カープダイアリー第8260話「九回の守護神大勢攻略、延長十回の菊池満塁弾の必然…」(2023年5月12日)

「飛ばすチャンテ」が響く中、菊池の満塁弾がカープファンの待つレフトスタンドに飛び込んだ。フルカウントまで粘って最後はアウトハイ真っすぐを振り抜いた。

5月に入りそのバットが猛威を振るう。力みと無縁、かつ鋭くコンパクトなスイングだから、いともたやすく芯で捉えることができる。どんな球種、どんな高さやコースにも、だ。

延長十回の勝負どころ。2点差をつけられてたまらず菊池にロペスをぶつけた原監督は、一塁ベンチの片隅で何を思ったか…

三塁側ベンチでは、新井監督が出迎えた菊池の頭をいつものようにパンと叩いた。3対3からの一挙6点!こんなありがたい展開はなかなかない。

「最初から出ている選手も、あとから出る選手も、みんな粘ってがんばってくれていますし、きょうもチーム全員の勝利だったと思います」

G7広島サミット開催に押し出される形で2週間の遠征に出たチームは岐阜・長良川、バンテリンドームナゴヤ経由で東京ドームに入り、4連勝をマークするという申し分ない”入り”になった。しかも2日連続の延長粘り勝ち。

六回に1対2と逆転を許しても七回に追いつき、八回に勝ち越されても九回にまた追いついた。

左ハムストリングスの違和感で二軍再調整を経て戻って来た大瀬良が7回2失点。丸に2ランを許した以外は「さすがのピッチング」(新井監督)だったから、みんなで力を合わせた。

四回の先制点は龍馬。チームとしては6試合ぶりとなる一発(4号ソロ)が飛び出した。七回には「二番堂林」の代打で起用された野間がきっちり犠牲フライを上げ2四球ノーヒットで価値ある1点。

九回は大勢を攻略した。一死から代打韮澤がまず左中間を破る二塁打。アウトローへのフォーク連投の攻めに対して3球目で見事アジャストした。

続く打率松山は2ボールになってインローの真っ直ぐを詰まりながらレフト前に落として、韮澤がホームを駆け抜けた。

4月28日の東京ドームでも松山は九回、大勢から中越え適時三塁打を放ち代打ヒットの韮澤をホームに迎え入れていた。防御率1・80と安定していた巨人の守護神も、新井監督の切り札2枚にとってはお得意さん、ということか。

それにしても原監督はどうして延長十回のマウンドに若い菊地を送り込んだのだろうか?「若い選手に経験を…」は分からなくもないが、育成出身で22歳の右腕にとっては、少々荷が重過ぎるタスクだった。

一死からライアンに四球を与え龍馬に中前打されて一、三塁。続く坂倉には初球をライト前に弾き返された。

さらにマットにぶつけて、その動揺ぶりは明らか。代打磯村を空振り三振に仕留めたものの、松山の代走から出場となった矢野には3-1にして顔から血の気が失せけっきょく押し出し四球…

「松山さんがあそこで打ってくれてまたチーム一丸となって戦えたと思います」(坂倉)は指揮官の思いとも完全に重なっている。しかも、それはよくある定型コメントではない。

まったく同じようなことがすでに5月2日の横浜スタジアムで起こっている。1対1同点でマウンドには山崎康晃。秋山の適時内野安打で勝ち越すと坂倉が4号満塁ホームラン…

「最後まで絶対に諦めないんだという、みんなの気持ちがこの4連勝に繋がっていると思います。頭が下がります」

チームのトップが頭を下げる、それが新井カープ。「実るほど頭を垂れる稲穂かな」チーム不在の広島でも田植えの季節を迎えつつある。秋にはどんな収穫があるか、貯金2で首位DeNAまで2・5差…

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