カープダイアリー第8254話「降水確率100%でも開門するマツダスタジアムの秘密」(2023年5月6日)

明け方の空を見上げた遠藤はどんな気持ちになっただろうか?

しとしとと雨が降る中、心の中も雨模様。首脳陣から二軍降格を伝えられた。予想通り、である。

新井監督はその“心構え”に問題があることを指摘した。勝てない試合が続いたことで、一番の武器であるスピン球が簡単にスタンドに運ばれる状況になった。おそらく二軍ローテで投げ続けて目指すべきスタイルを取り戻すしかない。

代わりに大瀬良があすの三軍戦(由宇練習場、ソフトバンク戦)で最終チェックに入る。問題なければ即、一軍合流だろう。

雨は午前7時ごろには一度上がり、午前10時ごろにはやや空が明るくなりマツダスタジアム隣接の屋内練習場では投手陣がキャッチボールを始めた。だが、予報は正午まで90%、正午から午後6時まで100%、午後6時からが70%…

投手陣のアップは短めに終わり、続いて野手陣が打撃練習。そのあと阪神の練習も始まった。

午前11時には予定通り「開門」となり、屋内とスタジアムをむすぶルートには大勢のファンが集まった。

スタンドのファンは雨をしのぐため内野自由戦の屋根の下やコンコースで試合開始を待った。だが正午前には本格的な雨になり午後1時には相当の雨量になった。

広島東洋カープ。「市民球団」の呼び名がメディアでは頻繁に使われるが実際は株式会社であり、大多数の株を所有する松田家の財産にほかならない。

松田元オーナーがその経営を全て取り仕切る。そう全て、だ。

雨天中止の判断は球団の売上を大きく左右する。ゆえにぎりぎりまで中止にはしない。

例えば甲子園なら「開門」の時点で中止かどうかを判断して予報が悪ければやめる、というケースはよくある話だ。

ところがマツダスタジアムはほぼ100パーセント「開門」する。売上を少しでも増やしたいからだ。

高額チケットのパーティフロアであれば試合開始予定時刻前までの中止であれば全額払い戻しだが、プレーボールがかかった場合の中止では「飲食」分の払い戻しはない。こうしたケースは他の様々なセットチケットに適用されるから中止決定は遅ければ遅いほど球団側のプラスになる。…ということは逆にファン側にとってはマイナスだ。

この日、30名のパーティフロアを購入していたファンは、そういうことを熟知していたのだろう。朝からマツダスタジアムに集まることなく広島市外へと観光に出かけた。大切な大型連休の一日をいかに有意義に過ごすか?それは本来、球団側がファンに向けて考えるべき事項だ。

けっきょく引っ張って、引っ張って午後1時の時点で松田元オーナーが球団が契約する複数の民間予報会社の情報を確認して「中止決定」を出す、という流れだったはずだ。実際、決定のタイミングは午後1時15分になった。

あすもまた予報は90%だがおそらく当然のように午後1時30分開始に向け午前11時には開門するだろう。

すでにマツダスタジアムでは雨天中止が3度もある。中止が増えれば増えるほど職員らの仕事量が増え、球団事務所は深夜11時なっても灯りが消えなくなる、のである。

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