【ネタバレ注意】『マルコと銀河竜』をプレイした感想


イハナシの魔女以来半年ぶりのノベルゲーム感想になります。
今回もイハナシと同じ人から布教され、面白そうなストーリーにずっと応援している推し声優である石見舞菜香さんが出ていることもあり即買い。
最近だと推しの子とかお隣の天使様辺りがヒロインを演じたヒット作でしょうか。
ウマ娘やってる人ならライスシャワーで伝わると思います。

それでは本題に入ります。

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このゲームをプレイした全体の感想は

とんでもなく味が濃くて美味い様々な料理を最初から最後まで延々と食べ続けさせられる胃薬と整腸剤必携のフルコース

です(長くなりました)。
本作は『ノラとと』を書いた方が書いているそうなので納得です、ノリがまさにそれ。

とにかく序盤からフルスロットル。
レビューサイトでも必ず話題になっている手間がかかっているであろうカートゥーン調のアニメから始まり、軽妙かつ時々意味不明なギャグで殴ってきました。
これまた大きな特徴ですが話に聞いていた通りとんでもない数のCG!1000枚超え!?
ちょっとしたシーンでも4.5枚出てくるとかあって、なんじゃこりゃと驚きました。
もちろんそれぞれ良質で臨場感や表現力の向上に貢献しており、よく『紙芝居ゲー』と揶揄されがちなノベルゲームに新たな可能性を見た気がしました

『宝物』のために金紐市にやってきたマルコたちでしたが、あの街は見る人が見ればすぐわかるらしく、長崎県長崎市がモデルだそうですね。
僕は読了後に知ったのですが、ちょうどいつか行きたい場所の一つが長崎なので訪れたら聖地巡礼出来たらいいなぁ。

さて、ストーリーを語っていくとトンチキギャグやアクの強い登場人物・設定に対して骨子はかなり王道です。
自分にとって何が宝物なのか。
マルコはこの『蒼い星』でそれを見つけていくことになります。

そして、登場人物の大半が暗い過去を背負っています。
それを埋め立てて毎日を過ごす者、それを精算するために生きる者、それに縛られている者。
各々の考え方、行動はそれぞれ異なります。
どれも正解とは言えませんし不正解とも言えません、その人が選んだ道なのですから。
抜き差しならない状況にいるハクアのような場合もあります。
しかし、こういった深堀りしていき長くなると話が暗くなることをコメディで埋めることで、上手くダレさせない工夫をしているなと感じました。

もちろん注目点として食事が挙げられますね。
本作の場合『食べる』には色んな種類があります。
色んな食事シーンがあり、色んな意味での食が人や異種を繋いでいく。
これもテーマの一つなのかなと。
蕎麦とコロッケが食べたくなりました。

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次にキャラクターについて語ろうと思うのですが長くなるのでなるべく簡潔に行きたいと思います。
僕は女の子が好きなので女の子だけね!

マルコ
なんだかんだ、主人公なんすわ。
トレジャーハンターとして日々享楽的に生きる彼女の生き様はとても魅力的ですね。
最初逃げ足が速いだけで戦闘力はどうなんだろうと思っていたのですがラストはとんでもなかったです、カッコ良すぎる。
銀河のシビアな価値観に染まっていたマルコが宝物を探しに来た故郷でだんだん変わっていく姿は微笑ましくも切ないラストを迎えました。
母とも、アルコとも同じような形で別れたわけですが希望の持てるエンディングで良かったです。
蕎麦、コロッケ、妙に長いいびき、三白眼、八重歯を覗かせたにやけ笑い
どれも忘れられません。

アルコ
ふしぎないきもの。
強いというかそういう次元ではない概念的なものなので誰とも付き合えないというのはなるほどと思いました。
悲しい思い出が虫歯の原因というの、よく考えればどういうことだよって感じですが納得は行くのが面白いところ。
バックボーンを考えるにアルコがマルコと過ごした日々は本当に楽しかっただろうし、辛いことがあっても笑い飛ばしてしまえるような、そんな時間だったのかなと思います
リサイクルショップで会ったらどうなるんでしょうね、妄想が捗る捗る。

ハクア
最推しです。
上の方に書きましたが石見さんが演じているというのはあまり関係なくキャラクターとして一番刺さったからです。
父に逆らい殺したい、でも自分には追い詰められた時にしか出る力しかない。
薄いですが感情が見え隠れしていたハクアは父のやることがわからなかったし、止めなければと思った。
そんなハクアもまた、金紐市で変わっていきました。
おでん屋の手伝いしているシーンいいですよね、クールキャラがポンコツしてるの好物なんです。
今回の出来事を通してハクアは脆くなったと言われましたが、今後色んなことを経験していくことでより大きな感情を知り、精神的な歪みが正されていくことでしょう。
何故か一緒に行くことになったマルコもいることですし。

