カープダイアリー第8249話「コイの季節に栗林長期離脱の可能性…ターリー、松本竜也、矢崎…新守護神の条件」(2023年5月1日)

前日には東京ドームで4発14安打を放ったチームメイトと離れてひとり横浜へ、さらにこの日は横浜スタジアムでの大事な3連戦を一緒に戦うことなく単身広島へ帰還…

首脳陣は守護神不在のコイの季節を覚悟した。栗林の出場登録が抹消された。

2月半ばにも背番号20がチームから消えた。ただしこの時は今回とは真逆で夢に向かって前へ。日南キャンプ第3クール、14日の紅白戦でWBC球を試投した。矢野左飛、木下空振り三振、羽月ニゴロで1イニングわずか12球。スタンドから送られる拍手をエネルギーに換えた。

日南のブルペンで助言を与えて回り話題となった黒田博樹アドバイザー。その存在はある意味、新井監督より“格上”だ。

日米通算203勝。インターコンチネンタルカップやアテネオリンピックでも投げた剛腕の目にも、栗林の姿は頼もしく映っていた。

「彼はすでに東京五輪を経験しているので、WBCに出場するからといってそれはもう特別なことでもないし、WBC球に慣れてもらってあとは自分のペースでやってもらえれば十分でしょう」

チームはその後、2次キャンプ地の沖縄へ移動。栗林は侍ジャパンの一員として宮崎キャンプに合流した。
 
だが「世界一」の風景を目指す「期待と不安」に満ちた戦いは、WBC1次ラウンドでの登板がないまま終わりを迎えた。腰の張りのため栗山ジャパンを離脱した右腕は3月14日、日南紅白戦登板からちょうど1カ月でチームに合流した。そこから周囲の心配をよそにペナントレース開幕に向けピッチを上げたのだった。
 
今回の抹消理由は右内転筋の張り、だという。
 
この部位はピッチングの生命線である股関節の動きをつかさどる。股関節は膝や肘とは異なる球関節であるため、その動きが制限されていない。(膝は横には曲がらない)横に開いたり閉じたりする内外転。内や外に捻る内外旋などいろいろな動きになる。
 
腰の張りが影響したのか、ハードスケジュールによって体のバランスが崩れたからなのか、あるいは思うような真っすぐやフォークが投げられず下半身をより使った投球フォームを目指したからなのか?今回、内転筋を痛めた原因はよくわからない。
 
だが同時に心配なのが2度のサヨナラ打を含む4敗で疑心暗鬼になったメンタル面だろう。
 
加えて2敗を喫した阪神を筆頭に、フォークを思うにようには振ってくれなくなりつつある。ここまで通算で75セーブを積み上げてきた投球パターンに陰りが見え始めた。
 
栗林は広島市内で診察を受けたあと、しばらくはコンディションの回復に努める期間が必要だ。腰と内転筋に違和感や痛みが出たからには、無理や無駄やムラがどこかで生じている。そこからまた自身のピッチングを組み立て直すことになる。
 
守護神の条件は連投が効き、経験値がありと快速球を武器に三振が取れること。現状で球の力が増している大道を勝ちパターンに固定して、ターリー、松本竜也、矢崎で最終回を回すしかない。
 
暫定守護神3人の中から新守護神が誕生する可能性もある。そうなると栗林は長期離脱、ということになる。
 
 
 


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