私はこうだ。

普段「余裕っぽいよね」なんて言われる裏では、ただハンバーガーが食べたくて震えている。そして高校生と目が合った気がしてバツが悪くなったことを、どうでもいい妄想混じりの文章として消化する事でなんとか乗り越えようとしている。

私の親へ、あなたの息子は普段からこんな事ばかり考えています。どうしようも無いです。

いつかその時は

顔よりデカいハンバーガーが食べれるようになれば、またここに長ったらしい文章を残したいと思う。きっとその喜びはひとしおだろう。今日の二倍の文量で、熱と感動を伝えたい。

とはいえこの文章も、かなりノリノリで書いている。本気の金欠、そして焦りをコンテンツにする事が出来ると言うのだから、指がとんでもない速度で動く。そういえば、今日の話には続きがある。

野菜ジュースとカロリーメイトを食べ終えた私は、小腹が満ちたことを確認して図書館に向かった。
リュックを開けるや否や、PCの無い事に気づく。
時刻は14時前。
絶望と共に、又吉直樹の新作エッセイ本が図書館に入った事を思い出す。
プスプスと笑いを漏らしながら読み進める。

卒業論文など1文字も進む事なく、読了。
「又吉さん、自分と同じような事ばっか考えているなぁ」などと呑気な事を考えながら、16時半頃に腹が減って気分が悪くなったことに気づき、フラフラと3時間前に散々彷徨った道を往復し始めた。

というのが事の顛末である。
書いている私ですら、こんな阿呆は永遠に空腹を拗らせていれば良いし、二度とハンバーガーなどと口走るなよと思うのだから。
読み手のアナタはもはや呆れ顔で読み進め、更に呆れる事となる。

私は明後日から東京に行ってくる。
いや、本当に金は無いのだ。
丸腰で向かった先でクレジットカードに救いを乞う私を見たい皆様は、どうぞ明後日以降のnoteに期待していただきたい。

文: おしぼりマン(一文無し)

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