カープダイアリー第8223話「開幕4連敗のカープ村に雨が降る」(2023年4月5日)

朝から広島地方の予報は悪かった。正午まで50%、午後6時までとそれ以降も90%。だが、予定時間の午後3時には雨の中で開門となった。

毎回のようにSNSには「もっと早く中止を出せないか」「遠方から来る身にもなって欲しい」などの声があがる。と同時にこれまた必ず「決めるのは球団ではなく連盟」と球団を擁護する声もあがる。

ひとつ言えることは「いちいちファンの言うことなど聞いとれるか」「雨だから中止?じゃあ、お前2億円稼ぐことができるんか?」という松田元オーナーの過去の発言からカープ球団はファンファーストでは決してない、ということ。

よくSNSで「決めるのは球団じゃなく連盟」という声を見かけるが、それは間違い。正しくは球団が集める天候などの情報(大雨や台風なら交通情報ほか)と球団の見解を聞きながら審判団が最終的に決める、だ。審判団は情報を持ち合わせていない。

案の定次第に雨脚は強まり午後5時30分、雨天中止が発表された。毎度のことではあるが、スタンドで雨に濡れながら、あるいは雨を避けてコンコースで待っていたファンからは「えーっ!」の声が上がった。

だが、それはいつものこと、だ。

カープ球団のチーム運営、ファン対応は常に自分たちが主体、というスタンスで一貫している。そして、外に出る情報は地元メディアをコントロールすることで統制される。

何度、不合理な雨天中止があろうが、あるいは強引に試合を始めてすぐにノーゲームになろうが、そこに突っ込もうとするメディアはいない。

たまりかねて球団に直接電話してその姿勢を問うたファンもいる。電話口の球団職員が「12球団最低」であることを認めたケースもある。

コロナ禍真っただ中の2021年7月8日、大雨で県内JR在来線、新幹線、高速バス、一般道、高速道路、自動車専用道の運休や通行止めなどが相次ぐ中でDeNA戦を強行した時の話、だ。

こうした事実もまたマスメディアはスルーする。

この調子だから秘密主義ともとれる事象は枚挙にいとまがない。

今季もさっそくビジターユニホーム問題でそれが露呈した。

新井カープは神宮球場で3連敗したが、もしかしたらよほど直前で交換されたユニホームの着心地が悪かったのかもしれない。

オープン戦期間中、敵地で試合をするたびに実況席から「番号が見えない」の声が何度も上がっていた。何より松田元オーナー自身が2月の日南キャンプで「見えないじゃないか」と声を上げている。

その後、球団では文字・番号部分を加工したり、縁取りを変えたりと様々な試作品をマツダスタジアムの夜間照明の下でテスト。そして開幕に合わせて密かに交換した。

表向きの報道でのみ、しか判断できない人たちは「背番号が見えない」と未だに声をあげている。これも間違い。一方で「あれっ?変わったんじゃない?」と新旧比較して事実を正確に指摘するファンもいる。

隠すような話でもない。ただ事実をファンに伝えるだけだろうに…

ファンの見えないところで、雨天中止の可能性が高くても両軍選手たちは試合開始に向けて準備をする。打撃練習では通常の試合前と同じくスタメン組が先に打つ。

マツダスタジアム併設の屋内練習場では曾澤がトップを切り、堂林と上本も早い順番で打った。そしてメディアの目に触れる試合前の「公式打順表」には阪神先発予告の左腕、大竹に対して新たな顔ぶれが書き込まれていた。

セカンド菊池
ショート上本
センター秋山
ファーストライアン
レフト龍馬
サードマット
ライト堂林
キャッチャー曾澤
ピッチャー遠藤

遠藤はスライド登板となり、投げてみないと分からないアンダーソンの先発は先送りされる。

野手では打っても守ってもさえないままの小園に代えて上本、野間に代えて堂林。

この新井監督の決断は、できれば坂倉を除いては「この開幕オーダーを続けたい」という首脳陣の考えを、わずか4試合で修正したことを意味する。

坂倉と曾澤の起用法については「6連戦なら曾澤1とか2の割合」という当初からのプランを実行したもので、驚くような話ではない。

今後も相手先発に応じて上本や堂林の出番はあるだろう。だが、それは一方でチームの将来を考えて開幕一番と二番に起用した小園と野間の力不足露呈を意味する。

首脳陣はあの手この手を使いベストな開幕オーダーを組んだが結果が出ないまま日替わり打線の様相を呈してきた。

一方でそれは逆にチームにより緊迫感をもたらすことにもなる。

現場は懸命に戦っている。だが現場はすべてをオペレート、コントロールする球団経営の上にのっかっている。ファンはその全体像で判断する必要がある。…それを報じるメディア不在のカープ村での話ではあるが…

※この記事内で選手などの呼称は独自のものとなっています。


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