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アイドル運営のロジティクス

昔、アメリカの司令官が「素人は戦略を語り、プロは兵站を語る」といいましたが、今回はアイドルにおける兵站の話。

第一次世界大戦までは戦略や軍隊の士気が重要視されていましたが、第二次世界大戦以降はロジティクス、つまり補給・輸送・管理が戦争の勝敗を分けたといいます。

この話を無理やり今のアイドル業界に当てはめると、アイドルにおいても、あまり戦略に差はなく(戦略はコピーできる)、むしろロジティクスやオペレーションが重要だということは、自分も昔から言ってます。

たとえばフリークのロジティクス

またフリークの話かよと思った皆さん。すいませんフリークの話です。

アイドル運営は、どこからメンバーを連れてきて、どこのステージに出し、それをどうマネジメントするかが重要です。いくら可愛いメンバーを揃えて、いい曲を作っても、メンバーはいずれ辞めますし、披露する場がなければ意味がありません。

特に多くのメンバーやグループを抱える事務所は、それなりに退職者が出るので、定常的にメンバーを確保できるルートが必要ですし、いい対バンやイベントに出れるパイプやコネクションも重要です。

逆に、早いうちからアイドル志望の子の情報を集めて、事前につばをつけておいたり、最近できた事務所とイベンターのパイプを壊すことで、ライバルグループの勢いを抑えることもできます。

たとえば、フリークはよくない辞め方をした元メンバーが新しくグループを始める際、イベンターや作曲家など各方面から圧力をかけ、動きを止めようとしますが、まさに相手のロジティクスを攻撃するやり方です。

第二次世界大戦で米国が勝利したのは、敵国の工場や輸送ルートを攻撃し、補給を断ったからです。数多くのアイドルグループが生まれる現代においても、早いうちからグループの芽を摘んで活動させない、自社の客を横流しさせないというのは、戦略的な戦い方といえます。

うまく活動できないグループという印象が1回ついてしまうと、その後の採用にも影響が出ますし、イベントに出づらくなると、活動の幅が狭まり、メンバーの士気も下がります。

(そんな小さいグループに嫌がらせするの!?と思うかもしれませんが、自社に流れるはずだったお金が外に流れるのは経営者としては阻止したいところです。どんなアイドルがヒットするか読めないからこそ、芽が小さいうちに潰しておかないといけません)

一見すると華やかなアイドル業界は、みんな上昇志向、ライバル同士で切磋琢磨しあっていこう!みたいな雰囲気もありますが、相手の嫌なことをするのも戦い方の一つです。旧ジャニーズ事務所がまさにいい例です。

また、フリークはアナフェスという自社イベントをもっていますが、これも兵站の一種です。勢いのあるグループが増えて有名イベントの出演枠を確保できなくなったり、関係性の悪化によって外イベントから締め出された場合、集客力のある自社イベントを保有してないグループは、その時点で詰みます。

オタクは「ファンを増やすために外対バンにもっと出ろ」といいますが、自分たちでコントロールできる場所をもっておくのは、アイドル事務所の経営戦略上非常に重要でしょう。アイドル業界に、いつ冬の時代が訪れるのかは読めません。自社で運用するイベントならばコスト、ライブ本数含めコントロールが可能です。

余談ですが、最近のアイドルは iLIFEが主催するイベントに出ることをありがたがったり、喜んだりしますが、あのイベントはiLIFEの地位をより盤石にするための対バンであり、嫌な言い方をするとエサにされてるといえます。今をときめくグループの主催イベントに出演することは喜ばしいとは言え、実際は大手を振って喜ぶ話でなく、危機感を持つべき話だよなとは思います。

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