ガルグイユ
脳筋の哀しき復讐者、といったところでしょうか。
若干出る作品間違えてます。
ただ、この作品だったからこそ彼女もまたあの街で過ごしたことで救われたのでしょう。
行動原理があったらそこに向かって真っ直ぐ突っ走る意志の強い人です。
しかし全く話がわからない人でもないので見てて面白いです。
謎の中二びょ…攻撃前の長セリフは後半になってからは控えめになりましたが、シリアスな展開に合わせたんでしょうか。
結構詠唱好きだったんですが残念です。

瑠璃

お蕎麦いかがですかーーーーーー!

最初出てきた時「声でっか!」って思って何この子と面食らいましたがだんだん印象変わっていくタイプのキャラクターでしたね。
なんだかんだで友達思い、銀河までついて行っちゃうお人好しさ。
瑠璃の元気さは本作における清涼剤のようです。
銃の腕前も非凡なもの、あの街のJKとんでもないですね。
まあ、学校はちゃんと行きましょう。

テラ&ラッカ
金紐市の美人姉妹。
テラは本当に最初から最後までハイテンションの極み、うるさっ!ってくらいでしたがだんだん慣れてくるとクセになってきました。
よくあの世界で生きてられるなって人ですね。
しかし、本当に大事なシーンではしっかりした口調で話すギャップがいいです、案外土壇場では妹より強いのかも。

ラッカは人当たりはいいのだけど、感情の一部が欠落してしまっているのが切ないキャラクターでしたね。
だからこそ現実的な判断が下せるのかもしれませんが。
チェーンソウが武器なの、イメージに合ってなさすぎて逆にしっくり来てます。
作品にはあまり関係ありませんがラッカを演じた鈴代紗弓さんはあまりこういったクールお姉さんキャラを演じているイメージがなくて新鮮でした。
有名なキャラクターだとぼっち・ざ・ろっく!の伊地知虹夏やぼくたちは勉強ができないの武元うるかなど元気っ娘が多めに感じます。

黒崎
この方はもっと深掘りして欲しかった!
というかマルコとアルコ、ハクアとガルグイユ以外はサブキャラですし意図的にエピソード少なめにしてるのでしょうか。
強キャラ以外の何物でもありませんでしたし、マルコを救った一人でもあります。
どんなバックボーンがあるのか知りたいですね。

桜子&游子
戦闘力高い不良とおねえさん。
今更なのですが軽度な性的描写、流血、身体欠損、尊厳を貶める行為、犯罪描写、喫煙…本作に全てあるのですが全年齢対象なんですよね、CEROさんどういうことなのでしょうか?

話を戻すと、伏線は読めませんでしたね。
ピアノもあー、マルコがいつか弾くのかなくらいに思ってました。
出来ればもう少し深掘りして欲しかった姉妹(マルコ含め)でしたが尺の都合でしょうか。
桜子さんが特に好きです、勇ましくて面倒見のいい姐さんで。
厳しい顔も多いですが結構笑う人なのも好きポイントです。

パンダクラフ
銀河を股にかけるヤベェマッドサイエンティスト、それが全てです。
しかし、やると決めたら最後までやり遂げるのは曲がりなりにも医者としての矜持なのでしょうか。
マルコはちゃんと感謝しないといけませんね(何か対価を要求されそうですが)

スケルトンさん
語りたいキャラクターラストです。
女の子だけじゃないです、嘘つきました。
いいですよね、こういうキャラ。
人間体だったら渋い痩せたおじさんでしょうか。
おでん屋をやりながらハクアを気にかける姿が微笑ましくて和みました。
一度闇堕ちしかけましたがなんとかなって良かった良かった。
後日談が気になるキャラの一人です。

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このゲーム、実を言うとプレイ時間は10時間にも満たなかったんですよね。
ぶったまげました、常識的な進め方をしてましたし、ボイスも全部聴いてました。
それなのにこの濃さ、恐れ入るばかり。
ノベルゲームをやるたびに思うのが「どのゲームももっと話題になってほしいなぁ」ということです。
僕も字書きの端くれとして文字を読み進めることを肝とするノベルゲームというジャンルに今後もこのマルコと銀河竜のように優れた作品が出てきてほしいと思っています。
でも、きっと他にも知らないだけで良いゲームがあると思うのでこのゲームをおすすめしてくれた自称宇宙人にまた聞いてみようと思います。

読んでいただきありがとうございました。

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