カープダイアリー第8264話「DeNAの連敗6でストップ、勝利目前の九里2連発に沈む」(2023年5月17日)

「ソト!ソト!」の大コールの中、笑顔のスラッガーが「150CAREER HOME RUNS」のプレートを掲げた。

横浜スタジアムの熱狂が冷めやらぬ中、横山投手コーチがマウンドに向かった。交代を告げられてマウンドを降りる九里は、右手に持ったグラブを叩きつけるしぐさを2度繰り返してから静かにベンチに戻った。

先週水曜日のバンテリンドームナゴヤ、9回118球完封勝利から中6日。84球、余力十分で4対2、2点リードの八回へ。そこで待っていた落とし穴…その怒りの矛先は自分自身に向けられた。

先頭の佐野に粘られた挙句8球目でこの試合最初の四球を許すと、続く関根には送りバントを決められ、さらに宮崎のゴロがサードマットのグラブの下を抜けた。

一死一、三塁となり、打席には初回、真っすぐをバックスクリーン右に打ち込まれた牧。初球ファウルのあとの2球目のカットボールをものの見事にライトスタンドに持っていかれた。

さらに、ソトに投げた初球をレフトスタンドに叩き込まれた。敵地でのDeNA戦で何度も見て来た風景がまた繰り返された。スタンドを赤と青の両コーナーに分断するハードパンチ応酬の闘い。そうなると当然、ホームが優位になる。

DeNAは昨夜のバウアー炎上で6連敗となり、しかもこの日負けると順位が入れ替わり3位に後退するという状況だった。簡単に勝たせてもらえるはずもないことは、三塁側ベンチも百も承知だったはず…

まだ明るい横浜の空にアーチをかけた牧の7号2ランがそのプロローグだった。二回、すぐに菊池の2点適時打で3対2と逆転に成功、五回にもライアンの犠飛で加点したが、七回、九里が先頭のソトにぶつけてそこから1点を失い一塁側ベンチはますます闘争心を露わにした。

その証拠に四球を選んだ佐野はその瞬間に大きく吠えた。三浦監督も佐野には代走神里を、宮崎にも代走柴田を送った。怒涛の攻めは青コーナーが得意とするところ、だ。

試合後のお立ち台で牧は「四番の仕事をするにはここしかないと思って、強い気持ちで打席に入りました」と話した。さらに「素晴らしいボールを投げられていたんで、なかなか打つ球がなかったんですけど一振りで決められて良かったです」とも振り返った。

九里にとってこの日の被弾3発はボディブローのように効いてくる恐れがある。過去6戦では防御率1点台、柵越えゼロできていたから、だ。自責6で防御率も2・25になった。

アリゾナ仕込みの新投法で新たなスタイルをモノにしつつあった右腕がこの敗戦をどう乗り越えるか。この日、左肘に軽い炎症が見られるとして床田が登録を抹消され、開幕からローテを守り続けているのは早くもひとりだけになった。

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